中村 竜也 様
株式会社岡山農栄社 技術開発課 係長
農作業のなかでも代表的な重労働が、玄米の袋詰め作業です。規模の大小に関係なく、多くの方が「なんとかして欲しい」作業ではないでしょうか。
そんななか増えてきたのが、玄米を30kg袋ではなく、1tのフレコンバッグに詰めて出荷する「フレコン出荷」システムです。農家の労力軽減が主な目的ですが、誰かが付きっきりになる30kg袋詰めと違い、1tフレコンバッグの場合は一杯になるまで20~3・40分ほど手が空くため、プラスαの仕事ができます。
JAの助成などのサポートで普及が進んでいますが、集荷率・買取量アップを目指すJAとしてもメリットがあり、さらに人件費を考えると、コストダウンなど、さまざまな魅力が見えてきます。
そこで、フレコン出荷システムを取扱っている作業機メーカー2社にその魅力をうかがいました。
株式会社岡山農栄社 技術開発課 係長
1998年にフレコンホルダーを販売して以来、貯留タンクやスケールなど、市場ニーズを反映しながら商品を増やしてきたのは株式会社岡山農栄社(本社/岡山県岡山市)だ。
そのラインアップはミニライスセンターなどに設置する大型システムから、小規模農家に設置できる低天井対応型など幅広い。
またサイズバリエーションだけでなく、機能に対してもこだわっている。計量の要とも言える1t秤については、すべて取引証明用として認定された検定品で、多機能タイプから移動がラクな薄型・軽量タイプ、安価タイプなどを揃える。
1t秤のほかにも30kg袋取り装置や全自動サンプラー、警告灯、プリンタなど豊富なオプションでも農家やJAの要望に対応。そのバリエーションは業界最多だという。なかでも一番の人気商品が、3タイプを揃えた「フレコンバッグスケールシステム」だ。
その特長を、ご担当の中村氏にうかがった。
「たとえば、通常1tのフレコンで出荷するが30kg袋取りもしたい農家さんには1tタンク付きスタンダードモデル。貯留タンクにもっと余裕がほしいなら3tタンク付きの大型モデル。とにかく小さな投資で導入したいなら安価モデルと、ユーザーの事情やニーズにあわせて選んでいただける。あと天井の低い作業場にも置ける、全高2.8mの低天井対応型のシステムも2015年よりラインアップします」と中村氏。
まだフレコン出荷という発想がなかった頃からお客さまの声に耳を傾け、ノウハウを蓄積してきた同社は、お客さまの気持ちを知り尽くしている。まさにフレコンのエキスパートとも言える同社のシステムなら、農家の労力軽減や効率アップの夢を叶えてくれるに違いない。
株式会社タイガーカワシマ 技術部 技術課 課長
株式会社タイガーカワシマ(本社/群馬県邑楽郡)は 「天井高3mの作業場」に特化した、小型のフレコン自動計量機「フレコンメイト」を主力にしている。
もともと小型作業機を得意としていた同社は、フレコン計量機の品揃えがなかった。しかし近年、中小規模の農家から、小型のフレコン計量機をつくって欲しいという声が増え、その要望を汲み取るかたちで、小型というニッチな市場に狙いを定めて、3年前にフレコン計量機の開発に着手。2014年から同機を販売している。
ご担当の増渕氏は「フレコン出荷で楽をしたいのは、大規模農家さんだけではありません。でも天井高3mほどの作業所では、大きなタンク付きのフレコン計量機を導入できない。そこでコンパクトな装置を開発したんです。
これなら作業場を改装しなくてもいい。今まであきらめていた農家さんに置いていただける。昇降機部分の高さをクリアすれば、タンクやフレコンホルダー部分は2m程度なので、斜めになった軒下部分にも設置できるんです」と語ってくれた。
作業場の天井が低いお客さまに加えて、「作業場内が一杯で、置けない」というお客さまも導入いただける。また本体が工場組立て済み商品なので、1tトラックで運んで、梱包を外して置くだけですぐ使える、というのも魅力だ。小型なので作業所出入口のシャッターも邪魔にならない。ちょっとしたことだが、このような些細なところに気付くのも小型に特化したからだろう。
2015年春からは、標準タイプにオートサンプル付きモデル、はかりなしモデルを加えた3タイプで応え(はかりは取引証明用検定品、プリンタ付きも対応)、お客さまのさまざまなニーズに応えるという。そんな同社の動きから、当分目が離せない。