ニュースリリース

宮城県産アサリ資源復活に向けた技術開発研究の受託および実証試験の開始について

2013年08月09日
ヤンマー株式会社

ヤンマー株式会社(以下当社)は、東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」(以下TEAMS)が行う平成25年度の調査研究のうち、漁業復興を促進するためのアサリ等の短期成長および高生残率の種苗生産システムの開発に関わる技術開発研究を受託し、宮城県漁業協同組合石巻湾支所および宮城県水産高等学校の協力を得て、アサリ人工種苗(宮城県石巻市万石浦産アサリを親貝として生産)の海面中間育成および放流育成試験(以下、本試験)を開始いたします。

2011年3月に発生した、東日本大震災の津波・地震により、東北の太平洋岸では大量のがれきの堆積や藻場・干潟の喪失、岩礁への砂泥の堆積等により、沿岸域の漁場を含め海洋生態系が大きく変化しました。元来、宮城県内では、外来の巻貝の一種サキグロタマツメタによる捕食等により、アサリ資源の枯渇化が危惧されていたため、アサリ資源保護のための様々な取り組みが行われてきましたが、東日本大震災の発生以降、地震による干潟の地盤沈下や津波による侵食によって、宮城県内のアサリ漁場は未だ機能しておりません。そのため、アサリ資源復活に向け、漁場の整備や大規模な資源添加が地元漁業者から要望されておりました。

昨年度より、当社においては民間企業の立場として、自社が保有する二枚貝陸上種苗生産技術が東北地方沿岸域の漁業復興支援へ役立つと考え、現地行政機関・地元漁業関係者・東北大学のご協力を仰ぎ、「地域漁業再生」への協力を行って参りました。本試験も、ヤンマーと上記関係者の皆様が一体となって進めていく「地域漁業再生」に向けた取り組みとなります。

ヤンマーは、被災地の漁業を元気にするソリューション提供を引き続き進めて参ります。

1.本試験の概要

東北大学と当社との委託研究契約に基づき以下を実施します。

  1. 二枚貝中間育成装置を用いたアサリ人工種苗の中間育成技術開発
  2. 東日本大震災以降、環境が激変した東北地方沿岸域の増養殖漁場環境に適応した、アサリ人工種苗の放流育成試験の実施と放流効果の検証

2.試験期間(予定)

2013年8月〜2014年3月

3.実証試験場所

宮城県石巻市万石浦(宮城県漁業協同組合石巻湾支所の管理海域)

【ご参考資料】

『東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」とは』
(東北マリンサイエンス拠点形成事業ウェブサイト:http://www.i-teams.jp/  より抜粋)

東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」とは、文部科学省の海洋生態系研究開発拠点機能形成事業費補助金制度により、東北大学、東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構が中心となって実施する事業で、TEAMSはその英語名称(Tohoku Ecosystem-Associated Marine Science)の略称であり、その実施体制でもあります。

東北の太平洋岸では、東日本大震災の津波・地震による、大量のがれきの堆積や藻場・干潟の喪失、岩礁への砂泥の堆積等により、沿岸域の漁場を含め海洋生態系が大きく変化しました。このため、海洋生態系の回復を図るとともに、沿岸地域の産業を復興させることが緊急性の高い重要な課題となっており、「東日本大震災からの復興基本方針」(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)においては、「震災により激変した海洋生態系を解明し、漁場を復興させるほか、関連産業の創出にも役立たせるため、大学、研究機関、民間企業等によるネットワークを形成」することや「さけ・ます等の種苗生産体制の再構築や藻場・干潟等の整備、科学的知見も活かした漁場環境の把握、適切な資源管理等により漁場・資源の回復を図る」こと等が掲げられています。

また、文部科学省では、科学技術・学術審議会海洋開発分科会において東日本大震災への対応について検討が行われました。この内容については、「海洋生物資源に関する研究の在り方について」(平成23年9月16日)において、東北沖における研究開発を継続的かつ体系的に実施するため、全国の関連研究者のネットワークとして、大学等の研究機関を中心としたマリンサイエンスの拠点を東北に形成すること、また、マリンサイエンス拠点における活動については、海外の研究機関や民間企業とも連携することが必要であり、将来的には、国際的な海洋研究拠点として発展、継続していくことが提言されています。

これらを踏まえ、本事業においては、東北大学、東京大学大気海洋研究所、海洋研究開発機構が中心となり、大学や研究機関による復興支援のためのネットワークとして「東北マリンサイエンス拠点」を構築し、地元自治体や関係省庁等と連携しつつ、東北の復興を図るため東北沿岸域からその沖合海域における海洋生態系の調査研究を実施します。

TEAMSは、海洋科学技術分野のオールジャパンの研究者の力を結集し、対象海域の物理・化学的環境と生物動態について総合的に調査研究し、海洋生態系の変動メカニズムを解明することで、漁場の設定や資源量予測に資する科学的知見やデータを提供することを目的としています。

以上

<注記>
ニュースリリースに記載されている内容は、記者発表時点のものです。最新の情報とは内容が異なっている場合がありますのでご了承願います。

本件に関するお問合せ先

1.ヤンマー株式会社 社長室ソリューショニアリング部マリンファーム
TEL:0978-68-0766 FAX:0978-68-1164

2.ヤンマー株式会社 総務部・広報グループ
TEL:06-6376-6212 FAX:06-6372-2455 E-MAIL:koho@yanmar.co.jp

※技術的なお問い合わせにつきましては、上記1.にお問い合わせ下さい。

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