お客様事例紹介

祐生水産有限会社 様〈6EY17W〉

祐生水産有限会社 様

住所 島根県隠岐郡隠岐の島町

まき網船「107祐生丸」

全長・幅・深さ(m):23.08×3.98×1.73
総トン数:19G/T
主機関:6EY17W-Z
補機関:YMGN30B
出典:YANMAR mare vol.47(2026年発行)

幾多の波を乗り越えた、約60年の軌跡

祐生水産(有) 取締役専務
平井 健男氏

海産物の宝庫である隠岐の海域。ここ加茂地区を拠点に地域の漁業を牽引するのが祐生水産有限会社である。昭和50年頃に結成された「加茂共同網組合」を前身とし、当時は季節ごとに異なる漁法を組み合わせながら地域に根差した漁業を営んでいた。
創業期は5〜10トンクラスの小型網船が主流だったが、幾度かのアップデートを経て19トンクラスへと大型化。現在では最新鋭のアルミ製網船を中心とする船団を所有するまでに規模を拡大し、近代的なまき網漁において確固たる地位を築いている。
しかし、半世紀以上に及ぶ道のりは決して順風満帆ではなかった。最も過酷だったのは、主力魚種であるイワシの漁獲量が極端に落ち込んだ時期である。先の見えない不漁に耐えかね、同業者たちが次々と船を降りるなか、存亡の危機にあった同社を救ったのは、揺るぎないチームワークと「船への投資」を決してやめない攻めの姿勢だった。
取締役専務の平井健男氏は、過酷な自然を相手にする漁業において、人材と設備への投資がいかに重要であるかを熟知している。「努力が報われる業界です。若い人を伸ばす考えでやっていかないとね」
ピンチの時こそ下を向かず、老朽化した船を計画的にローテーションで更新していく。この先見性を持った設備投資こそが、現在の大漁を支える最大の推進力となっている。

「現場を絶対に止めない」ヤンマーへの元請けを決断した理由

その攻めの投資を象徴するプロジェクトが、一昨年に本格始動した新船「107祐生丸」の建造である。老朽船の更新という定例サイクルでありながら、祐生水産はここでひとつの決断を下した。船体からエンジンに至るまですべてをヤンマーに託す「船機一括(元請け)」の依頼である。
造船所とエンジンメーカーを別々に手配するのではなく、一括して発注する。背景にあるのは、数々の修羅場を共に潜り抜けてきたヤンマー陣営への絶対的な信頼だ。
平井専務が全幅の信頼を寄せるのは、ヤンマーの「常に現場と同じ目線で密な対話を絶やさない姿勢」にある。日常の細かな相談から新船の計画まで、状況や進捗を頻繁に共有するため、現場は常に高い安心感を持って操業に集中できる。ただ製品を納めるだけでなく、漁業関係者の悩みや想いにどこまでも親身に耳を傾け、共に一歩ずつ理想の船をつくりあげていく―。この血の通った伴走姿勢こそが、揺るぎない絆の源泉だ。
「現場を絶対に休ませない」という機動力。それに加え、歴代担当者の親身で迅速なレスポンスや、トラブルを未然に防ぐ技術スタッフの緻密なメンテナンス体制がある。脈々と受け継がれる人情味あふれる伴走型のサポートが、元請けという最高の形となって結実した。

所有船のすべてに6EY17Wを採用

祐生水産(有) 船長
原 悠馬 氏

現在、祐生水産が所有する7隻の船には、業界でも類を見ない共通点がある。搭載エンジンがすべてヤンマー製であり、なおかつ6EY17Wに統一されていることだ。
船の規模や役割が異なってもあえてエンジンを揃える理由は、過酷な洋上でのトラブルリスクを最小限に抑え、船員たちがどの船に乗っても違和感なく最高のパフォーマンスを発揮できるようにするためである。そして何より、同機種が誇る圧倒的なスピードと強靭な耐久性が、祐生水産の求める漁のスタイルに合致している証明にほかならない。
「107祐生丸」の建造では、長年の付き合いがある有限会社柏木造船所が施工を担当した。そこには、現場を知り尽くした船員たちからの細やかなリクエストが随所に反映されている。船長の原悠馬氏は、視認性と操作性を極限まで高めるべく、ブリッジ内の計器類の位置や操舵椅子の高さなど、ミリ単位の微調整を直接依頼した。
従来の船よりも6〜7メートル大型化したことで、網の中での操船感覚には当初戸惑いもあったという。しかし、原船長の言葉には現場を預かる者としての熱いプライドが滲む。
「魚を獲ることが全て。いっぱい獲れたらいいし、獲れんかったら悔しい」
この純粋な闘争心をバックアップするように、新船は約2ノットのスピードアップを実現した。目標ポイントへいち早く到達できる機動力が、効率的な操業と圧倒的な水揚げ量に直結している。

主機関は、従来船と同じく、スピードと耐久性に優れた信頼の6EY17W-Z を設置

補機関には、船内の照明や計器を守る高信頼な船舶用補機としてYMGN30Bを採用

現場の声を反映し、操船性と快適性を高めた操舵室。ゆとりある空間で安全な操業を支える

2026年7月 新たなまき網本船が竣工へ

祐生水産(有) 漁労長
平井 和也 氏

現在、同社ではさらなる未来に向けたプロジェクトが熱を帯びている。2026年7月に竣工を控える新たな「まき網本船」の建造だ。「107祐生丸」での実績と信頼が高く評価され、引き続きヤンマーが元請けを担当している。
新本船の設計にあたり、現場の陣頭指揮を執る漁労長であり平井専務の息子でもある平井和也氏は、緻密なリクエストを提示した。船の幅を広げ、底の長さを確保し、機械や重量物が上部に来ないよう配置バランスを最適化するなど、洋上での安全性を最優先した設計図が引かれている。
「船の安定性は一番重要です。これから継続的に漁をしていけるように」
記録的な好漁が続く現在のタイミングで最新鋭の設備に投資することは、将来を見据えた企業体力強化の要となる。当社では、造船所と漁師の間に立つヤンマー舶用システム山陰支店の営業・技術チームが、複雑な要望を確実に設計へと落とし込む役割を担う。何度も現場へ足を運び、微調整を繰り返す真摯なアプローチこそが、遅滞のない完璧な進行を支える原動力だ。現場第一主義で深く寄り添うその営業姿勢は、次代の担当者たちへと確かに引き継がれ、組織のDNAとなっている。関係者全員が、最新のレーダー機器などを備えた新船の誕生を心待ちにしている状態だ。

かつて危険や過酷さが強調された漁業の現場は今、劇的な進化を遂げている。環境が整備され機械化が進んだ安全な船上では、祐生水産の未来を担う20代の若き漁師たちが数多く躍動している。年功序列ではなく完全な実力主義のもと、強い仲間意識とチームワークで大漁を目指す彼らのモチベーションは極めて高い。世代を超えて受け継がれる熱い意志と、それを支え続けるヤンマー舶用システム山陰支店の現場力。両者が強固なスクラムを組んで挑む海には、豊かな大漁の光景が広がっている。

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