プレミアムマルシェ つくり手の紹介 岸上幸一さん

代々受け継がれてきた竹林で収穫する白筍

岸上幸一さん

岸上幸一さん
  • 生産者:岸上幸一さん
  • 食材:白筍
  • 所在地:大阪府貝塚市木積
  • 電話番号:090-3270-1779(岸上幸一さん個人携帯)

白筍

白筍

早朝4時。まだ真っ暗な竹林の中を、いくつもの光が行き交う。
陽に当たるとアクが出てしまうという白筍の収穫が行われているのは、大阪府の南部に位置する貝塚市木積。
ここは京都と並び、質のいい筍が収穫できる土地として知られている。

白筍

なかでも白筍は、その味わい、やわらかさとも絶品と評判が高く、大阪市内を始めとする高級料亭でも使われるなど、品質は折り紙つき。
この地域では、専業、兼業を合わせ、昔から多くの家が筍を収穫している。
現在三代目という岸上幸一さんもその一人。会社勤めをしながら、一年を通じて竹林の手入れをし、毎年春の収穫を行っている。
「昔は、もっとたくさん竹林があったんですよ。私自身は、手伝いというか、遊びというか、小学生のころから筍掘りをしてましたね」
先々代が始めたという筍の収穫。元々、竹林を所有していて筍を取ってはいたが、せっかく作るならいいものを、と一念発起。しっかりと手をかけて作るようになったんだとか。
「収穫は、だいたい3月下旬から始まって、5月の半ばくらいまでになります。でも1年かけて、色々と世話をしているんですよ」

白筍

収穫の時期には「親竹」と呼ばれる竹を決める作業が行われる。文字通り、収穫する筍の親になる親竹は、約8年ほどの間、筍を産み続け、その使命を終えるのだとか。
親竹選びは、場所と大きさを見極めることが肝心。収穫する筍の出来は、どんな親竹を選ぶかも大きく関わっている。目ぼしいものを見つけたら、竹ひごで☓印をつけておくのだそう。
「ほかにもいろいろな作業があるんですよ。例えば“先を折る”。竹の下の方から2、3本くらい枝が出てきたら、竹を揺すって先を折るんです。これは親竹が伸びすぎないようにするのと、竹林に光が入りやすくするためにやります。収穫後には“ヒツジ切り”と呼んでいる、細くて小さい筍を間引くことも必要ですし、夏場は手作業で草引きも行います。除草剤など使わず、全くの無農薬でやっていますからね。そして1月末に行うのが“土入れ”、“じみ入れ”と呼ばれる作業です」

白筍

この作業は、竹林の土を掘り出し、肥料などを入れ、その土を新たにかぶせることを言う。このとき入れる土の状態で、できる筍が違ってくるのだとか。
「サラサラの土を入れると、筍が大きくなるんです。逆に粘土質の土を入れると、サイズは小さいんですが、色が白くなる。そのバランスを見ながら、今年はどうするか、考えながらやっています」
さらに、竹林の土が乾きすぎると筍が黒くなってしまうことから、程よい湿り気を保つため、水の流れを工夫するなど、1年を通じて筍の世話は続く。
そうして手間をかけて育てた筍は、収穫するのもまた一苦労だ。
「オンシーズンは週に5日、早朝から収穫に行きます。前の日の夕方に竹林に行き、目印を付けておく。そして、次の日の朝4時ごろから掘り始めるんです」
朝堀りの新鮮な筍を収穫するため、この時期はゴルフや飲み会などもセーブして、早寝早起きの生活に切り替えるんだとか。

収穫日は、家族や近隣に住む親戚といっしょに早朝から竹林へ。
ライトを頭に付け、鍬を片手に作業をスタートさせる。地面がひび割れたところがあれば、その下に筍ができているんだとか。筍を見つけたら、傷つけないよう慎重に鍬を使い、掘り進めていく。中腰のままの作業はかなりの重労働だ。そして、日が昇る5時30分ごろには収穫が終了。そのまま市場に直送する。
「こうやって竹林を手入れして筍を掘ることで、家族や親族が寄りあえるのがいいことだな、と思っています。それに、うちの筍を食べた人がおいしいと言ってくれる。それがうれしいんですよ」
先代、先々代が一生懸命作ってきた竹林、筍を守っていきたい、と岸上さん。
これから先もこの木積の地で、極上の筍が収穫され続けていくことだろう。