ヤンマーテクニカルレビュー

ねぎ収穫機HL10,Uの紹介
~より使いやすく、より効率よく~

Abstract

Leek harvesters are used to harvest long onions, these machines are used in routine operations where they reduce labor requirements and shorten harvesting times by combining the four steps of ridge breaking, digging up, soil removal, and bundling into a single step. The latest model change has been developed to find favor among an even wider customer base by adopting adjacent digging and a compact storage configuration, thereby making the harvesters easier to use and more efficient.

This article describes the features and the technologies incorporated in the new HL10,U model used to achieve them.

1.はじめに

ねぎ収穫機は長ねぎ(白ねぎ、根深ねぎ)を収穫する機械である。慣行作業では「うね崩し」、「掘取り」、「土落とし」、「集束」の4工程で行っていた収穫作業を1工程で行い労力軽減や収穫時間を短縮することができる。

ねぎ収穫機HL1は中小規模のねぎ生産者に「労力軽減」「労働時間短縮」「投資コストの低減」という3つのソリューションを提供するために2015年に商品化された機械である。

今回のモデルチェンジでは「隣接掘り」「コンパクト収納」を実現することで、さらに使いやすく、さらに作業効率を向上させ、より多くのお客様に喜んでいただけるようにするため開発を進めてきた。

本稿では、モデルチェンジ機であるHL10,Uに織込んだ特長とその技術を紹介する。

2.商品概要

2.1.外観

図1 ねぎ収穫機HL10,U
図1 ねぎ収穫機HL10,U

2.2.主要構造

(1)うね崩し・掘取り・土落とし・集束が一連作業で行うことができ、搬送ベルトでやさしく、丁寧に搬送。ねぎの収穫作業の大幅な省力化が図れる。

①ゲージ輪:うねの両側を挟むことで機械がうねに追従して走行することができる
②うね崩しロータ:硬いほ場でもねぎの側面の土を崩しながら掘り取りできる
③掘取コンベア・搬送ベルト:ねぎを傷付けずにやさしく搬送できる
④土落としロータ:根の土を落とし、後工程で土を落とす手間を軽減できる
⑤作業台:ねぎ収穫用ネットなどを置き根を揃えて集束作業ができる

図2 主要構造
図2 主要構造

3.本機の特徴

3.1.作業能率・作業性の向上

(1)片側車高調節装置(手動)の追加

従来の機械では左右のクローラが通る溝の深さが同じでないと機体が傾き直進性が保てず正常な収穫作業ができないことがあるため、下図のように端から収穫できず掘り取ったねぎを運搬するのに手間がかかり作業能率が悪くなる場合があった。

図3 圃場条件と作業のしかた
図3 圃場条件と作業のしかた

今回のモデルチェンジでは溝の深さが異なっても機体の傾きを補正する「片側車高調節装置」(図5)を採用した。これにより排土板等のオプションを装着しなくても、ほ場の端から順番に収穫作業ができるようになり作業能率が1.2倍程度向上する。
また、機体の傾きを補正することにより、さらに直進性を向上させることができた。

図4 車高調節時のクローラ位置
図4 車高調節時のクローラ位置
図5 片側車高調節装置の構造
図5 片側車高調節装置の構造
(2)補助搬送の追加

収穫したねぎは作業台の上で集束作業を行う。集束作業は作業台に搬送されたねぎをシートの上に根の部分を揃えて置き一定量で束ねる作業である。これがきれいに整列されていると、ほ場から持ち帰っての調整作業が効率よく行うことができる。
ねぎがきれいに整列し搬送されるようにするため補助搬送装置を追加した。これにより従来機よりさらに集束作業が楽に効率よく行うことが可能となった。

図6 補助搬送装置
図6 補助搬送装置

3.2.労力軽減・省力化

(1)開閉式ロータカバーの採用と土落としサイドゴム追加

収穫したねぎに付着した土を作業台に搬送されるまでに落とすことは、収穫後持ち帰ってからの調整作業の効率を上げる上で非常に重要である。従来機よりさらに土落とし性能を向上させるため開閉式ロータカバーの採用と土落としサイドゴム追加を行った。
これにより従来では土が落ちにくかった土質や圃場条件においても大幅に土落とし性能が向上し、連続作業が可能となった。

図7 開閉式ロータカバー(左:カバー閉、右:カバー開)
図7 開閉式ロータカバー(左:カバー閉、右:カバー開)
図8 土落としサイドゴム追加
図8 土落としサイドゴム追加

3.3.導入コストの低減抑制

(1)コンパクト収納

従来は機械の運搬には2tクラスのトラックが必要であり、また納屋等に機械を保管するときも広いスペースが必要となるため、収納時のコンパクト化の要望があった。
今回のモデルチェンジでは従来機より全長を約800mm短縮し、1tクラスのトラックに積載可能とする収納方式を採用した。これにより、ねぎ収穫機をご購入されるお客様が新たに運搬用のトラックを準備しなくても手持ちのトラックで運搬することが可能となった。

図9 作業状態と収納状態
図9 作業状態と収納状態

4.おわりに

ねぎ生産者・産地の減少に歯止めをかけ、ねぎ産地を拡大するために商品化されたねぎ収穫機を、さらにレベルアップしお客様の課題を解決すべくモデルチェンジの企画がスタートした。機体の傾きを補正する手段、土落とし性能UP、集束作業の容易化、コンパクト収納などの多くの技術課題を限られたスペースや開発投資の中でプロジェクトチームメンバー、関係部門、現地でのほ場試験にご協力していただいた方々と商品化を進めてきた。
この機械がお客様の課題を解決し、価値を提供し続けていくことができる商品であると確信している。今後も野菜づくりはヤンマーだとお客様に選んでいただける商品を開発し提供していきたい。

著者

ヤンマーアグリ株式会社 国内事業部 開発部

岡本 圭司