お客様事例紹介

農業生産法人 ライスジャパン株式会社 寺前 彰彦様

農業生産法人 ライスジャパン株式会社
社長

寺前 彰彦様

  • 地域 : 和歌山県
  • 掲載年 : 2021年
  • 作物・作業 : 水稲/冬野菜/作業受託
  • 密苗導入面積 : 14.8ha

育苗箱の大幅削減で運搬作業が驚くほど軽減。地域に合わせた育苗管理法で健苗づくり!

将来の規模拡大に繋がる省力化技術に期待し、密苗田植機を購入

大手米穀卸会社が農業生産部門として2004年に立ち上げたライスジャパン(株)。受託面積を含めて栽培面積を徐々に増やし、和歌山市を中心に3市町村にまたがり約15haまで拡大され、2019年にはほぼ全面積を密苗に切り替えられた。寺前さんが密苗を初めて知ったのは、2016年、ヤンマーの大規模展示会であった。「資料や現物を見せて頂き、やろうというきっかけになったのは、苗の生産コストが抑えられ、かつ省力化できる、ということでした」と寺前さん。

実は同社では約15haを3人で作業しているので、以前から少しでも楽になるよう育苗箱数を減らしたかったのだそうだ。さらに、和歌山でも遊休地が増えてきており、地域農業の受け皿になるために将来に向けた対応が必要だという考えもあったという。「今は14.8haですが、まだまだ面積が増えてくると思います。やはり密苗は僕ら生産者にとって省力化につなげられる栽培方法のひとつだと思っています」と密苗への期待を語ってくれた。その後、2017年にヤンマーから実演機を借りて取り組みを開始。翌2018年、本格的に密苗を実施するにあたり、慣行栽培で使っていたRG6Xに密苗キットを装着し、使用された。「丸2年間、RG6Xで密苗を移植しました。累計で7年間同じ田植機を使用し、今回買い替え時と判断したので、密苗田植機に更新をしました」と、密苗田植機YR6D導入までの経緯を振り返る。

労力軽減と生産コスト削減を目的に購入された密苗田植機。「担当の中山さんからのアドバイスが有益で、いつもいろいろな情報を早く提供してくれます。密苗のことも、大規模展示会に一緒に行って詳しく説明してくれました」と寺前さん。
労力軽減と生産コスト削減を目的に購入された密苗田植機。「担当の中山さんからのアドバイスが有益で、いつもいろいろな情報を早く提供してくれます。密苗のことも、大規模展示会に一緒に行って詳しく説明してくれました」と寺前さん。

育苗箱数が3分の1減り、1日の植付け面積が慣行栽培の倍に!

密苗を導入して作業がどう変わったのかうかがった。
「いままで慣行栽培をしているときは、1箱当たり乾籾160gの苗を、10a当たり18枚で移植していました。それを密苗にすることによって、乾籾280gの苗で、10a当たり12枚になり、育苗箱数を3分の1減らせました。その分、苗をほ場に運ぶ労働力が減り、労働時間も短縮されているので、作業はすごく楽になっています」と寺前さん。

何しろ、苗をつくっているところからほ場までの距離が約5~10kmあり、移動時間だけでも片道30~40分かかるところが多いという。「毎日往復1時間以上をかけて何回もトラックをピストンで運転しており、育苗箱を運ぶのに時間とコストがかかっていました。密苗に切り替えてからは、育苗箱の数は同じでも、1回で運ぶ苗の量が増えるのでトラックの往復回数が減り、運搬する社員もラクになりました」。その分、田植機の待ち時間が減り、機械の稼働ロスも減ったという。常に田植機を稼働させられるようになり、仕事の能率が格段に向上、以前は朝からフル稼働して1日0.8~1haしか植えられなかったのが、今は倍の1.5~2ha作業でき、寺前さんは効果の大きさを実感されている。

密苗に対する周囲の評価についてもうかがってみた。「苗だけの受託も請け負っていますが、苗と一緒に田植え作業も請け負いさせていただく場合はすべて密苗にさせていただいています。育苗箱の枚数が減ることによってコストが抑えられ、なおかつ運ぶ回数が減ってすごく楽だ、と農家さんもおっしゃっています」と寺前さんは嬉しそうに話す。

約70坪の倉庫には検査済みの米袋が積み上げられ、出荷を待つ。「1粒1粒に想いを込めて稲を愛す」という姿勢からネーミングされたお米「愛稲一粒」。品種はコシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリ、にこまる、もち米などの他、酒米も生産し、卸をメインに小売りにも力を入れる。
約70坪の倉庫には検査済みの米袋が積み上げられ、出荷を待つ。「1粒1粒に想いを込めて稲を愛す」という姿勢からネーミングされたお米「愛稲一粒」。品種はコシヒカリ、キヌヒカリ、ヒノヒカリ、にこまる、もち米などの他、酒米も生産し、卸をメインに小売りにも力を入れる。

6月田植えの和歌山に対応した育苗の工夫は、日々の苗の見まわりと移植時期の判断

では、密苗を育苗する上で工夫されている点は何だろうか。
寺前さんによると、和歌山ではハウスで育苗するということはほとんどないという。「基本的に水田の露地で育苗をしてしまう」ということだ。温暖な和歌山市では田植えは6月から本格化するので、播種の開始は5月頃。事前に水田を代かきして乾かした後、タイヤローラーで踏み固めたところ(苗代田)に育苗箱をセットするのだが、露地ということもあり風通しがいいので蒸れ苗は発生しにくいという。ただ、本植えの際にそれらの育苗箱を腰をかがめて両手で運び出すときには、地面が柔らかいため力がいる。それが密苗によって育苗箱数が減ったことで負担が軽くなったそうだ。

育苗時の注意点については「露地で育苗をするので、隣から虫や病気がくるというのが一番です。これは密苗に限らずですが、細心の注意を払って稲の株本まで見ていかないと良い苗はつくれないですね」。寺前さんは発芽から移植前までの生育期間中は頻繁に見まわりをされているという。また「密苗は播種後15~20日くらいの苗を移植するのが一番いいといわれているんですが、和歌山の場合はジャンボタニシによる食害があるので、あまり若い苗を植えるとどうしてもタニシに食べられてしまうという欠点があります」。そのため、同社では播種後20~25日くらいの苗を植えるようにしているという。「和歌山では6月から田植えが本格的になりますので、他県と比べると約一ヵ月生育が遅い状態で移植が始まります。それをカバーするために苗を少しでも大きくして移植するように心がけています」。このように寺前さんは、和歌山ならではの地域特性に対応した育苗管理と移植のタイミングを見極めることによって、密苗に成功されている。

密苗の活用で面積拡大を目指す。当面の目標は3人態勢で20ha

最後に、今後の抱負をうかがうと「今14.8haありますが、目標は20haにしています」。寺前さんは現状の3人で農作業をやれるのは20haまでだというお考えをお持ちだ。理由は20ha以上になると、和歌山の環境や土地に合わせた栽培ができなくなる可能性が出てくるからだ。「1人増やすと、最低でも面積を5ha増やさないと人件費のカバーができなくなってしまうので、現状3人で20haというのを目標にしています。機械の更新なども増えていくので、試算しながら今後の米のつくり方をもう一度考え直していく時期と思っています」。規模拡大を目指す同社にとって密苗は今後も大きな武器になっていくだろう。

お客様使用製品・サービス情報

栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介