2011年度のCSR・環境活動特集

特集1 都市での挑戦
「エネルギーの有効利用を促進しCO2排出を抑制するバイオガス発電システム」

下水処理施設は生活廃水などを浄化して河川や湖沼、海などへ放流し、水資源として循環させるという大切な役割を担っていますが、その処理過程では膨大なエネルギーを消費し、大量の温室効果ガスを排出します。

ヤンマーでは汚水浄化に欠かせない汚泥から発生する消化ガスをエネルギーとして有効利用すると同時に、CO2の排出削減にも貢献できるエネルギーシステムを開発しました。

未利用の消化ガスを発電エネルギーに転換

バイオガスマイクロコージェネレーションシステム
バイオガスマイクロコージェネレーションシステム 16台設置

下水処理施設では微生物(有機物)を含んだ汚泥で汚水を浄化しています。汚泥は脱水したあと有機物を発酵させて分解しリサイクルされますが、この過程でCO2の20倍以上の温室効果があるというメタンガスを多く含む消化ガスが発生します。下水処理施設ではこの消化ガスを熱源などに利用していますが、使いきれない余剰分は未利用のまま燃焼させてCO2として大気中に放出していました。

有機物を発酵させて得られる消化ガスは再生可能エネルギーであるバイオマスのひとつですが、ヤンマーではこの消化ガスを燃料となるバイオガス(メタン発酵ガス)に加工して活用するバイオガス発電システムを開発し、下水処理施設における新たな発電事業として提案しました。それが「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」です。

自在な構成で効率的な運用を実現

高性能ガスエンジン、永久磁石式高周波発電機、温水供給の熱交換器等で構成した「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」は排熱を回収するので大幅な省エネとなるほか、再生可能な自然循環型資源なので環境負荷が小さく大気中のCO2も増加しません(カーボンニュートラルと言います)。

また発電出力が1台当たり25kWという小型発電機を複数台設置して稼働させるので、メンテナンス時や万一の故障発生時にも停止リスクを軽減あるいは分散させることができます。運転は遠隔システムによって24時間体制で監視・制御し、施設の規模や季節によって変動する消化ガスの発生量に応じた効率的な運用も可能です。

佐賀市下水道浄化センターでは消化ガスの20%をボイラー用燃料とし、残りの80%を余剰分として燃焼処理していました。2011年2 月に16台のマイクロガスエンジンで構成された「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」(年間発電量約317万kW/時)を導入して本格稼働を開始しました。運用実績では消化ガスの全量をセンター内の発電に利用して年間電力使用量の約50%を賄うようになったほか、CO2も年間1,167トンの削減(樹齢50年の杉8万3,500本分)を見込んでいます。

管理センター
管理センター
発電表示板
発電表示板
コージェネからの温水を熱交換する汚泥熱交換器
コージェネからの温水を熱交換する汚泥熱交換器

循環型社会に向けた新しい資源活用

このような発電システムがこれまでになかったわけではなく、すでに大規模な下水処理施設では消化ガスを燃焼させて発電などの分野で有効利用しています。しかし中小規模の下水処理施設では効率面やコストの問題から消化ガスのほとんどを燃焼し、大気中に放出していました。

ヤンマーの「バイオガスマイクロコージェネレーションシステム」は未利用の消化ガスをエネルギーとして有効利用することでCO2削減、さらにはコスト節減を一体的に実現するものといえます。

わが国には1,500以上の下水処理施設があるといわれますが、消化ガス槽があるところはその半数にも及びません。小規模ながら未利用の資源を十分に活用するバイオガス発電システムは、循環型社会の構築に向けてこれまでになかった役割を果たすことになると思われます。

バイオガス発電システム

担当者の声

ヤンマーエネルギーシステム(株) エンジニアリング部ソリューショングループ主任 岸本 聡

ヤンマーエネルギーシステム(株)
エンジニアリング部ソリューショングループ主任
岸本 聡

私たちはエネルギー事業のうち、省エネルギー、創エネルギー商品の普及に取り組んでいます。特にバイオガスコージェネレーションをコアとするTotal"Solutioneering"。何も無いところから、提案営業によってお客様の潜在的なニーズを探し出し、具現化する。お客様と苦労を共にして出来上がった設備を前に、お客様から感謝の言葉を頂くと満足感でいっぱいになります。

これからも再生可能エネルギーの有効利用によって地球温暖化防止に貢献し、より多くのお客様のニーズに応える設備の導入を通じて、「循環型社会」の一翼を担いたいと思います。

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