お客様事例紹介

農事組合法人 たねっこ 工藤 浩一様〈密苗〉

農事組合法人たねっこ

工藤 浩一様

  • 地域 : 秋田県大仙市
  • 掲載年 : 2019年
  • 作物・作業 : 水稲(180ha) / 大豆(106ha)
  • 密苗実証面積 : 10ha

密苗の省力化やコストダウン効果を見込んでYR-8Dを導入

秋田県大仙市の小種地区で水稲(180ha)と大豆(106ha)を栽培しておられる農事組合法人たねっこは、大規模経営ならではの課題があったという。統括主任である工藤浩一さんに密苗に出会った経緯についてうかがった。
「2017年に30aの面積で試したところ、良い結果が出たので2018年は10haに広げました。同時に、YR8Dを1台導入させてもらいました。ここまでスムーズに導入に至ったのは、栽培面積が広大なので水稲栽培の省力化が期待できたからです。また、育苗期間が短いので移植作業を分散できるということが魅力でした。資材も少なくなるコストダウン効果も期待できました」と語る工藤さんだが、初めての密苗の導入に不安もあったという。

「育苗期間は20日間でしたが、1箱に催芽籾375gも撒くので心配でしたね。播種量が少ないと欠株になりますし、多すぎると苗の生育に影響します。もし面積をもっと広げる場合は、作業効率と密苗の移植適期との兼ね合いから、播種するタイミングをずらして考える必要があります」と語る工藤さんを当初からサポートしてきたのは、ヤンマーアグリジャパン株式会社主任の加藤大輔さんだ。

農事組合法人たねっこでは、ライスセンターを併設。水稲「あきたこまち」をメインに、大豆・野菜・花き等を栽培されている。
農事組合法人たねっこでは、ライスセンターを併設。水稲「あきたこまち」をメインに、大豆・野菜・花き等を栽培されている。

初めての密苗でもヤンマー担当者がきめ細かくサポート

30aのお試しの密苗実証から加藤さんと二人三脚で取り組んできた工藤さんに、稲の生育の様子についてうかがった。
「稲の生育はかなりの厚撒きなのでよく伸びました。細い稲なのが特徴なんでしょうかね。とはいえ、きれいに植わっていました。欠株も倒伏もありませんでした。密苗は葉齢が2.3葉で移植しました。初期生育時に寒いとダメージがあるかもしれないですが、今回は大丈夫でした。加藤さんのサポートのおかげでこの2年は順調でした。ただ、気候の状況は毎年変わるので、引き続き加藤さんの指導を頼りにしてます」と笑顔で語ってくれた工藤さんは手応えを感じられた様子だった。

左:加藤大輔、右:工藤さん担当。二人三脚で密苗に取り組まれた。
左:加藤大輔、右:工藤さん担当。二人三脚で密苗に取り組まれた。

苗箱が12箱も減少するという驚愕の省力化を達成!

今回、導入いただいたYR8Dでの移植作業についてうかがうと「田植えはすごく楽にできました。他のオペレータも代わってくれないくらい気に入っていたと思います。操作性も素晴らしいですが、苗箱が20箱/10aだったのが8箱/10aになりました。12箱も減ったのは驚愕です! しかも、ハウスからほ場へ運搬する回数も減りました。苗箱は軽トラ1台に60枚積めます。今まで30aしか移植できなかったのですが、70aくらい移植できます。作業効率は格段にアップしました」と驚きを隠せない様子の工藤さんだった。

加藤担当も「普通は200mのほ場だと苗箱を補給する必要がありました。しかし、移植機に苗箱を積んで移植したら、ほ場1枚を1往復で完了できました。苗つぎのために降りる必要がなく乗りっぱなしで作業できます」と密苗のメリットについて力強く語ってくれた。

品種を問わない密苗は、今後も農家に普及していくと思う

播種からハウスでの管理、移植作業まで順調に進められた工藤さんは、2019年も同じ面積を試したいそうだが、その理由についてうかがった。
「面積を広げた場合に、ハウスでの苗箱の管理が難しいと思っています。ハウス1棟分を4日間で移植するとして、ハウス3棟分を一気に撒いてしまうと無理です。かといって、播種の回数を増やすと管理が煩雑になります。そういう方向に行くと思いますが、育苗に失敗した時のダメージも大きいと語る工藤さんに加藤さんは「実は密苗を20~30日持たせる農家もいます。ハウスは開けっぱなしで、後半に追肥します。温度管理さえしっかりやれば対応できると思います」と規模拡大の対応策を頼もしく答えてくれた。

次に収量と品質についてうかがった。「収量は慣行栽培と遜色なかったのですが、品質についてはバラつきがありました。うちの場合は、慣行のあきたこまちとゆめおばこを先に植えて、最後に密苗でのあきたこまちの順番で植えました。ゆめおばこの登熟が遅い分、刈取り作業が進まなかったのが原因かもしれません。作業体系の問題で、刈取り適期をもう少し見極める必要がありますね」と今後の取り組みに意欲を燃やす工藤さんだった。

たねっこの営業窓口であるJA秋田おばこ営業担当の加藤仁さんは「小種地区でも農家の法人化が進み、省力化が見込めることから、密苗が普及してきています。これは品種に関係なく広がっているので、今後も密苗を導入する農家が増えると思います」と密苗の明るい未来を感じた取材だった。

「今後も密苗を導入する農家が増えてくると思います」と、JA秋田おばこ営業担当の加藤仁さん。
「今後も密苗を導入する農家が増えてくると思います」と、JA秋田おばこ営業担当の加藤仁さん。

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密苗

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