お客様事例紹介

株式会社ヴァンベール平出 平出 竜也様〈密苗〉

株式会社ヴァンベール平出

平出 竜也 様

  • 地域 : 長野県大町市
  • 掲載年 : 2023年
  • 作物・作業 : 稲(50ha)/そば(3ha)/大豆(7ha)/その他野菜(20ha)
  • 密苗導入面積 : 12ha
  • 栽培品種 : コシヒカリ、風さやか、美山錦、山恵錦、ひとごこち、金紋錦、山田錦

育苗スペースも作業コストも大幅削減!密苗×ICTで期待以上の効果を実感

導入1年目から低コスト化に成功し手ごたえを実感!

長野県の北西部に位置する大町市で水稲を経営の柱に、そばや大豆などを栽培する株式会社ヴァンベール平出は、この地で何代も続く米農家。現在、請負を含めて栽培面積約130haの大規模な複合経営を行っておられる。今回、お話しをうかがったのは同社で役員を務める平出竜也さん。23歳で親元就農し、代表で父の亨さんと二人三脚で、ここまで会社を育ててこられた。「父の姿に憧れて就農しました」と、農業を始めたきっかけを話す若き担い手だ。
地域の高齢化に伴い請負面積が拡大するなか、同社では積極的にスマート農業の導入や人材育成に注力するなど、次世代へ繋がる農業を目指す。「苗箱数を減らせる密苗にはメリットしか感じませんでした」と竜也さん。5年前に5haの面積から始め、現在は12haを密苗で栽培されている。

写真左から 菅沢龍さん、下川陽平さん、平出竜也さん、平出亨さん
写真左から 菅沢龍さん、下川陽平さん、平出竜也さん、平出亨さん

低コスト化栽培に挑戦するも成果がなかったが、密苗では手ごたえあり

作型は4月に播種が始まり、田植えが4月下旬、収穫が9月上旬から。面積が大きいので早生品種、中生品種、晩生品種を組み合わせて作期を分散している。
密苗を知ったのはヤンマーの展示会に参加されたのがきっかけだったそうで、すぐに「ぜひやってみたい」と導入を決められた。「省力化や低コスト化を意識して以前から田んぼに直接播種する直播栽培などに取り組んでいましたが、どれも期待した成果を得られませんでした」と竜也さん。
「密苗は慣行とほとんど同じ工程や管理でできるので、1年目から問題なく取り組めました」と、初年度から手ごたえを感じ栽培面積を拡大していかれた。

育苗ハウスを増設しなくても栽培面積拡大に対応できる

密苗導入後の変化をお聞きすると、「播種量は慣行の催芽籾200g/箱から1.5倍の300g/箱に増量。苗箱数は約2,000枚から約1,200枚に減りました」と竜也さん。苗箱数が約1/3削減できたことで、育苗スペースと資材費なども約1/3カットできたと喜んでくださっている。
「ハウス育苗を行っていますので、育苗スペースを削減できるメリットはとても大きいです。ハウスを1棟建てるのに約200万円はかかりますので、増設しなくても栽培面積の拡大に対応できるのはいいですね」と、密苗のメリットを実感してくださっているようだ。
さらに収量についてお聞きすると「収量はコシヒカリ約600kg/10aで、慣行を下回ったことはありません。同等か天気によっては慣行以上です」と、密苗にしたからといって減ることはないと太鼓判をおしてくださった。

栽培工程や管理は慣行と変わらないが密苗ならではの工夫も

育苗管理で工夫されていることをお聞きすると「過去に密苗が伸びすぎてしまったことがあり、チューブかん水からプール育苗へ切り替えました」と竜也さん。「プール育苗にすると水温が一定に保たれ苗丈がムラなく伸びるようになりました」続けて、「ハウスの横を常時開けっ放しにして外気温と同じにすることで、徒長するのを防いでいます」と、ポイントを教えてくださった。
育苗期間が短い密苗ならではの課題もあるようで、「畦塗りや代かき作業など、田んぼの準備が間に合わず、苗をダメにしてしまったことがあります」と竜也さん。「ですが、計画性さえ高められれば、工程や管理は慣行とほとんど変わりません。効率化・低コスト化を考え、将来的には密苗の栽培面積を増やしていきたいと思っています」と、密苗の可能性に期待を寄せてくださっている。

密苗×ICTで田植え時の作業が驚くほどラクに

苗箱数が減り、田植え時の労働力も大幅に削減できたとのことで、「これまでは、1往復に1回、苗継ぎをしていましたが、密苗にしてからは2往復に1回ですむようになりました。時間に余裕ができた分、代かきなど別の作業ができ仕事がはかどります」。
さらに昨年、直進アシストなど最新機能が付いたYR8DAを購入され、より作業労力の軽減や効率化につながっている、とうれしい感想をいただいた。「直進アシスト機能のおかげで疲労感が軽減され、農業経験1年目の新人でもすんなり乗りこなすことができています」と竜也さん。苗量アシスト機能には驚かれたようで、「ドンピシャ!というくらい、設定した通りの苗枚数を植え付けられるので、計画性が高まり苗のロスも減りました」と、大変満足しておられるようだ。

地域の課題解決にも密苗は効果的だと実感

「密苗の導入を躊躇している方は、慣行と比較して移植した直後の田んぼの様子が寂しいのが気になっている方が多いようです。しかし、数日すれば青々しますし、省力化になるのでぜひ導入してほしいですね」と、密苗を検討している方へメッセージをいただいた。
最後に今後の展望についてお聞きすると、「私個人としては、農業はカッコイイ仕事だということを発信していきたいです」と、力強く語ってくださった。続けて、「地域の農業を守るため、依頼があればできる限り請負っていきたいと考えています。そこで、作業コストを大幅に削減できる密苗はとても効果的だと実感しています。現在、12haのみの実践ですが、まずは50ha、ゆくゆくは水稲栽培をすべて密苗にしたいですね」と竜也さん。担い手の1人だという強い使命感を持って仕事に打ち込み、農業の未来に貢献したいと語ってくださった。

写真左から ヤンマー二木、平出さん、折井機械㈱ 井口さん
写真左から ヤンマー二木、平出さん、折井機械㈱ 井口さん

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