メンテナンス不足が原因の故障事例 -産業用エンジンの例

メンテナンスをしないと作業中のトラブルや大きな故障につながり、修理コストが高くなってしまう場合があります。ここではそのような事例をいくつかご紹介します。
ヤンマーでは、故障を防ぎ、より長く製品を使うためにも、定期的なメンテナンスを推奨しています。プロのサービススタッフによる定期点検・整備も行っていますので、お近くの販売店までご連絡ください。

CASE 01. エンジンオイル・潤滑油フィルターの継続使用

クランクの破損-1

〈現象〉
①エンジンオイル内の金属粉がオイルフィルターで集積されず、金属粉の混じったエンジンオイルがクランク軸摺動部に供給されました。
②クランク軸摺動部の摩擦抵抗が大きくなり、ピンメタルの焼き付きが発生しました。
③運転中のクランク軸折損により、ほかの部品も破損しました。

クランクの破損-2

〈現象〉
①エンジンの中に金属粉が溜まり、ジャーナルメタルが焼き付いた結果、クランクシャフトが折損しました。
②エンジンが停止し、クランクシャフトが折れたため、ほかの部品も破損しました。

クランクシャフト、ジャーナルメタル

油圧低下異常

〈現象〉
①エンジンオイル内の金属粉がオイルフィルターで集積されず、金属粉の混じったエンジンオイルが潤滑油ポンプ内に侵入しました。
②ポンプの調圧弁に金属粉が入り、弁が開いた状態で固着されたため、調圧機能が働かず、油圧が低下しました。
③各摺動部へエンジンオイルが供給されず、オイル切れによる摩擦で、焼き付きが発生しました。

潤滑油ポンプの調圧弁が開いた状態で固着、油圧低下

CASE 02. 燃料フィルターの継続使用

プランジャー(燃料噴射装置)の早期摩耗

〈現象〉
プランジャー(燃料噴射装置)のリード部に砂のような異物が付着し、エンジンが始動不良になりました。

プランジャー(燃料噴射装置)のリード部が磨耗
プランジャー(燃料噴射装置)のリード部に砂のような異物が付着

分配軸の焼き付き

〈現象〉
プランジャー(燃料噴射装置)の溝に異物が付着し、分配軸が焼き付いてしまったため、エンジンが始動不良になりました。

A:溝に異物が付着 B:分配軸の焼き付き

ノズルへの異物噛み込み

〈現象〉
①インジェクター(燃料噴射器)のノズル噴口に異物が詰まり、燃料がうまく噴射されずエンジンが始動不良になりました。
②そのため、白煙が発生し、異音も聞こえるようになりました。

ノズル噴口に詰まり発生、亜鉛相当の異物が詰まっていた

CASE 03. オイルの注油不足

エンジンの焼き付き

〈現象〉
①ロッドメタルが摩耗により消失しました。
②ロッドメタルが消失したことで、ピストンがヘッドに干渉し、エンジンが停止しました。

オイルパン内、ロッドメタル摩耗により消失
ロッドメタル消失により、ピストンがヘッドに干渉

CASE 04. 吸気バルブのメンテナンス不足

白煙発生

〈現象〉
①バルブシート面が摩耗し、吸気が十分に行われず、エンジンの燃焼不良となりました。
②その結果、エンジンから白煙が発生しました。