株式会社農園屋五葉
代表
山根 正之様
- 地域 : 山口県山口市
- 作物・作業 : 水稲(18ha)
- 掲載年 : 2017年
- 密苗実証面積 : 6a
- その他 : 疎植栽培
株式会社農園屋五葉
代表
今回密苗モニターとしてご登場いただいたのは、山口県山口市で酒造好適米や主食用米と野菜を栽培しておられる株式会社農園屋五葉の山根さんだ。米の品種は、山田錦、ホシアオバ、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきだわら、ミヤタマモチと多品種を栽培しておられる。慣行栽培では「5条植えの田植機を所有しており、株数40株/m2、使用育苗箱数15~16枚/10aほどです」。
密苗に取り組もうと思われたきっかけは何だったのだろうか?「苗箱の水やりに時間と労力を費やしていますし、苗つぎや苗運搬がきついんです。実は5~6年前から疎植をやっています。慣行栽培に比べて使用育苗箱数が5~6枚/10a少なくなり、資材費が減りました。しかし、密苗の方がより資材費の削減が見込めると思いました。ヤンマーさんのすすめもあり、密苗について知れば知るほどやってみる価値があると思ったのがきっかけですね」。と、密苗に対する期待は大きい。
長年農業に携わる方々から「苗の鬼門は育苗だ」いうお話をうかがう。山根さんも例外ではなく、育苗が難しいと周囲から言われていたそうだ。「播種を行ったのは、5月14日でした。慣行栽培と違って生育が早かったですね。15日経過した時には17~18cmになっていました。草丈も長いので大丈夫かなと思ったので、寒冷紗を外す時期や育苗期間については不安がありました。手探り状態でしたがなんとかうまくいきました」。
密苗の苗についてはどのような印象をお持ちになったのだろうか?「草丈は十分なのですが、針を刺したような細さには正直少し不安を覚えました。ただ、根張りも良かったですし、ヤンマーさんのアドバイスを信じて進めました」。初めての密苗に全幅の信頼を寄せていただき、うれしい限りだ。
移植を行った感想についてうかがってみた。「欠株は少しありましたが、移植のスピードは従来通りでスムーズに行えました。苗つぎがなくなったのは非常に嬉しいですね。以前なら足りなくなった苗をわざわざ取りに行く必要がありましたし、余分に持っていくのも無駄でしたから。実感としては、苗つぎ・苗運搬は従来に比べて1/3になりました。体への負担も減り、とても楽になりました」。
また、「密苗を導入したことで、補助者も喜んでいますよ。苗つぎ・苗運搬も省力化になりましたが、苗箱に水をかける作業の負担が減ったと好評です。3000箱くらいあるので1日作業なんです。苗箱が減るというのは、色々な恩恵をもたらしてくれるんですね」。
苗箱が減り、それにともなう作業の省力、運搬の省力など、密苗のメリットを感じていただけたようだ。
密苗の収穫を終えられた山根さんに総合評価をうかがった。「密苗を導入して良かった点はずばり収量が増えたことですね。農作業の省力化と高効率化を達成しながらも収量が増えたのは驚きです。逆に悪い点はジャンボタニシ対策が不安だったことですね。あと、移植後の管理は苗が細いので水管理に注意を払いました。悪いとは言いましたが、次にやる場合はしっかり対策できるので心配はしていません」。
山口でもジャンボタニシの被害は大きい。次年度の対策ができるということで安心したが、収量が上がったということは何よりもうれしい報告だ。
次の作付けに密苗を使っていただけるだろうか?「周囲の評価も高かったですよ。思ったよりも根張りが良かったので好評でした。特に小規模農家でも実用性の高さを実感されている農家がおられます。私もこれからぜひ導入したいと思いました。購入した全ての種籾を密苗にしてみたいですね。ただ、山田錦で密苗を行った場合の試算データが欲しいですね。最後にヤンマーさんへお願いしておきます」。密苗に対する大きな期待と宿題をいただいた。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介