お客様事例紹介

網走合同定置漁業様〈電子制御エンジン6AYESG3-GT〉

網走合同定置漁業様

住所 : 北海道網走市

定置網船『第十八生産丸』 電子制御エンジン6AYESG3-GT(1002PS)

全長・幅(m) : 22.51 × 4.98
総トン数 : 19G/T

出典 : YANMAR mare vol.38(2017年8月発行)

協業組織として漁業者の格差是正に応える 網走合同定置漁業

網走市はオホーツク海に面した北海道の北東部に位置し、豊富な漁業が営まれている。なかでも北海道全域を5つの系統群(オホーツク、根室、えりも以東、えりも以西、日本海)に分けたサケ定置網漁の漁獲高では「網走合同定置漁業」が属すオホーツク系統群が突出している。
ここ数年の漁獲高の推移について網走合同定置漁業代表理事の木村政幸氏は、「サケを資源的な観点から捉えると北海道の中でオホーツクは安定しています。秋サケでいうと全道の5割強くらいはオホーツク産です」と自信に満ちた笑顔で語る。また、副代表理事の元角文雄氏は「網走合同定置漁業に限っていうと、生産金額は年によって開きはあるが、網走漁業協同組合の主要な水揚げを担っている」と語る。
網走合同定置漁業は、能取岬、北鱗、本萌、二ツ岩、浜小清水の5地区が結集して平成6年に設立された協業組織で、165名の構成員が所属する。特に漁業者間の格差是正を主眼とし、漁の効率化、合理的な支出、収入の保証などを図る。本部では会計事務を担当し、操業は5地区に配置された19トン級の漁船(第八新生丸、第十八荘力丸、第十八北鱗丸、第十八生産丸、第五十八三和丸、第八北鱗丸〈予備船〉の6隻)が担う。このうち新造船の第十八生産丸に搭載されたのが、いま注目を浴びているヤンマーの“電子制御エンジン6AYE”で、地元の株式会社北村鉄工所から1号機として納入された。

第十八生産丸

網走合同定置漁業 代表理事 木村 政幸氏

網走合同定置漁業 副代表理事 元角 文雄氏

網走合同定置漁業 事務局長 斉藤 日出夫氏

新しい船に相応しいエンジンとして電子制御エンジンに着目

コモンレール式燃料噴射装置を採用したAYEシリーズは、クリーンな燃焼性能、低騒音、良好な始動性を実現するのに併せて、これまでのAYシリーズの特徴でもあった低燃費、高トルクをさらに進化させている。
平成25年の第十八生産丸建造計画でのエンジンの提案から関わってきた株式会社北村鉄工所の北村彰浩専務取締役は、「定置網漁船の6隻すべて当社から納入したヤンマーエンジンで、その実績の積み重ねで今回もまかせていただきました。丁度その頃ヤンマーで最先端の電子制御のエンジンが開発されている情報を入手していたので、新しい船にはそれに相応しいエンジンを納めたいという強い想いがあった」と語る。
その想いを具現化するために、北村専務はヤンマー本社のエンジン開発チームを大阪まで訪ね、徹底した質疑応答を重ねてエンジンの信頼性を確信したという。
木村代表理事は「北村鉄工所と私どもは確かな信頼関係で成り立っているので今回も何の心配もなくおまかせしました」と微笑む。また元角副代表理事は「一番大切なことはアフターです。第十八生産丸も平成26年8月の竣工時から10日間くらい、北村専務とヤンマーの開発スタッフが乗船してプログラムの変更や使い勝手の調整などに対応してくれました」と満足気に語る。事務局長の斉藤日出夫氏も「漁期は3ヵ月と短いので、その間にトラブルが発生したら堪える。いまのところ問題は皆無で安心しています」と言葉を添える。

(株)北村鉄工所 専務取締役 北村 彰浩氏

第十八生産丸 操舵室。

6AYEシリーズで最初に搭載された電子制御エンジンの1号機。

エンジン音の静粛性とガバナーの反応の早さに大満足

網走合同定置漁業の秋サケの定置網漁は毎年9月初旬の解禁からスタートし、11月末まで操業される。解禁前日までに沖合い約1・5キロ~約2キロの水深約20メートルの海底に網が入れられ、翌日には網起こし( サケを獲るため網を引き上げること) が始まる。この沖合いでの作業中のスロー回転のエンジン音が際立って静かになったという。
機関長の竹田栄次郎氏は、「スロー回転から1500回転以下では断然静かだ」と喜ばしい感想を述べ、「エンジンの回転を上げても煙が出ないのがいいね」と続けた。また、舵とり担当の佐々木好明氏は「コンピュータ制御なのでクラッチの入るのが早く、ガバナーの反応も圧倒的に早くなったからすごく扱いやすく、全体的に大満足」と笑顔で語る。
ガバナーは、燃料の噴射量をエンジンの負荷などに応じて自動的に調整する機構でエンジンの調子を最適に保つとともに、燃料を節約する働きがあるから操業では重要な役割を果たす。

第十八生産丸 機関長 竹田 栄次郎氏

第十八生産丸 舵とり担当 佐々木 好明氏

今後のビジョンは網走、斜里、ウトロでのシェアの拡大

株式会社北村鉄工所は、北村専務の祖父の時代から3代続く老舗。祖父は鍛冶屋を主に生業としていたが、後にエンジンの販売・サービスも手がけるようになった。現在、北村専務を筆頭に、サービスではエンジン担当ほか、油圧、金属加工、鉄工の鍛冶仕事を含め12名体制で日々の業務に取り組んでいる。そしてその業務の基調には一貫して、「オンリーワン、オーダーメイド」の業務スタイルが貫かれている。
「とにかく漁師さんはそれぞれ独自の方法や道具で漁をするので、それに即応した物づくりやシステムが問われます。人が違えば仕事のやり方も違うし使い方も違う。それぞれに的確に対応することが責務です」と北村専務。
北村譲二社長からは「面白いことをやれ!」と言われたことが印象に残っているという。その本意は「新しいことにチャレンジしろ!」だと認識し、自ら率先している。今回の電子制御エンジンへの取り組みも未知の分野に踏み込んだ舵とりだった。
今後のビジョンは、電子制御エンジンを機軸に、網走、斜里、ウトロ地区でのシェアの拡大も含め、お客様からの絶大な信頼を得続ける会社であることを目指すというから、オホーツクの定置網漁船から目が放せなくなるだろう。

休漁期間の6月頃は乗組員全員で定置網の補修に取り組む。

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