弘田 一博様
住所 : 高知県高知市
遊漁船「オーラ」
全長・幅・深さ(m) : 16.60×3.50×1.37
総トン数 : 13.0G/T
主機関 : 6GY135W
搭載ジャイロユニット:GU175
出典 : YANMAR mare vol.46(2025年発行)

住所 : 高知県高知市
全長・幅・深さ(m) : 16.60×3.50×1.37
総トン数 : 13.0G/T
主機関 : 6GY135W
搭載ジャイロユニット:GU175
出典 : YANMAR mare vol.46(2025年発行)

ジギングの聖地として知られる高知市。ここでメタルジグの開発・製造・販売を手がけるのが、株式会社シーフロアコントロールだ。同社のジグは、近年人気を集めるスローピッチジャーク専用。その圧倒的なクオリティは、国内外のアングラーから絶大な支持を集めている。
製品開発の先頭に立つのは、ジギング業界のトップランナーとして知られる弘田一博氏。同社の代表取締役でもある。日本中の海を自らの竿で調査し、自社主催の大会では参加者の声を直接ヒアリングしている。そうして得られた視点と知見を製品づくりへと最大限に生かすべく、設計から鋳型の製作、検査・出荷に至るまで、製造工程のすべてを職人の手作業に託す。妥協なきモノづくりの精神は、確かな釣果となって現れているのだ。
「一匹でも多く釣らせてあげたい。ただそれだけ」
ジグを作り始めたきっかけをシンプルに語る弘田氏。その原点は少年時代にまでさかのぼる。
「高知市の中心部に坂本龍馬も泳いだ『鏡河』という河川があります。子供の頃、生まれ育った家の近くのこの鏡川で川遊びや釣りを楽しんでいました。本気で釣りに熱くなったのは30歳を過ぎた頃で、次第に市販のルアーに物足りなさを感じ始めました」
太平洋に面した高知の海は、水深があり潮流も速い。必要なジグは300g超。しかし、当時の市販品は180g止まり。ではどうする?無ければ自分で作ればいい。ここでも答えはシンプルであった。

ジギング業界のトップランナー・弘田氏の感性を活かし、職人が手作業で作る逸品
釣り仲間と鉛を購入し、鍋に溶かし、針金を通して…という原始的な方法で試作した野暮ったいジグは、海中ではイキイキとした生命力を漲らせ、驚くほどの釣果を叩き出した。重さと形状、それに魚の習性を徹底的に研究した結果だった。クチコミで評判が広がり、期待に応えるかたちで会社を設立。3年後には法人化を果たし、今では国内外500店舗以上の釣具店で展開している。
「ジグの形状について話すと『デザイナーなんですね』とよく言われます。でも、私は今も一人の釣り人。見た目のカッコ良さではなく、その海、その潮、その魚に合った形状を突き詰めているだけなんです」
結果的に奇抜なフォルムになることもあるが、それは実質本位の証し。現在はロッドやリールまでオリジナルシリーズを展開しているが、根底にあるのは「一匹でも多く ただそれだけ」の心境だ。
これまで釣りの「道具」を極め続けてきた弘田氏が、次に届けたかったもの。それは「体験」そのものである。釣り分野で初めて高知県観光特使に任命されたことをきっかけに、釣りを通じて地域に貢献したいという気持ちが、これまで以上に強くなる。そうして立ち上がったのが、釣りの魅力を満喫できる遊漁船事業であった。
道具と釣果に日本一を追求し続けてきた弘田氏。新造船を手掛ける上でこだわったのは、やはり日本一のジギング船だった。建造を依頼したのは、佐賀県・唐津の吉川造船所。複数の造船所を見学したうえで選んだ決め手は、安全性への徹底的なこだわりだった。船体素材の厚み、隔壁構造など、多重の安全設計に感銘を受ける。また、航行区域においても「A2水域」を取得し、お客様満足度も高まるだろう。
さらに注目すべきは、ヤンマーのアンチローリングジャイロ「GU175」。航行時の揺れを抑え、移動中の疲労を軽減し、心ゆくまでジギングに集中できる。船酔いや転倒などによる事故リスクも抑えるという。
船長の筒井宣幸さんは「これまでは海面の波を見て船体の揺れに備え、足を踏ん張っていました。ところがジャイロ搭載の本船では、大きな波がぶつかっても衝撃は小さく、拍子抜けしてしまうほど。就航記念試乗会では、ゲストのほとんどが快適な乗り心地に満足され、釣り客としての再来を約束してくれました」と満足げに話す。
メインエンジンにはヤンマー「6GY135W」を搭載。じつは計画当初、参考にしていた同系船が他社製品を搭載していたことから、同じエンジンを検討していたという。ところが以前から交友関係のあった南海ヤンマーディーゼル販売株式会社松野正裕社長の勧めで方向転換。補機も合わせて導入した。
「加速、燃費、排ガスの匂いまで違う。ヤンマーエンジンの性能と信頼感は、まさに一級品です」と話しながら、松野社長と笑顔を交わす。高品質ゆえに価格も高いが、それがむしろ納得材料だと言葉に力をこめる。
「価格だけを見れば、当社のジグはかなり高価です。でも、それは高度な技術力の結晶であり、品質の証しでもある。私はそこに惹かれたんです」
6月から運航を開始する新造船「オーラ」はエアコン2台、電子レンジ、ウォシュレット付きトイレまで完備した、まさに”ジギング専用ラグジュアリー船”だ。釣行には、足摺岬から室戸岬まで、6つのプランを用意。ターゲットはキハダマグロ、カツオ、カンパチ、ブリ、そして巨大魚イシナギまで—。その名の通り、釣り人も魚も「オーラ」に引き寄せられる日が、いよいよ始まる。

船の横揺れを軽減するジャイロユニットGU175 と発電補機YMGN25B

主機6GY135W は音が静かで振動も少なく、キャビン内はとても快適。また、筒井船長は燃費の良さに驚いたとのこと