YACHT RACE セーリング競技(ヨットレース)の種類

セーリング競技(ヨットレース)の種類

ヨットレースでは、エンジンやモーターなどの動力を一切使うことなく、セールで受けた風の力を使って推進力を生み出し、他の船と速さを競い合います。
オリンピックのセーリング競技をはじめとするディンギーレースなどは、規格を統一した同型の艇を使って行われる「ワンデザインクラス」というもので、着順によって順位を決めます。1回のレガッタ(1大会)につき、2~5レース、多い場合は10を超えるレースが実施されるシリーズレース方式が主流です。例えば1位=1点、2位=2点という具合に、全てのレースの得点を合計し、その合計点が少ない順から、1位、2位、3位……と順位を決めます。
ヨットには、さまざまなサイズやコンセプトがあり、その条件によって乗艇する人数や競技性が若干変わってきます。そこで、ワンデザインクラスのレースがある一方で、ヤンマーカップのように大小さまざまな種類のヨット同士でレースをする場合は、「レーティング」を設けて、そこから求めたハンディキャップの係数をかけた時間修正によって順位を決めます。例えば、同じ30分でフィニッシュしたとしても、ハンディキャップが0.9のA艇と0.8のB艇があれば、A艇=27分(30×0.9)、B艇=24分(30×0.8)で、レースに要した時間の短いB艇のほうが順位が上になります。

※レーティング:異なる艇種間で行うヨットレースで用いる、艇ごとの格付け。ここからそれぞれの艇のハンディキャップとしての係数を求め、フィニッシュ時間の修正を行うことで、公平なレースができるような仕組み。

ヨットの種類分布図

クルーザー(キールボート)

  • バラストキール(船底中央部のおもり)を備え、エンジンを搭載していない小型のヨットを「キールボート」と呼ぶ
  • 外洋を走るに足る装備(エンジンを含む)や居住空間を備えたヨットを「クルーザー(セーリングクルーザー)」と呼ぶ
  • 基本的には3人以上の大人数で乗り、それぞれが役割を担当してヨットを走らせる。1人乗り(シングルハンド)、2人乗り(ダブルハンド)のレースもある。
  • ワンデザインクラス以外に、レーティングを用いて異なる艇種で競うハンディキャップレースも盛ん。

ドラゴン級〈3~4人乗り〉

1948年(ロンドン)~1972年(ミュンヘン)の間、オリンピック種目に採用されていたキールボート。美しい船体はドラゴン級ならではのもので、現在も欧州を中心に人気の高いクラシックヨット。世界の王室にも愛好家が多いことでも知られている。ヤンマーでは、このクラスの大会をサポートしているほか、ヤンマーレーシングがレース活動を行っている。

J/70〈3~4人乗り〉

J/24、J/22など、ワンデザインクラスの世界で実績を残しているJ-Boat社(アメリカ)のキールボート。2012年発表、全長6.93mで、トレーラブルで運べる手軽さも魅力の一つとなっている。ジェネカー(非対称スピネーカー)を備えた現代的なコンセプトを持ち、世界25カ国で1,500隻以上が進水し、レースシーンが大変盛り上がっているクラスだ。

メルジェス20〈3〜4人乗り〉

ミニマムクラス(全長6.096m)のワンデザイン・キールボートとして、日本でも人気を集めている。スライダー式のサイドステイや小型ジブファーラーなど、最新の技術を駆使した装備を持つ次世代のキールボートといえる。クラスルールで、アマチュアヘルムスマンであることが定められていたりして、若い世代のセーラーの登竜門にもなっている。

HPR〈8~12人程度〉

High Performance Rule(ハイパフォーマンスルール)というレーティングシステムの下でデザインされたレーシングボート。極端に広くて薄いスターン(船尾)形状を持つ、軽排水量型の高速プレーニングタイプのボートで、現在の日本におけるグランプリレースシーンの中心となっている。まさに時代の最先端を行くクルーザーだ。

AC72 〈11人乗り〉

「海のF1」とも称されるアメリカズカップ。その2013年大会で使われたのが、船体長72ftの巨大なカタマラン(双胴艇)であるAC72。水中翼を備えており、なんと水面から浮き上がって、40ノットを超えるスピードで滑走する。そのエキサイティングな走りは、これまでのアメリカズカップ、いやヨットに対する概念を覆したといってもいいだろう。

ディンギーヨット

  • ジュニアから高校生、インカレ、国体、そしてオリンピックなどで使われる小型ヨット。
  • 1人乗り、2人乗りと、さまざまな艇種があり、基本的にワンデザインクラスでのレースを競う。
  • 船も軽く、すばやい方向転換が可能。ハードなコンディションの際には、波に乗ったりすることも。
  • 70~100艇が参加するレースもざらで、たくさんのヨットが並んで一斉にスタートラインを切る様子は圧巻。

470(ヨンナナマル)級〈2人乗り〉

オリンピックの種目に採用されており、日本人が過去にメダルを獲ったこともあるほか、世界選手権でも日本人選手が数多く活躍するクラス。国内ではインカレの種目にも採用されている。2人乗りで、艇のバランスを取るために、クルーが大きく外に体を外に出すことも特徴の一つ。通常は2枚、風下に向かうときにはもう1枚セールを揚げる。

レーザー級〈1人乗り〉

シングルハンド(1人)クラスとして最も人気の高い艇種で、1枚帆のシンプルな艤装(船の装備)が特徴。オリンピッククラスにも長く採用されており、艇の性能よりも、セーリングスキルそのものを競うにはもってこいという点が人気の秘密だろう。全長は4.23m、そのコンセプトから、これからヨットをはじめようとする人のための入門艇としても適している。

モス級〈1人乗り〉

クラスルールの中で、いろいろなボートを造ることが可能。現在の主流はフォイリング(水面から浮き上がって滑走する)ボートで、その高速セーリング性能は、ほかのディンギーヨットとは一線を画する。2016年には神奈川県・葉山で世界選手権が開催され、世界13カ国から72人のセーラーが集結。ヤンマーが大会のメインスポンサーを務めた。

49er (フォーティナイナー)級〈2人乗り〉

巨大なメインセールとジェネカー(追っての風で使うセール)を持つ、ハイパフォーマンスボート。2000年(シドニー)からオリンピック種目にも採用されている。ヘルムスマン、クルーの2人の乗員は、トラピーズと呼ばれる装備を身に着けて、艇の外に大きく体を出して艇を走らせる。セールを一回り小さくした49erFX級が、女子の五輪種目になっている。

OP(オプティミスト)級〈1人乗り〉

現在、ワールドセーリング(国際セーリング連盟)が承認する最も小さなクラス(全長2.31m)で、15歳までのジュニアセーラーによってレースが行われている。箱型の船体に1枚帆の組み合わせで、強風下でも高い安定性を持ち、また容易に操船することが可能であることから入門艇として最適で、世界約100カ国、15万人以上の子供たちが活動している。

RED BULL FOILING GENERATION〈2人乗り〉

次代を担うユースセーラー(16~20歳)を対象に、2015年に初めて開催されたシリーズレース。最先端のフォイリング艇(2人乗りのフライングファントム)でのセーリングスキルを身につけ、ユースアメリカズカップ、そしてアメリカズカップへとつながるセーラーを育成する目的で創設された。

ドラゴンとは

90年の歴史を持ち、1948年から1972年までの間はオリンピックの競技種目にも採用されていた、伝統のあるセーリング競技です。世界30か国以上にドラゴンクラスの協会が設置されており、世界的にも愛好者の多い競技クラスです。全長8.90メートル、セールの面積やマストの長さ、搭乗員の最大総重量にいたるまで同一規格のインターナショナル・ワンデザインクラス。レース艇の性能やセーラーの身体的なパワーよりも、セーリングスキルや経験が勝敗を左右します。世界各地で開催されるレースに参戦し、年間を通じて獲得したポイントで年間の順位が決定します。オリンピックやアメリカズカップなどを経験した著名なセーラーなども多数参戦し、セーラーの間では「いつかはドラゴンクラス」と憧れられる競技です。

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