お客様事例紹介

個人専業農家 赤星 文人 様〈密苗〉

個人専業農家

赤星 文人 様

  • 地域 : 愛媛県伊予郡
  • 掲載年 : 2023年
  • 作物・作業 : 水稲(11ha)/はだか麦(13ha)/レタス(0.3ha)/枝豆(0.3ha)/そら豆(0.5ha)
  • 密苗導入面積 : 11ha
  • 栽培品種 : あきたこまち、コシヒカリ、ヒノヒカリ、クレナイモチ

密苗はメリットしかない!大幅な省力化でラクになったと補助者も大喜び

点在するほ場を効率良く作業するため密苗を導入

愛媛県松山市の西南部に位置する松前町で、代々農業を営んでこられた赤星さん。水稲と県の特産品「はだか麦」をメインに栽培されている。35歳までは会社勤めのかたわらに農業をされていたそうだが、「親戚でも離農する人が増え、どんどんほ場が増えていきました。会社を辞めて専業農家になるか、農業をやめるかと迫られた時、やっぱり農業をやめられませんでした」と当時を振り返る。
その後もほ場は増え続け、栽培面積の拡大に伴って大型機械を導入するなど精力的に取り組まれてこられたが、請負が増えるにつれてほ場間の距離が広がった。さらに、深刻な人手不足もあり作業の省力化が大きな課題に。そんな課題の解決になればと導入されたのが密苗だ。

厚播きに不安はあったものの、ヤンマーを信頼して決意

作型は早生品種と晩生品種を組み合わせて作業期間を分散させており、播種は5月の中頃と末の2回。田植えは6月10日頃と20日頃で、収穫は9月10日頃からと10月10日頃からだ。
密苗に取り組んだきっかけについてお聞きすると「ヤンマー担当の片岡さんから、苗箱数が従来の半分近くに減らせる密苗という技術があると提案されたのがきっかけです。種籾の厚播きは良くないというのが、これまでの常識でしたので、倍近く播種して大丈夫なのかと最初は不安でした」と赤星さん。その不安をどのように払拭されたのかたずねると、「片岡さんが自信を持って提案してくれたので」と、ヤンマーへ厚い信頼を寄せてくださっていることがうかがえた。

苗箱数が約1/2に削減し、育苗管理がラクになった

こうして、まずは試験的に30aからスタート。播種作業から田植えまで、基本的な作業は慣行と変えずに取り組まれた。「当初はどうしても厚播きに抵抗があり、1箱当たりの播種量が少なくなってしまうことがありましたが、片岡さんのアドバイスもありすぐに感覚をつかめました」と赤星さん。播種量は慣行時の乾籾150g/箱から倍の乾籾300gに増量。苗箱数は約1,700枚から約900枚に減り、育苗スペースの削減にもつながったと話してくださった。「以前は倉庫前と田んぼの2箇所で育苗していましたが、現在は倉庫前だけで収まるので管理がラクになりました」と、課題だった省力化に手ごたえを感じてくださっている。

密苗は1箱当たりの播種量を増やすだけ。工程は慣行と変わらない

育苗工程も慣行時と同じだと話してくださった。「出芽したら保温シート(寒冷紗)を被せ、苗丈が3cmくらいに伸びたらはがして、慣行時と同じように水をやるだけです」続けて工夫されていることをお聞きすると、「特別な工夫はしていないですね。密苗はムレやすいので、育苗中に1回だけ『ブラシン※』という農薬を散布するくらいで、ほかは慣行と何も変わりません」と、難なく密苗に取り組まれているそうだ。
「密苗は密植しているため苗が細いので、移植してすぐは少し寂しい印象もありますが、半月もすれば慣行の田んぼと変わりません。品種や天候によって違いはありますが、慣行通りに田植えをすれば、変わらず分けつします」と収量にも問題がなかったことから、3年目から全面積を密苗に切り替えられたと話してくださった。
※ブラシンは住友化学㈱の商標です

苗の運搬作業にかかる時間と労力の軽減に成功

密苗のメリットをお聞きすると、「苗箱数が半分近く減ったので、播種作業から水やり、苗の運搬がとてもラクになりました。水やりや運搬は妻や手伝いの女性にお願いしているのですが、とても喜んでくれています」と赤星さん。10a当たりに使用する苗箱数が17枚から8.5枚に減ったことで、10a程度のほ場であれば、作業前と作業途中で2回必要だった苗継ぎが作業前の1回だけになり、ほ場を行き来する労力と時間が軽減されたそうだ。「10aちょっとの小さなほ場が多いこともあり、苗継ぎなしで一気に植えられるようになりました」と、省力化に成功し補助者の方も喜んでくれていると嬉しそうに話してくださった。さらにコスト面でも効果があったようで、「苗箱が半分近く減ったことで、土代など資材費も減りました」とメリットを実感してくださっている。

密苗は誰でもできる栽培方法だと実感

田植え作業の請負も密苗でやられているということで、周囲の反応についてうかがうと、「うちで苗を育てて植えるんですが、収量も慣行と変わらないので満足していただいています」と、高い評価をいただいているようだ。
密苗を導入しての感想をお聞きすると、「実践して感じるのは密苗は決して特殊な技術ではないということ。水稲をしてきた農家さんであれば誰でもできると思いますよ。この地域で始めたいという人がいれば、私にできることならお教えしますので、言っていただきたいですね」と、密苗の効果をより多くの方に感じてもらいたいと考えてくださっている。「密苗を導入してメリットしか感じていません。今後も続けていこうと思っています」と、最後に太鼓判をおしてくださった。

赤星さんが栽培したもち米で作ったおはぎを、取材陣にふるまっていただいた。
赤星さんが栽培したもち米で作ったおはぎを、取材陣にふるまっていただいた。

お客様使用製品・サービス情報

栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介