2011年度のCSR・環境活動特集

特集3 海での挑戦
「被災した宮城県のマガキ養殖場を独自の種苗生産技術で復興支援」

東日本大震災によって宮城県のマガキ養殖場が壊滅的な被害を受け、産卵前の母貝のほとんどが消失しました。

カキの養殖に必要な稚貝は、多くは養成中の母貝から発生するためマガキの養殖再生には一定量の母貝が欠かせません。

ヤンマーでは長年培った「陸上二枚貝種苗生産技術」で稚貝を大量飼育することを通じて、被災地でのマガキ養殖の復興を支援するプロジェクトに参加しています。

津波で失われたマガキの母貝の復活へ

残された母貝を回収する漁師の方々
残された母貝を回収する漁師の方々

カキの養殖には稚貝が必要ですが、全国のカキ養殖場のほとんどは宮城県産に依存しています。今度の津波で母貝が失われたため、かろうじて生き残った母貝から稚貝を人工生産し、宮城県産の母貝を継続確保しようというのがプロジェクトの目的で、宮城県水産技術総合センター(宮城県石巻市)、東北大学大学院農学研究科(同県仙台市)、独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所(同県塩釜市)、宮城県漁業協同組合(同県石巻市)などの機関・団体が一体となって進められます。

養殖事業の豊富なノウハウを提供

マリンファームでの作業風景
マリンファームでの作業風景(人工授精)

ヤンマーマリンファーム(大分県国東市)は「獲る」から「つくり、育てる」漁業への転換を先取りする形で1988年からアサリやカキなどの有用な水産生物の養殖システムの開発に取り組んできました。

人工の種苗生産で要となるのは幼生飼育ですが、ヤンマーマリンファームでは高密度自動浮遊幼生飼育装置(特許)を開発し、従来比で100 倍から150倍の陸上二枚貝量産化が実現し、2011年6月から本プロジェクトに参加しました。

まず被災地域である松島湾から無事だったマガキの母貝を回収し、これをヤンマーマリンファームで産卵させて幼生を大量に飼育します。成熟させた幼生は東北大学でウイルス感染の有無がチェックされ、そのあと水産総合研究センター東北区水産研究所でホタテの貝殻に付着させて種苗とし、海に戻して約2,000連(1連は貝72枚分)を養殖して安全な宮城県産母貝に成長させます。

マガキ母貝復旧支援スキームと種苗生産

新鮮で安全な水産資源の復活をめざして

現地出荷風景
現地出荷風景(沖だし)

農林水産省によると2009年度のカキの稚貝(種苗)の販売量は全国で約87万連、このうち宮城県は約70万8,000連で全体の80%以上を占めています。宮城県産の母貝が復活しないと全国のカキ生産に支障が生じ、私たちの食生活にも影響することになりますが、稚貝としての収穫が安定するには2〜3 年は必要とされ、プロジェクトの成果が現れるまでには時間を要します。

ヤンマーマリンファームでは宮城県の海に新鮮で安全な水産資源を1日でも早く復活させるために、独自技術の提供を通じてマガキ養殖復興事業をサポートしていきます。

有識者の声

国立大学法人東北大学 大学院農学研究科 水圏動物生理学分野博士(農学)、教授 尾定 誠 様

国立大学法人東北大学 大学院農学研究科
水圏動物生理学分野博士(農学)、教授
尾定 誠 様

今回の津波災害は、東北沿岸部のカキ養殖施設に壊滅的な被害をもたらしました。とりわけ、宮城県では食用のカキ生産ばかりでなく全国シェアを誇る種苗生産の復興が喫緊の課題でした。これにいち早く対応していただいたヤンマーマリンファームによって大量に供給されるカキの人工種苗が、関係機関の協力の下に、これからの2年間、毎年夏に産卵母貝として活躍してくれることを大いに期待しています。

担当者の声

社長室 ソリューショニアリング部 マリンファーム専任課長 加藤 元一

社長室 ソリューショニアリング部
マリンファーム専任課長
加藤 元一

今回の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県カキ養殖の復興にいち早く参画できたことを誇りに思います。一刻も早く震災前の生産水準に回復するように関係機関と協力してプロジェクトを推進していきます。

一方、震災で甚大な被害を受けたと思われるアサリ、ホッキ、アカガイなどの有用二枚貝資源の再生も重要です。この大きな課題に関して、我々マリンファームは、保有する高密度二枚貝種苗生産技術を活用して問題解決していきます。

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