2012年度のCSR・環境活動特集

特集5 次の100年に向けた挑戦3「グローバルなソリューショニアリングの展開」

ヤンマーが小形横形水冷ディーゼルエンジンを世界に先駆けて商品化したのは1933年のこと。その5年後には早くもアジア各国への輸出を開始しました。これは「農村の重労働を少しでも楽なものに」「エネルギーの有効利用に尽力したい」という創業者の思いが実現したものでした。

その後も製品輸出を中心に海外での事業活動に力を入れ、現在ではアジア・ヨーロッパ・アメリカの3大経済圏を中心に世界130カ国以上で「ヤンマー」ブランドの製品が愛用されるようになりました。

こうして事業エリアを着実に拡大する中、いまヤンマーが重視し、世界各地で取り組んでいるのが、それぞれの国・地域の特性に合わせたソリューショニアリングを提供し、人々の暮らしの向上、社会の発展に貢献することです。ヤンマーならではの技術やノウハウを活かし、コミュニティの成長とその支援に取り組んでいる事例のいくつかをご紹介します。

稲作一貫体系の普及を目指して(インド)

現地での様子

インドは国土の40%以上を農地が占める農業大国ですが、稲作はほとんどが手植えで行われています。こうした現状を改善しようとYANMAR INDIA PRIVATE LIMITEDで取り組んでいるのが耕うんから田植え、稲の刈り取り、乾燥・調整までの作業を機械化する稲作一貫体系の普及です。

その先陣を切ることになったのがヤンマーの田植機。省力化、田植え作業の大幅な時間短縮だけでなく、ムラのない均質な苗の植付けによって収量はアップしました。もちろんディーゼルエンジンならではの燃費の良さ、耐久性も好評です。

3年前より日本から技術者を招き、機械化を進めるうえで欠かせない育苗の研修実演会をインド各地で始めており、田植え作業はさらに新しい段階へと進みつつあります。

インドでは米や小麦を輸出して外貨獲得を目指しています。稲作一貫体系が広く定着すれば農家の収入増、GDP(国内総生産)を伸ばすことにもなり、それはインド農業の姿を大きく変えることになるはずです。

「循環養殖」で環境保全と地産地消を両立(マレーシア)

現地での様子

ヤンマー初の海外研究開発拠点で、ボルネオ島の北部、マレーシア・サバ州にあるヤンマーコタキナバルR&Dセンターでは、養殖と燃料植物栽培を掛け合わせた資源循環をテーマに淡水魚養殖と植物栽培に取り組んでいます。

ヤンマーがノウハウを持つ水耕栽培技術を応用して、淡水魚の飼育を組み合わせ、次にサバ州固有の野菜栽培と淡水魚飼育へ移行する養殖プランで、魚の排泄物が植物の肥料となるので水質の汚濁はほとんどなく、養殖による水産物と燃料植物生産や農作物の地産地消も実現できます。現地は豊富なバイオマスに恵まれているので養殖施設で使用する動力や電気、熱はバイオ燃料によるバイオディーゼルを活用し、CO2を排出しないゼロエミッションシステムの構築を目指すことも可能となります。

現在は、淡水魚養殖排水を用いたジャトロファ点滴栽培技術を開発し、雨量の少ない乾燥砂漠地帯の緑化ソリューショニアリングを目指しています。

養殖網水中洗浄機「せんすいくん」が世界の養殖市場へ展開(オーストラリア)

現地での様子

あまり知られていませんが、マグロなどの養殖では養殖網の清掃も重要な仕事。網に藻が付いたままでは生け簀が汚れ、魚の成長にも悪影響を及ぼすからです。オーストラリアとニュージーランドの3カ所で養殖業を営むClean Seas 社では2週間に1度、養殖網を海中から取り出して清掃していましたが、人手に頼ったこの作業は大変な労力を伴い、人件費もかさみます。

問題解決の相談を受けたオーストラリア地区のディストリビューター(輸入特約店)であるPower Equipment Pty. Ltd.社は何度も話し合いを重ねたすえ、海中にある養殖網の側面・底面を高圧噴射水で内側から洗浄するヤンマーの自動ロボット「せんすいくん」を提案しました。その結果、大幅なコストダウンを生んだだけでなく、クリーンになった養殖網のおかげで魚の成育が速まるという思わぬ収穫もありました。お客様が目指すゴールを共有し、しっかりと支援する。これこそがヤンマーにおけるソリューショニアリングです。

安全な航行を支えるエンジニアの育成(日本、中国、フィリピン)

現地での様子

世界各地で取り組んでいるソリューショニアリングを信頼度の高いものにするには次世代のエンジニアの育成が欠かせません。その役割を担っているのが日本(尼崎校)、中国(大連校)、フィリピンのアジアの3地点で開校しているTTスクール(Technical Training School)です。

TTスクールには世界各国から受講生が集まり、エンジン技術や運転・保守・整備に関わる知識と技能を磨きます。エンジンの基礎から応用、実機を用いた分解・組立作業、確認・調整運転などの実技演習に加え、さらに最新技術と新機種の解説に至るまで幅広いカリキュラムを用意し、次世代のエンジニアを育成しています。

対象となるのはお客様である船主、造船所、船員、船舶エンジニア、さらにディストリビューター、ディーラーなど多様ですが、共通の目的としているのはエンジンの安定稼働とトラブル未然防止の技術と知識を身につけること。それが世界での船舶の安全な航行に寄与することになるからです。

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