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助成事業

審査・選考のポイント(選考委員インタビュー)
土居 克実 九州大学 大学院 教授

所属機関:九州大学 大学院農学研究院 教授 博士(農学)
生命機能科学専攻 微生物遺伝子資源学研究室
専門分野:応用微生物学

土居教授の研究活動についてうかがいました

Q1:微生物に関する研究で博士号を取得されたのですか?
抗生物質をつくる『放線菌』に関する研究で博士号を取得しました。放線菌は培養を繰り返すと徐々に抗生物質を生成しなくなることがあります。つまり胞子をつくらなくなる形態に変化したり抗生物質生産性が低下する機能に変質していくのですが、その原因究明と改善方法に関する研究でした。
Q2:これまで取り組まれてきた研究で、思い出深い研究についてお聞かせください。

以前、乳酸菌のウイルス(ファージ)の研究をするためにニュージーランドへ行きました。ところがニュージーランドは火山が多く、途中から火山付近の熱いエリアに生息する好熱菌に興味を持ち、サンプリングするようになりました。それが好熱菌との出会いとなりました。
そして、その時から自然環境下にあるものを上手く利用して人々の健康や幸福に結び付け、役に立つようにできればいいのではと考えるようになりました。

本来ウイルスは50℃くらいで死滅するのですが、温泉の中には100℃でも生きているウイルスが生存しています。熱に強いウイルスがなぜいるのか・・・。原始の地球上は高温だったと言われていますが、元来高熱に強い種が地球上に存在しており、現在の大気温度の変化に順応してきたのであろうと考えられます。ウイルスは生命進化の鍵を握っていると考えられていますが、こういうことからも本当に自然っておもしろいなあと思います。

オンラインインタビューの様子。なごやかなムードでお応えいただきました。
Q3:現在取り組んでおられる研究テーマはどんなことでしょうか。
以前に工学部から地熱発電システム内の輸水管の目詰まり原因究明の依頼がありました。それは好熱菌がつくり出す石(シリカスケール)だと着目し、好熱菌が石をつくり出すメカニズムを解明しました。
現在はそのメカニズムを基に、好熱菌が熱に強いタンパク質を安定的に製造する「工場」の構築を目指しています。また、地熱熱水は多くのリチウムを含有しているのですが、これを上手く取り出せれば日本でもリチウム生産ができるはずです。リチウムを抽出するには石になる成分、シリカを除去する必要があります。シリカとリチウムは結合しやすい性質なので、リチウムを選択的に取り出す方法を工学部と共同で追究しています。
また、発酵生産現場でのファージ感染対策の確立と、ファージ遺伝子資源を多方面へ利用するための開発を行っています。

審査・選考のポイントについてうかがいました

Q4:申請研究には実用化を睨んだ現実的なテーマと、ずっと先を見据え将来大きく花開くことを期待するテーマがあると思います。どちらのテーマを評価されますか?
ある程度研究歴の長いシニアの研究者であれば、これまで経験されて蓄積された成果、失敗をベースに改良を加えたようなテーマを申請するのは評価できると思います。
しかし、研究歴の短い若い研究者にはそれは無理なので、自分としてはこうしたい、こういうことをやれば世の中の役に立つだろうという本人のある種の夢や思いを前面に出してもらう方がいいと思います。こういう風に若い研究者とベテランとは審査する目を変えています。
Q5:専門外の応募テーマについてはどういった視点で評価されていますか?

まず次の3つの視点で評価しています。
①専門外の人間が読んでも理解できる内容になっているのか
②申請テーマの課題を解決することでどんなメリットがあるのか
③社会にどういう風に貢献できるのかが明確に書かれているか

そして専門外の人間が読んですぐ伝わるのが、申請者の熱意です。『この研究資金がどうしても必要だと伝わってくるかどうか』が評価ポイントとして重視しています。例えば研究計画がざっくりとした内容なのか、すごく精緻に考えて書かれているかどうかは一目瞭然です。

審査中の土居教授。世の中に役立てたいという「熱意」が一番の評価基準だという。
Q6:ご自身の専門分野の応募テーマを評価するポイントは?
専門分野については、そのテーマそのものの必要性や難易度は当然評価できます。特に専門が近いテーマだと『正確に書けているか』を留意して評価します。正確というのは、内容が高度だということではなく、専門分野ならではの表現方法や表記を間違いなくできているのか、初歩的な誤字や誤記のような凡ミスをしていないかを評価します。もちろん誤記や誤字があれば専門、専門外に関わらず厳しく評価しています。これらは、申請前に自身で読み返せば防げます。
Q7:その他で特に審査するときに重要視されている点はありますか?
類似のテーマを複数のファンド(助成財団)に応募して研究費を複数獲得しようとしているのが判明すれば厳しく評価します。例えば科研費のような高額の研究費を主テーマですでに獲得し、さらに傍系(類似)や派生のテーマで民間財団から資金獲得しようとしているものについては、例え優れた内容であっても評価を下げます。
専門外の分野の場合は、申請者の科研費の報告書や過去に出された論文を読んで判断しています。
当機構の応募テーマに合致しているのであれば、できるだけ多くの研究テーマに平等に分配される公平性を望みます。
Q8:これから申請される方へ、ひと言お願いします。
日本が直面している問題を解決するような研究に取り組むべきだと思います。できれば日本初の発想自由でオリジナリティのある挑戦的な研究テーマをどんどん申請してください!
土居教授、ありがとうございました。
2021年4月13日取材

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