2019.04.04

資源循環型社会を目指して。食とエネルギーの課題解決に取り組むヤンマー コタキナバルR&Dセンター

ヤンマーが100年先の未来を見据えて掲げたブランドステートメント“A SUSTAINABLE FUTURE”。この理念のもとヤンマーでは、人と自然が共生するより豊かな社会の実現に向け、世界各地で“これから”を見つめた研究開発に取り組んでいます。

ヤンマーの研究拠点は、国内では滋賀県米原市「中央研究所」、岡山県倉敷市「バイオイノベーションセンター倉敷ラボ」、そして大分県国東市「バイオイノベーションセンター マリンファーム」の3施設。海外では、イタリア トスカーナ州フィレンツェ市「ヤンマーR&Dヨーロッパ(YRE)」、中国「ヤンマー(山東)R&Dセンター」、そして、今回ご紹介するマレーシア「ヤンマーコタキナバルR&Dセンター」があります。

人口増加による食料問題と、エネルギーの需要増加が世界的に進行している中、ヤンマー コタキナバルR&Dセンター(以下YKRC)では、「効率的な食料生産」と「エネルギーの安定供給」という大きな課題の解決にむけて日々研究を行っています。

これらを解決するヒントとなるのが、バイオ技術を用いた育てる漁業の推進、そして、エネルギーの多様化と有効活用という視点です。

エネルギー有効利用のパイオニアとして、さまざまなソリューションを研究

YKRCは、ヤンマーが海外で最初に設立したR&Dセンター(Research and Development=企業の研究開発部門)です。アジアの新しい拠点として、滋賀県米原市の中央研究所と連携。再利用可能な有機性資源(化石資源を除く)、いわゆるバイオマスをはじめとする新エネルギー利活用の研究開発を行っています。

全世界的に資源の枯渇や環境問題が顕在化する中、エネルギー有効利用の先駆者として、資源循環型社会を実現させるためのソリューションを研究。このYKRC内には「サスティナブル・ソリューション・クリエートグループ」、「エンジングループ」、そして「分析グループ」があり、これら3つの研究開発部門が一体となって、互いに協力しながら課題解決に取り組んでいるのです。

次世代の食料生産システム「アクアポニックス」 

サスティナブル・ソリューション・クリエートグループが研究しているのは、アクアポニックスと呼ばれる、次世代の循環型食料生産システムです。これは魚の養殖システムと、水耕栽培のシステムを一体化したもの。つまりは、魚に餌を与え、排泄されたフンを微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収。さらには、植物のフィルターによって浄化されたきれいな水で魚がイキイキと育つ、いわば“小さな生態系”なのです。

土づくり・水やり不要、環境保護と生産性の両者に配慮した、地球にやさしい食料生産システムとして世界的に注目を集めており、YKRCでは、さらにスケールアップした大型水槽を活用したアクアポニックスシステムも手掛けています。

ヤンマーは画期的なイノベーションが求められる中、自らの価値の中心であるテクノロジーを活用し、バイオ技術を用いた農業および養殖業の推進へと全力を注いでいます。そして、最新技術で燃料などの化学分析を行うグループと一体となって、さまざまな課題解決にあたっています。

次世代を担うエンジン、そしてバイオディーゼルの研究開発拠点

小型ディーゼルエンジンのパイオニアであるヤンマーは、安全でクリーン、燃料を一滴たりとも無駄にしないエンジンの研究にも力を入れています。

ここYKRCでは、マレーシアの一年を通じて安定した気候がエンジンの耐久テストを行う上で適していることから、主に、次世代エンジンおよび周辺機器の信頼性・長期耐久性評価を担当。また、再生可能エネルギーであるバイオディーゼルの研究開発も行っています。

YKRCでは、クッキングオイルの廃油などからできたバイオディーゼルを発電機で電気に変えるシステムの普及を目指し、様々なテストを実施しております。このソリューションが広く展開されれば、レストランやホテル、小さな島のリゾート施設などで処分されていた廃油を有効活用することができ、資源循環型社会の実現につながります。

ヤンマーが掲げる “A SUSTAINABLE FUTURE”の理念のもと、YKRCはASEAN地域の食そしてエネルギーに関する研究開発を進め、お客様の願いと世界の革新に追いつくために、これからもチャレンジを続けていきます。

 

関連情報

テクノロジーを支えるグローバルな研究拠点

廃食油をエネルギーに変える バイオディーゼル発電の可能性(前編)

廃食油をエネルギーに変える バイオディーゼル発電の可能性(後編)