2010年度のCSR・環境活動特集

特集2 大地での挑戦
「日本の農業と農村基盤の安定化のために各地でさまざまなサポート事業を展開」

農地として活用されることが放棄された耕作放棄地は、1975年には全国で13万ヘクタールほどでしたが、いまではその3倍の約38.6万ヘクタールもあるといわれます(2005年の農林業センサスによる)。中でも自然の地形を利用して階段状に作られた棚田の荒廃が進んでいます。棚田をはじめとする水田には、お米を生産するだけではなく、土砂崩れや洪水を防止したり、景観によりやすらぎを与えるといったさまざまな機能があり、このままではそれらが失なわれてしまう可能性があります。

農業機械の製造を通じて日本の農業に関わってきたヤンマーでは、多様な視点から持続可能な農業のありかたを探り、安定した農村基盤の実現と地域活性化へ向けた産業イノベーションに取り組んでいます。

かけがえのない棚田の再生を核にして多様な農業の復活と地域の活性化へ

岡山県美作市上山(みまさかしうえやま)地区。ここは県内でも有数の棚田地帯(約100ヘクタール)ですが、近年は農家の離農や高齢化により耕作放棄地が増加するようになりました。それに伴って2003年に文化庁から「文化的景観の重要地域」に選ばれた棚田の数も減り続け、いま耕作されているのはわずかに7ヘクタール。このままでは地域に根ざした農業も、自然豊かな景観も姿を消していきかねない状況です。

ヤンマーでは、上山地区における耕作放棄地の再生を支援し、棚田を活用した活性化策の提案を通じて、より広がりのある農業の復活に取り組んでいます。

具体的には早期に棚田を再生するために除草作業等を応援したり、再生のモデルとなるほ場づくりを支援しています。また、農業に従事することを希望する人やボランティアに農業機械の取り扱いなどを 指導することも計画しています。

さらに、再生した棚田を利用したオーナー制度などグリーンツーリズム(農村地域で自然や文化、人びととの交流を楽しむ滞在型の余暇活動)の企画支援、地域農産物を生かした特産品の生産と販売、かつて"上山の千枚田"と呼ばれた水田一枚一枚に月が映り込む「田毎(たごと)の月」を復活させる観光資源開発など、持続可能な農業と地域を活性化するための事業計画を2013年3月まで推進していく予定で、最終的には50ヘクタールの棚田をよみがえらせることをめざしています。

ヤンマーでは農作業の効率化と省力化の実現をめざし、多彩な農業機械を開発してきました。今回取り組んでいる、放棄された棚田の再生や農業経営のビジネスモデルの提案は、これまでに培った農業に関 わるハード(農業機械)とソフト(栽培技術・担い手育成・経営技術)をトータルに組み合わせた、より複合的で長期的な視点を踏まえた支援事業といえます。その先には当然、農業の活性化や食料自給率の向上を見据えています。

これからもさまざまな"Solutioneering"によって日本の農業の発展に寄与することが、ヤンマーにとっての社会的責任であると確信しています。

棚田再生作業

担当者の声
岡山市美作市「上山の千枚田」耕作放棄地の再生を!

ヤンマー農機販売(株) 中四国カンパニー 林野支店 支店長 長尾 浩(左)、ヤンマー農機販売(株) 中四国カンパニー サービス営業部 特販推進グループ 部長 今川 勝己(右)

ヤンマー農機販売(株) 中四国カンパニー
林野支店 支店長
長尾 浩(左)

ヤンマー農機販売(株) 中四国カンパニー
サービス営業部 特販推進グループ 部長
今川 勝己(右)

美作市上山地区には岡山統括部林野支店とお取引いただいているお客さまが多く、ヤンマー製品のシェアが高いこともあり美作市からヤンマー側に「上山地区の棚田をよみがえらせたいので協力してほしい」との要請がありました。これを受けてヤンマー農機販売(株)中四国カンパニーと林野支店では、地域社会への貢献活動の一環として棚田の復田へ向けた協力・支援を行うことになったのです。

2010年2月から草刈り、耕うん、畦塗りなどの作業を実演機で行ったところ、速いスピードで耕作放棄地の復田作業ができました。これはヤンマー独自の農業機械の ノウハウが生かされた結果だと思います。現在では約3ヘクタールの棚田が復活し、今後3年から5年ほどかけて棚田再生の重点地域の再生や、地元特産物の開発提案なども含めた支援を行っていく予定です。

このような取り組みが、全国にある耕作放棄地の解消へ向けて一歩前進した具体例となることを願っています。

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