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助成事業

審査・選考のポイント(選考委員インタビュー)
佐々木 伸大 大阪公立大学 教授

所属機関:大阪公立大学 大学院農学研究院 応用生物専攻 食料安全科学グループ
専門分野:食料安全科学、植物分子生物学

佐々木教授の研究活動についてうかがいました

Q1:専門と経歴について教えてください。

食料安全科学研究室を担当しています。専門は植物がもつ色素等の二次代謝物について植物分子生物学、生化学、分析化学等を用いて取り組んでいます。東京農工大学の工学部生命工学科で色素関係を学び、学位取得後東北大学で花卉の酵素学の基礎を学びました。間もなく東京農工大学に戻り、植物色素の研究を続けるとともに、遺伝子組換えの食品安全性について取り組みました。元々研究室の教授が食品安全委員会に関わっていたので、その流れを受け継いで現在でも遺伝子組換え食品や添加物の安全性の評価に関わっています。この分野は研究というよりも行政からの依頼の部分の方が多いように思います。岩手の生物工学研究センターに移り、花の色素に取り組んだ後、東洋大学で食品添加物とバイオテクノロジーを教えることになりました。2022年から現在の大阪公立大学で植物色素の研究を続けるとともに、食品安全行政にも関わっています。

植物や花の色について熱く語る佐々木教授。
研究室にはさまざまなクッキングトイもありました。
Q2:植物や花卉の色や形、香りも興味深い領域ですね。
私の研究は花の色からスタートしました。花の色は虫や鳥、中にはコウモリを引き付ける役割を持っています。鳥だと赤、虫では黄色、翡翠色の花の一種ではコウモリが受粉を媒介していると言われています。色の他に形や模様といった要素もありますが、色素そのものの合成に関係する遺伝子がわからないので、まずは色から調べることになりました。遺伝子の解明が進んだこの25年くらいで、花の色と遺伝子の関係をはじめ、さまざまなことがわかってきました。黎明期から関わることができたのがタイミング的にもよかったと思っています。また、食品の色については誰もが関心のあるところですが、昨今、食品添加物でも天然志向が高まっており、植物色素も天然の着色料として需要が増えています。天然の色素は安定性が低いことが実用上の問題となっていますが、安定性の高い植物色素についての研究も行っています。岩手生物工学センターでは県別出荷量トップであるリンドウについて新規の花色の開発にも携わりました。またリンドウは足の蒸れた匂いと言われる悪臭を持ちます。このような匂いを低減させる目的で匂いの合成に関わる遺伝子の研究にも携わりました。現在は植物色素をメインに植物を特徴づける化合物の生合成に関わる研究を続けています。

審査・選考のポイントについてうかがいました

Q3:まず企画書作成時に留意すべき点について教えてください。

始めに全体を見通すときに、専門外の領域に関する研究の申請もあるので、いきなり専門用語を並べているとあまりいい印象は受けません。特に導入はわかりやすくというのが大切だと思います。選考委員の専門分野は多岐にわたっているので、その点を考慮していただけるとありがたいです。

大阪公立大学中百舌鳥キャンパスにて。
Q4:わかりやすく、というのは具体的にはどういうことですか?
専門用語等の定義が明確になっていること、具体的にイメージができる書き方であることが肝要と考えます。1年や2年の研究でそんなに大きなテーマを扱うのは難しいので、例えばSGDsだと、どこに注目しているのかをいかに伝えることができるか、という点が大切だと思います。視点を明確にして、導入からの展開が記載されていると、読み込む側も引き込まれます。なぜ重要なのかも、わかりやすく押えてほしい点です。
Q5:企画書ではどこに注目するのでしょうか?
私の場合、専門領域であるかどうかにかかわらず基本は同じです。一般的に言われていることではなく、課題が何で、どうやって明確にしていくのかという視点や切り口を独創的に捉えていれば評価につながります。実現性に重きを置くよりもオリジナルな捉え方を大事にしてほしいと思います。基礎的な研究で、モデル植物やモデル動物を利用されている方も、資源循環とどう結びつけるかという点をきちんと織り込んでいただけると評価しやすいと感じます。例えば公的な助成だと学術的にユニークであればいいと思いますが、研究のための研究ではなく、ターゲットとして見えているかどうか、やはり助成の対象とする趣旨から離れないようにするというのは基本だと思います。
Q6:1000字程度の企画書で、何がポイントなのかつかめますか?
申請の企画書には企画書だけで内容がつかめるものと、企画書を簡単に書いて添付資料を見てくださいという2つのパターンがあります。後者の場合、やはりキーワードがきちんと入っていないと、企画書としては成立していないのではないかと思います。競争的資金を得るために複数の助成団体に応募している場合でも、きちんと助成先によって対応を変えて申請すべきと思います。添付資料はともかく、企画書の使いまわしは、どういった研究を対象にした申請からの抜粋か、というのはなんとなく見えてしまうので、きちんと申請対象に合わせて作成していただきたいです。
Q7:これから申請される方に向けてのコメントをお願いします。
これまでにもお話ししましたが、まずは専門家以外にもわかりやすくという点です。次に助成の目的に合致していることがわかる内容になっていること。そのうえで視点がユニークだと評価されると思います。新しい切り口ばかりとは限らないので難しいかもしれませんが、少なくともこの二点について対応いただければと思います。
佐々木教授、ありがとうございました。
2026年6月8日取材

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