お客様事例紹介

個人専業農家 福田 光男様〈密苗〉

個人専業農家

福田 光男 様

  • 地域 : 香川県善通寺市
  • 掲載年 : 2023年
  • 作物・作業 : 水稲(6ha)/麦(12ha)
  • 密苗導入面積 : 6ha
  • 栽培品種 : ヒノヒカリ、あきさかり、クレナイモチ

麦の刈り取りから田植えまでの作業分散に成功!品質も向上し大満足です

麦と水稲の二毛作による繁忙期の労力軽減が課題。

香川県の北西部に位置する善通寺市は、平坦な土地と温暖な気候に恵まれ、古くから農業が盛んに行われている。祖父の代から農業を営み、水稲と市の特産品「讃岐もち麦ダイシモチ」を栽培しておられる福田さん。20代の頃は会社勤めをされていたが、「農業の一番の魅力は正解がないところ。収量アップというゴールに向かって、自分で試行錯誤しながらチャレンジできる農業の仕事に惹かれて、農家の道を選びました」と、これまでの常識にとらわれない柔軟な発想で農業に取り組んでおられる。
「その取り組みの一つが密苗です。麦を栽培しているので、麦刈りから田植えまでの時期の省力化が大きな課題でした」と、作業労力の軽減に期待して6年前に密苗を始められた。

麦・稲の作業が重なる春の繁忙期、密苗の導入で余裕が生まれた。

「慣行苗の時は麦刈りの最盛期と水稲の播種や育苗が重なって、とにかく作業に追われていました。密苗の良いところは、若い苗を植えるので育苗期間が短縮できることころ。そのため、播種日を後ろ倒しにすることが可能になり、麦刈り後に作業をしても十分に間に合います」と福田さん。播種は6月1日に行い、田植えは6月15日から20日頃まで。収穫は9月25日から始まって10月20日頃までで終わるという作型で行っている。
「苗丈12cmくらいの若い苗を植えているので、播種日から15日あれば植えられます。育苗期間が短く管理にかける時間や手間も削減できるので、格段にラクになりました」と、密苗のメリットを実感。全面積6haを密苗で栽培されている。

強い苗を育てるため覆土や水管理に工夫。

播種と育苗工程で気を付けていることをお聞きすると、「1箱当たりの播種量を慣行の乾籾180gから250gの厚播きにした分、覆土を多めに入れるようにしています」と覆土の量を慣行よりも増やしたそう。「播種した育苗箱は苗代田に並べて被覆材をベタ掛けするのですが、露地で管理しているので、雨の重みで種籾と被覆材が直接触れないようにしています」と、種籾が酸欠にならないように工夫されている。育苗時の水やりは1日1回、朝、用水路から水を引き慣行と同じように管理されている。「ただ、強い苗を育てるために、時間がある時は手で水やりをします。わざと少量の水にして、苗が水を欲しがって根を張らせるのが狙い。慣行よりも厚播きの分、苗が伸びやすいので、なるべく水をやらないほうが徒長苗になりにくい印象があります」と試行錯誤を重ねながら取り組まれている。

密苗にしても収量は慣行と同じ。品質は向上して大満足!

収量や品質は慣行と密苗で変わらない、と福田さん。密苗のポイントは強い苗を育てることだそうで「昨年は、(10a当たり収量で)あきさかり570kg、ヒノヒカリ510kgを収穫しました。収量は慣行と変わりません。等級はどちらも1等で、密苗にしてから1等の比率が高くなったくらいです」と笑顔を見せてくださった。また、ジャンボタニシの対策についても慣行と変わらないと話してくださった。「田んぼの水を抜いてから植えて、移植後2~3日は水を入れません。水を入れないことでタニシ被害を最小限にできるのと、浮き苗を防ぐことができます」と、密苗にしてもジャンボタニシの被害が拡大したことはないと断言された。
「若い苗を植えれば元気が良いので、移植後の活着が良く旺盛に分けつします。田植え直後はちょっと寂しいね、と周りから言われますが、1ヶ月もすると慣行と変わりません」と密苗実践のコツを語ってくださった。

苗箱の運搬回数が減り、補助者が別作業をできるようになって効率アップ!

さらに、慣行は10a当たり16枚必要だった苗箱が、密苗にしたことで12枚前後に削減でき、苗箱の運搬作業の回数が減って省力化につながったと喜んでくださっている。「田植機はYR5Dを使っているのですが、ほ場1枚の平均面積は10a程度と小さいこともあり、苗継ぎなしで植えられるようになりました」と福田さん。田植機への苗の補充はおひとりで行っているそうで、「苗の運搬作業がほとんどいらないので、補助者には別作業をしてもらえるようになり、効率もアップしました」と密苗の効果に大満足のご様子。手伝いの方からは「こんなにラクな田植えは初めてだ」と驚かれるほどだとか。「ほ場が小さい分、密苗の効果は絶大です!」と太鼓判を押してくださった。

播種量をさらに増やし、面積拡大に対応していきたい。

今後の展望について伺うと「これから栽培面積はもっと増えていくことになると思います。そうなったら播種量を今の乾籾250g/箱から300g/箱に増量しようと考えています」とのこと。密苗ならではのメリットを活かしながら、地域課題に対応しようと考えておられるようだ。
「密苗導入を検討している人は、苗づくりと収量に対する不安が大きいのではないでしょうか。私が実践してみて感じるのは、密苗と慣行は播種量が違うだけ」と福田さん。「ヤンマーの田植機は慣行と密苗、どちらも植えられようになっているので※、2種類の苗をつくって段階的に導入するのもオススメです。苗継ぎの労力が大幅に削減できるので、2種類の苗をつくる手間と比較してもメリットの方が大きいと思います」と力強く語ってくださった。

※現在の慣行栽培の条件、苗マットやほ場の条件によります

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