YESSA 一般社団法人ヤンマー資源循環支援機構

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助成事業

審査・選考のポイント(選考委員インタビュー)
佐藤 秀一 福井県立大学 教授

所属機関:福井県立大学 海洋生物資源学部 海洋生物資源学科
     養魚育成管理分野(3月31日まで)
     (4月1日より)同大学部 先端増養殖科学科 教授 農学博士
専門分野:養殖飼料の開発

佐藤教授の研究活動についてうかがいました

Q1:これまで取り組んでこられた研究の中で、思い出深い、あるいは研究者としてターニングポイントとなった研究テーマについてお聞かせください。

学部4年時の卒論の研究テーマが、『飼料となる魚粉に含まれる亜鉛やマンガンといった微量元素の利用性を虹鱒で明らかにする』というもので、最初は重箱の隅をつつく、そんな印象を抱くようなつまらない課題だなぁと思いました。それでも、0.3gほどの50尾の虹鱒を入れた水槽を7つ、計350尾で育成しその影響を観察しました。ところが10週間が過ぎても何の兆候も見られず、結局卒論のための成果が出ず終いで、急遽別のテーマで卒論を仕上げざるを得ませんでした。

卒論には間に合いませんでしたが、諦めきれずに93週間(卵を持つまで)虹鱒の観察を継続しました。そうすると、20週目を経過した頃に微量元素欠乏の症状が表われ始め、徐々に兆候が明らかになり、93週目にはその症状としてピラニアのような形態や白内障に侵された魚体が多く出現しました。その原因を追究した結果が私の博士論文となりました。このことが、現在の企業との共同研究成果として魚粉や魚油に頼らない飼料の開発に繋がっていきました。

オンラインインタビューの様子。
4月より新設される学科の準備に向けてお忙しい中、ご回答いただきました。
Q2:企業との共同研究も多く手掛けられてきたとうかがいましたが、その中で思い出深い研究についてお聞かせください。
主に養殖飼料の原材料を供給する会社との共同研究が多かったのですが、その中のひとつの微細藻類を原材料にした家畜飼料を生産する外資系企業と共同研究が一番の思い出です。世界で初めて、魚粉や魚油を使わない養殖魚用飼料の開発に成功しました。
Q3:現在取り組まれている研究テーマはどんなことでしょうか。
福井県は海産物に恵まれた土地柄ですが、その中でも特徴ある養殖魚が豊富です。例えば酒粕を飼料に混ぜて与える「よっぱらいサバ」や、雪解け水により他地域に比べて低水温の期間が長い恵まれた養殖環境のため、身が締まり旨みを十分蓄えた「若狭ふぐ」「八百姫ひらめ」「若狭まはた」など、ブランド化され、市場流通している養殖魚がありますので、その飼料の開発に取り組む予定です。しかし、昨年末に東京海洋大学から本大学へ来たばかりなので、まだ新設される学科の研究室がなく現在は間借り状態なんです。
Q4:これから取り組んでみたい研究テーマは?
これまでも魚粉や魚油ではなく、微細藻類に加えて大豆やトウモロコシを原材料とした飼料開発に取り組んできました。現時点で真鯛の飼料開発までは研究レベルで可能となりました。しかしブリやマグロについては依然肉食系飼料のままなので、これらの魚種でも通用する養殖飼料を開発したいと思っています。

審査・選考のポイントについてうかがいました

Q5:申請テーマを審査する上で留意されていることは?
やはり資源循環の実現を目指し、かつ社会実装が可能か否かという点を評価します。助成期間も限られているので、期間中にある程度社会実装の目処が立つようなテーマに良い評価点をつけています。また、基礎研究テーマよりは基礎研究で得られた成果を応用するような研究を評価します。
Q6:ご自身の専門分野の応募テーマを評価するポイントは?
自分の専門分野に近いテーマについては、どうしても粗と言いますか欠点が目についてしまいます。評価の軸は専門、専門外関係なく、社会実装の実現性に置いていますが、どうしても専門外のテーマよりは若干厳しい評価になります。
Q7:専門外の応募テーマについてはどういった視点で評価されてますか?
初めて耳にする用語や取り組み等が多くあり新鮮で非常に勉強になりました。そういったテーマについては、キーワードをネット検索し、研究テーマの内容の理解に努めたり、類似研究の有無を確認したりして評価のベースをつくります。
専門分野のテーマ評価においても同じなのですが、申請者が過去に取り組まれた課題を継続して追究するテーマについては新規性が見えず低い評価にしています。
Q8:これから申請される方へ、ひと言お願いします。
今まで蓄積してきた基礎研究の成果を礎にした応用研究で、ヤンマー資源循環支援機構の応募テーマにある、『農林水産資源の循環を実現し持続可能な社会を実現する』研究テーマを多く申請してきて欲しいと思います。
Q9:最後にひと言お願いします。
日本の国公立大学の財政はどこも非常に厳しい状況です。特に若い研究者の方々は研究費の捻出に苦労されています。そういった中でヤンマー資源循環支援機構は、科学研究費とは違って自由度があり、実際的に研究者をサポートする助成事業を展開されています。今後も可能であれば助成規模を拡大して事業を継続していって欲しいと希望します。
佐藤教授、ありがとうございました。
2022年1月19日取材

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