営農情報

2018年6月発行「トンボプラス12号」より転載

越中富山の薬の里を、ハトムギの生産・加工・販売で活性化!

越中富山の薬で知られる富山県で、JA氷見市と地域の中核農家や営農組織等が連携し誕生した農業生産法人〈株式会社JAアグリひみ〉が、ハトムギ栽培に果敢に挑戦。その栽培のお手伝いをさせていただいているのがヤンマーのミッドマウント管理作業車MD20だ。薬の里から拡大しはじめたハトムギ栽培を当初から支え続けた同社のキーマンお2人に、取り組みへの想いやこだわり、またMD20導入のポイントなどを語っていただいた。

小坪 勝之 様(写真右)

富山県氷見市
JA氷見市 農業生産法人 株式会社JAアグリひみ 部長

寺林 紀章 様(写真左)

富山県氷見市
JA氷見市 農業生産法人 株式会社JAアグリひみ 課長

「ほ場をなんとかしてほしい」の声を受け、JA 氷見市の子会社として、志をもって設立

氷見市は富山県の最北端に立地。寒ブリや氷見牛で知られるが、作物栽培の面では、山と海に挟まれた狭い土地に5本の川が流れ、農地の半分ほどが中山間地域という条件の良くない地域だ。
株式会社JAアグリひみ(以下、同社)は、そんな氷見市に2006年、JA氷見市(以下、同JA)の子会社として設立された。
現在は15名の従業員が、2017年はハトムギ734a、WCS267a、飼育牛76頭、繁殖牛16頭のほか、農作業受託、農機のレンタルなどの業務を幅広く行っている。主力のハトムギは全量同JAが買取り、お茶をはじめとする商品に加工販売。メイン商品で年間200万本を売るという〈氷見はとむぎ茶〉は、なんと、いま流行りの6次産業で全国第1号認定を受けた商品だ。

同社部長の小坪勝之氏は「高齢化が進むなかで、80歳前後の方々が農業の継続に苦労している。元々当地は中山間地域が多く、しかも10~30aまでのほ場がほとんど。だから私たちが同JAにいた頃から『ほ場をなんとかしてほしい』という相談が多く寄せられていました。そこで私たちが管内の中核農家や営農集団と連携して、地域の司令塔としてやっていこう!という流れになったんです」と、同社設立の経緯を語ってくれた。

株式会社JAアグリひみは、JA氷見市の中部穀類等乾燥調製貯蔵施設内に事務所を構え、JA氷見市の仕事もサポートする。

大豆や麦に不向きな中山間地域の湿田を、ハトムギを核としたビジネスモデルで活性化

大きな志をもって設立された同社だが事は簡単には進まない。当地は重粘土質の超湿田が多く排水性が悪いため、大豆や大麦といった転作作物がほとんど穫れないからだ。そんななか氷見市内で、1985年頃から小規模ながらハトムギ栽培を続けている地域があった。ハトムギはイネ科で湿害に強い!そこに目を付けた同社は、富山県高岡農林振興センター等の協力を得ながら試験栽培を開始。転作作物として育ててきたのが今日の成功のはじまりだ。

同社のすごさは、その発想力と行動力だ。まず、よそでつくっていないハトムギに着目した点、そして地域を巻き込んだペットボトル入りハトムギ茶の販売方法だ。
当初、大手飲料メーカーが話に乗ってくれなかったため、自分たちで製造や流通ルートを開拓、またお茶1本が売れるごとに、同市で毎年開催される〈全国中学生ハンドボール選手権大会〉の運営費に5円寄付されるという仕組みを考案。ハンドボールの聖地をめざす氷見市民の共感を呼ぶことで、販売を成功に導いた。
また一方で、同社設立によって作業支援や栽培技術指導、乾燥調製施設の完備など、サポート体制を確立すると共に、ハトムギを最重点作物に位置づけた。さらに300円/1kg前後というハトムギの一般的な買取価格の倍を超える、700円/1kgの高値で買い上げることで農家の生産意欲を高め、栽培面積を拡大していったのだ。これなら農家も地域もJAも潤う、まさに善循環システムだ。
ハトムギビジネスは、農家の増収により地域を活性化。農業振興だけでなく、新たな雇用創出や、地産地消にも大きく貢献しており、理想のビジネスモデルとして、政府や産業界、経済界からも注目されている。

ハウス内には、2台のYH400(写真手前)をはじめ、6台のヤンマーコンバインが並ぶ。
氷見市内のJAグリーンひみでも<氷見はとむぎ茶>をはじめ、さまざまな加工品が販売されている。

中山間地域の小規模湿田でも小回りが利く、ミッドマウント管理作業車MD20が活躍!

本取り組みの主役であるハトムギは、中耕培土が必要で栽培管理に手間がかかる。そこでお選びいただいたのが、ヤンマーのミッドマウント管理作業車MD20だ。元々小規模なほ場でもコンパクトで小回りが利くという点が当地に合うということで、MD14を導入いただいたという。現在お使いのMD20は2代目となる。同社課長の寺林紀章氏に詳しくうかがった。
「旋回性は非常に良いですよ!狙った所に一発で入れる。真ん中にタイヤがあるから中心がとりやすいですね」と、寺林氏。さらに「MD20は播種部のステーが伸縮してコンパクトに積めるので、運搬やほ場間移動の際にうれしいですね。山間地の狭い道を行きますから」とも。
また小坪氏からも「トラクター+作業機は全長が長いので、平地の広いほ場なら良いけど、小規模ほ場だとすぐ枕地に突き当たる。山の中では小さい機械でないと入れない」とひと言。同社では平地はトラクター+作業機、中山間地域はMD20と使い分けられている。現在は約半々の割合だ。

走りながら作業機が見える、無段変速が便利…MD20ならではの栽培管理面でのメリットも

MD20の狭小地対応に加え、栽培管理面の魅力もうかがった。
「とにかく運転しながら播種しているところが見える点が良いですね」。寺林氏は、MD20最大の魅力を挙げてくれた。作業機が後ろにあると、シーダのローラが泥で詰まったときに見逃してしまうからだ。また、同社では設立当初からMD14をお使いいただいているが、「中耕培土は、MD20になって馬力が上がった分、逆転がパワーアップして、これまで以上に培土ができるようになったね」と、お喜びいただいた。長くお使いいただいているからこそご実感いただける魅力だ。
ハトムギは培土を3回行うが、3回目でもしっかり土を上げることができるという。

さらに、MD20の大きな特長である無段変速についても「非常に良いですね!ウチのMD20のフロントには、同時作業で施肥や追肥をするために施肥機を付けているんです。でも速度連動ではないので、大体60kg/10aを撒けるように調節しながら走るんですが、そのとき無段変速は微調整が利いて良いですね。まぁ車速連動機能がついていればベストだけど値段が上がるしね(笑)」と、冗談も飛び出すほどの好感触で取材を終えた。

もちろんご要望もうかがったが、ヤンマーアグリジャパン株式会社中部近畿カンパニー系統部 東昭宏課長の普段からのサポートもあって、ヤンマーには全幅の信頼をいただいており、現在お使いの1台に加えて、2台の追加受注をいただいている。
同社、そして同JAが取り組んだ、ハトムギを核としたビジネスモデルは、今も県内や北陸三県へ、全国へと広がっている。

ハトムギ栽培におけるMD20のメリット
「整地後にMD20で播種すると、3輪のホイル跡が浅い排水溝代わりになるんです。ハトムギは播種後水に浸かると出芽しないので、これは有難いですね」と、寺林氏。夏季に乾燥が続いた際はこのホイル跡にかん水をするという。これは意外なメリットだ。
ハウス内で出番を待つシーダ+施肥機を取付けたMD20。
ハトムギ刈取現地研修会でGS360に乗る小坪氏。

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