2024.03.28

「ヤンマー国際女性デー」を今年も開催。ダイバーシティ&インクルージョンを社員全員が考え、行動を起こすきっかけに。

3月8日は、国際連合により制定された「国際女性デー」。『国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果を認識する日』として、全世界の多くの国々で記念行事が行われます。世界経済フォーラムが世界各国の男女格差の状況についてまとめたジェンダーギャップ報告書(2023年版)によると、日本は146カ国のうち125位と低迷しているものの、国内の変化を見てみると、東京証券取引所のプライム市場に上場している企業の女性役員比率は、11.4%(2022年)から13.4%(2023年)に増加。政府はこの割合を2025年までに19%、2030年までに30%以上にする目標を掲げており、女性の活躍推進に向けた取り組みは強まっています。

ヤンマーでは、「Diversity for YANMAR」をポリシーに掲げ、グローバル化戦略を進める上で「国籍・性別・年齢を問わず、世界で通用するプロフェッショナルな人材の活躍」を目的とするダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。性別、国籍、ライフスタイル、文化などのさまざまな違いを受け入れ、尊重し、一人ひとりの能力を最大限活用することで、企業価値を向上させるとともに、グループ全社員が“働きがいと誇り”を持てる企業となることを目指しています。

このダイバーシティ&インクルージョン推進における取り組みのひとつとして、国内外のヤンマーグループ全体で2月8日〜3月8日の1カ月間を「ヤンマー国際女性デー」とし、ジェンダー平等やダイバーシティ&インクルージョンについて考えるイベントを昨年度に引き続き今年度も実施。

今回のY mediaでは、「ヤンマー国際女性デー」の企画・運営を担当したヤンマーホールディングス株式会社 人事部 ダイバーシティ推進グループの中西麻祐さん、太田絢菜さんにインタビュー。昨年度のイベントを振り返りつつ、2回目となった本年度のイベント内容をはじめ、昨年度との違いや注力した点、今後の展開について伺いました。

<取材者プロフィール>

中西麻祐(なかにし まゆ)写真左
イベントの開催初年度(2022年度)から「ヤンマー国際女性デー」の企画・運営に携わる。本年度は企画立案に加え、全体統括としての役割を担う。

太田絢菜(おおた あやな)写真右
2023年7月に研究開発部門から異動し、ダイバーシティ推進グループに所属。の企画立案と中核を成す特設Webサイトをメインに担当。

※取材者の所属会社・部門・肩書等は取材当時のものです。

まずは昨年度イベントの振り返り。社員が日常的に参加できる工夫で想像以上の反響があった。

――イベントとしては初開催だった昨年度の「ヤンマー国際女性デー」。ヤンマーグループ内ではどんな反響があったのでしょうか?

中西:私の想像を遥かに超えて、多くの人から賛同を得られた実感がありました。

昨年度は、まず国際女性デーを「知る・参加する」フェーズと捉え、イベントのキービジュアルを作成し、それをポスターやパネルに展開したり、国際女性デーのシンボルであるミモザの花を配置したり、分かりやすく視覚に訴える企画が多くありました。

そういった準備はこちらが主導で行いましたが、ポスターの掲示場所やミモザの花の飾り方といった細かいルールまでは設けず、取り組み方はそれぞれの拠点に任せるかたちにしたところ、自分たちで主体的に考えた活動があちこちで見られました。

具体的には「うちの会社でいちばん人が通るのはこの通路だから、ここに飾るのが良いよね」と、より効果的な方法を検討してくれた拠点や、さらには「同じ黄色でバッジを作りました」「集まってディスカッションしました」など、こちらで考えていた以上の活動をしてくれた拠点もありました。

その他にも、キービジュアルがデザインされたバーチャル背景や、社員食堂で提供した黄色の食材を使ったメニューなど、性別問わず誰でも利用でき、日常的に国際女性デーを感じられるものを準備した甲斐もあって、イベントの認知度や参加者の広がりを目に見える形で感じることができました。イベント後のアンケートでも、ポジティブなコメントが多数寄せられ、「この取り組みを通して国際女性デーを知りました」という声も多かったので、一定の成果はあったと感じています。

また、先ほど例に挙げたような、「主体的に考える」というプロセスを経て、活動に取り組む拠点があったことは、企画した側の狙いのひとつでもあったので、とても嬉しい出来事でした。初めて開催したイベントとしては大きな成果だったと思います。

昨年度のイベントの様子はこちら↓
「ヤンマー・国際女性デー。感謝を伝え、ダイバーシティ&インクルージョンを考える1か月に」

本年度は、自分事として考え、行動に繋げる。そのきっかけとなる企画を意識。

――本年度のイベントの企画の背景や意図、こだわりをお聞かせください。

<中西麻祐さん>

中西:昨年度以上にヤンマーグループが国内外を問わず一体となって取り組めるイベントとすべく、所属する拠点や事業に関係なく、より広くより多くの人にアプローチすることと、ダイバーシティ&インクルージョンというテーマを自分事として身近に捉えてもらうことを意識して企画しました。

<本年度の社内装飾>

太田:特設Webサイトで公開したメッセージコンテンツがその一例です。ヤンマーが展開する8つの事業部のトップから、「ヤンマー国際女性デー」に対するコメントをもらい、どの事業部もこの取り組みにコミットメントしていることを社員に広く伝わるようにしました。

また、2名の女性取締役と、国内外の拠点をはじめ、支社支店で活躍する60名超の女性マネージャーからのメッセージも公開しました。このように女性の活躍を「見える化」することで、男性の管理職が多い部門の女性社員にも「これだけの女性管理職がいて、活躍しているんだ」という実感をもってもらったり、それを自身の原動力や勇気につなげてもらうことができれば、という想いがあります。さらに、男性社員に女性社員の活躍を知ってもらうことで、無意識にはたらく「この仕事は彼女には重すぎるのではないか…」という思考から、「挑戦を後押ししよう」という思考に変えてもらうきっかけになれば、という想いも込めました。

太田:その他、Webコンテンツ関連の新たな取り組みとしては、ダイバーシティ&インクルージョンについて改めて考える2種類の動画を配信しました。1つが「ダイバーシティ&インクルージョン」、もう1つが「アンコンシャスバイアス」をテーマにしたものです。

昨年度のイベントで、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みのひとつである「国際女性デー」という認識は促せたのですが、そもそもダイバーシティとはどういうことか、どう行動すればいいのか、その先に進むにはやはり知識を持ってないといけないという想いから企画しました。

<Udemy講師である、チームビルディングジャパン・河村様による動画を配信>

内容としては基礎的なものが中心ですが、自身に置き換えて考えられるような問いかけや、一人ひとりができる行動のヒントを含めることで、身近なこととして捉えられるような工夫をしました。そして、動画を見て終わりではなく、さらに理解を深めたり、考えたりするきっかけになれば…という想いで、理解度チェックコンテンツも準備しました。

<太田絢菜さん>

――本年度は「考える・理解する」フェーズということですが、イベントに対する反響や、ご自身の手応えをどう感じておられますか?

中西:多くの社員が「今年も当然やるよね」という感じで、すごく受け入れてくれている感覚があります。

太田:私は本年度初めて企画に携わりましたが、ポジティブな反響が多く、それに内心ビックリしています。女性社員だけでなく、取り組みを真剣に考えてくれる男性社員がたくさんいることを実感しましたし、受け入れてもらっている状況からの活動スタートなので、とても前向きな気持ちで取り組めています。

中西:拠点で実施した取り組みは社内SNSにその様子をアップしてもらっているのですが、昨年度に比べるとその反応も早いです。国内外を問わず、続々と上がってきていて、さまざまな取り組みを見ることができます。こうやって「見える化」すると、自分たちが取り組んでいる活動への実感も増すし、「私たちの拠点では何ができるだろう」「私には何ができるだろう」と次のステージへ進むきっかけとしてもプラスに働いていると感じます。

太田:一人ひとりがこのイベントに賛同していることを表現できたり、取り組んでいることを実感できたりする企画としては、本年度から新たにステッカーを取り入れています。例えば、自分の名札だったりパソコンだったり、身近に感じられるところに自由に貼ってもらうものです。使い方はそれぞれにお任せしているので、拠点によってはお客様用の飲料水ボトルに貼ってお出ししているところもあります。

中西:このステッカーは全国の拠点に5,000枚以上を発送したのですが、それでも足りないくらいになっていて。自分が想像していたより大きなムーブメントになりつつあることに驚いています。

国内での取り組み事例

<「⼈が互いを尊重しながら⽣きている姿」を表現したオリジナルシンボルやミニチュアを制作する拠点も>
<アグリ事業や建機事業での取り組みの様子>

海外での取り組み事例

<左・中 オリジナル啓発ムービーを制作 右:ダイバーシティワークショップを実施>
<独自の取り組みを実施>

女性を含むダイバーシティの尊重、インクルージョンの風土をより一層高めていきたい。

――イベントに対する今後の展望や、ヤンマークループでの女性のエンパワーメント、ジェンダー平等といった取り組みに対するご自身の想いをお聞かせください。

太田:ヤンマーが、より良い製品やソリューションを生み出すためにはイノベーションを起こすことが不可欠だと思っています。そして、そのための土壌となるのがダイバーシティ&インクルージョンであり、土壌からの芽吹きを促すのが「可能性を信じ、挑戦を後押しする」というヤンマー独自のHANASAKAの価値観だと捉えています。

実を言うと、本年度のメインビジュアルにはその想いが表現されていて、国際女性デーのシンボルであるミモザの花をモチーフにしている点は昨年度と共通なのですが、中央に「Let The People Bloom!」の文字が配してあります。これは「人を、未来を、咲かせよう」というHANASAKAを表すフレーズで、ダイバーシティ&インクルージョンの風土醸成だけでなく、その中でのアクション喚起を表現したデザインになっています。

 

本年度、はじめて「ヤンマー国際女性デー」の企画・運営に携わったことで、ヤンマーグループ全体として、どのくらいダイバーシティ&インクルージョンに関心を持ってもらえているのか、浸透しているのかが見えてきました。そして、その関心度が思っていた以上に高く、さらなるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを活性化していけると感じており、より加速させていくのが自分の役割だと思っています。

中西:ダイバーシティという観点で言うと、女性だけに限ったことではないのですが、あえて女性という部分にフォーカスすることで、女性の発言に注目が集まったり、活躍が広く知られたり、そういった機会を創出するという部分では、ヤンマー国際女性デーの実施や意義は大きいと思っています。

ヤンマーグループの中でも、拠点によっては女性社員が自分も含めて数人しかいない、管理職に就いているのは男性社員がほとんど、というところもあります。それ故に、自分の今の働き方や将来のキャリアに不安を感じる女性社員もいるはずです。だからこそ、この取り組みを通して、活躍する女性社員の存在を知ってもらい、「私も挑戦できる」という実感を持ってもらうことが大事だと考えています。

ただ、自分自身のことを振り返ってみると、「この女性活躍という領域は、私が先導して引っ張って行かなければ!」と意気込んでいたのに対し、実際にやってみたら「案外みんな自立的に取り組んでくれるものなんだ…」と感じる部分があり、私が前を走ると言うよりも、みんなが走りやすいようにサポートしていくのが私の役割なのだなと思い直しました。

また、この2年の活動で「ヤンマー国際女性デーを実施します。こういう目的・意図でこんな企画を準備しました」と投げかけるだけで、国内外の24,000人の社員が賛同してくれることが分かりました。これは潜在的なパワーや可能性が大いにあるということだと思っています。ですので、女性というところからさらに広く、ダイバーシティ全体へと繋げていけるよう、取り組みを推進していくというのが今後の目指すところです。

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