調達活動
環境負荷物質一覧
＜はじめに＞
本資料は「グリーン調達ガイドライン」（2025年11月;第9版）の「1.2 グリーン調達の基準（2）物品・サービスの選定基準」に定める「5. 環境負荷物質」を収載しております。
目次
1. 管理物質の区分と定義
ヤンマーグループでは、条約、法規制等で使用または含有の禁止、制限、情報伝達、適切な管理が求められている物質について、独自の管理区分に応じた環境負荷物質管理をお願いしております。
ヤンマーグループが定める管理物質の区分と定義を以下に示します。
- ヤンマーグループ共通禁止物質：
条約、法規制等に基づいて、ヤンマーグループとして、原則調達活動全般において使用を禁止する物質をいいます。閾値として含有率の設定があるものについては、閾値以上の含有を禁止します。また、最大含有率に幅がある場合は、原則としてその最大値で閾値以上の含有を禁止します。 - ヤンマーグループ共通代替化推進物質：
条約、法規制等に基づき、ヤンマーグループとして、代替化を進める物質をいいます。法規制による規制が、ヤンマーグループ商品全体に影響すると判断した場合は、期限を設定して禁止物質として使用を禁止します。また、最大含有率に幅がある場合は、指定期限以降は原則としてその最大値で閾値以上の含有を禁止します。 - ヤンマーグループ共通調査対象物質：
条約、法規制、業界標準等に基づき、ヤンマーグループとして、使用、含有の有無もしくは含有率を調査、把握すべき物質をいいます。 - 個別対応禁止物質：
特定地域の法規制、顧客要望等に応じて、使用、含有を禁止する物質をいいます。 - 個別対応調査対象物質：
特定地域の法規制、顧客要望等必要に応じて、使用、含有の有無もしくは含有率を調査、把握すべき物質をいいます。
上記管理物質について、弊社より不使用保証書の提出要求があった場合は、弊社が提供するフォーマットを用いて回答をお願いいたします。またデータの提出要求があった場合は、弊社が指定する情報システムを利用して回答をお願いいたします。
個別対応禁止物質、個別対応調査対象物質については、対象商品により該当する法規制、物質が異なります。弊社より、個別に使用の禁止および調査の要求があった場合は、「表3-2. ヤンマーグループ共通調査対象物質の対象となる法規制」をご確認の上、弊社が指定するエビデンスの提出をお願いいたします。
不使用保証書、データ提出に関する詳細要求および環境負荷物質例示リスト等は弊社の購買仕様書「環境負荷物質の使用規制」に定めております。詳細情報提供のご要望がある取引先様は、以下サイトにてヤンマーグループ各社取引窓口の部署・担当者を明記のうえ、ご連絡ください。
2. 物質群および法規制参照例
ヤンマーグループが定める管理物質毎の物質群および法規制の参照例を以下に示します。
表1. ヤンマーグループ共通禁止物質
以下の物質をヤンマーグループ共通禁止物質と定めます。
表1-1. ヤンマーグループ共通禁止物質
| No | 禁止物質群 | 禁止用途 | 閾値 | 主な参照法規制など |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アスベスト | 全用途 | 意図的な添加を禁止 かつ0.1 wt % （均質材料） |
労働安全衛生法 |
| 2 | 特定フロン （CFC, HCFCその他） |
全用途 | 意図的な添加を禁止 | モントリオール議定書 |
| 3 | PCBs | 全用途 | 意図的添加を禁止 かつ0.005 wt％ |
POPs条約 附属書A, C |
| 4 | 下記以外の PBB and PBDE |
全用途 | 意図的な添加を禁止 | POPs条約 附属書A |
| オクタ-BDE | 意図的な添加を禁止 かつ0.1wt% |
EU REACH規則 Annex ⅩⅦ（45） |
||
| テトラ-BDE ペンタ-BDE ヘキサ-BDE ヘプタ-BDE デカ-BDE |
意図的な添加を禁止 かつテトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、およびデカ-BDEの合計が0.05wt% （0.05wt%は許容） |
EU POPs規則 Annex Ⅰ |
||
| 5 | 水銀 | 下記以外 | 意図的な添加を禁止 | 水俣条約 |
| 表1-2で記載する物質： 意図的な添加を禁止 かつ0.01wt% |
EU REACH規則 Annex ⅩⅦ（62） |
|||
| 電池 | 0.0005wt% | EU 電池指令 | ||
| 6 | カドミウム | 下記以外 | 意図的な添加を禁止 かつ0.01wt% |
EU REACH規則 Annex ⅩⅦ（23） |
| めっき | 意図的な添加を禁止 かつ0.01wt% 但し、以下は対象外
|
|||
| 電池 | 0.002wt% | 電池指令 | ||
| 7 | 六価クロム | 全用途 | 意図的な添加を禁止 かつ0.1wt% |
化管法 特定第一種指定化学物質（発ガン性他）指定により自主規制 |
| 8 | 鉛 | 塗料中の鉛 | 意図的な添加を禁止 かつ0.1wt% |
化管法 特定第一種指定化学物質（発ガン性他）指定により自主規制 |
| 9 | RCF （Refractory ceramic fibers） |
全用途 | 意図的な添加を禁止 かつ0.1wt% （均質材料） |
GHS発ガン性指定・安全衛生法特化則 特定化学物質（第2類物質）通知義務により自主規制 |
| 10 | PFOAとその塩 | 全用途 | 意図的な添加を禁止 かつ25ppb |
EU POPs規則 Annex Ⅰ |
| PFOA関連物質 | 意図的な添加を禁止 かつ1つまたは複数のPFOA関連物質の組合せの場合、濃度合計1000ppb |
表1-2. 水銀のうち意図的な添加を禁止かつ閾値を0.01wt%とするもの
| CAS番号 | 物質名 |
|---|---|
| 13302-00-6 | Mercury, (2-ethylhexanoato-O)phenyl- |
| 26545-49-3 | Mercury, (neodecanoato-O)phenyl- |
| 103-27-5 | Mercury, phenyl(propanoato-O)- |
| 62-38-4 | Phenylmercuric acetate |
| 13864-38-5 | Phenylmercury octanoate |
表2. ヤンマーグループ共通代替化推進物質
以下の物質をヤンマーグループ共通代替化推進物質と定めます。
表2-1. ヤンマーグループ共通代替化推進物質
| No | 代替化推進物質群 | 禁止用途 | 閾値 | 代替化目標期日 | 主な参照法規制など |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | フタル酸エステル （DEHP,DBP,BBP,DIBP） |
皮膚に長時間接触するもの 注1 |
0.1%以上 | 欧州向けは既に禁止、 他は新規、転注や製作方法変更時 |
EU REACH規則、RoHS指令 |
| 2 | PIP（3:1） | 設置式機械 | 意図的な添加の禁止 | 新規、転注や製作方法変更時 | TSCA PBT物質規則 |
| 3 | DBDPE | 全用途 | 規制決定後に記載 | 規制決定後に記載 | カナダ DBDPE規制 |
| 4 | 鉛 | PVC | 0.1%以上 | 新規、転注や製作方法変更時 | EU REACH規則 |
| 5 | デクロランプラス | 全用途 | 意図的な添加の禁止 | 新規、転注や製作方法変更時 | EU REACH規則、POPs条約、カナダDP規制 |
| 6 | UV328 | 全用途 | 意図的な添加の禁止 | 新規、転注や製作方法変更時 | POPs条約、EU REACH規則 |
| 7 | PFCA | 全用途 | C9-C14のPFCAとその塩の合計：25ppb C9-C14のPFCA関連物質の合計：260ppb |
欧州向けは、2023/2/25以降禁止 及び、新規、転注や製作方法変更時 | POPs条約、EU REACH規則 |
| 8 | PFHxS | 全用途 | PFHxSとその塩の合計：25ppb PFHxS関連物質合計：1000ppb |
規制決定後に記載 | POPs条約、EU REACH規則、スイスPFHxS規制 |
| 9 | POPs条約 附属書Aに記載されたもの | 全用途 | 意図的な添加の禁止 | 新規、転注や製作方法変更時 | POPs条約 附属書A |
| 10 | 多環芳香族炭化水素（PAH） | 皮膚に長時間接触するもの 注1 |
0.0001wt%を超える | 新規、転注や製作方法変更時 | EU REACH規則 |
No.9 POPs条約 附属書Aに記載されたものの例示物質リストを表2-2に示す。
No.10 多環芳香族炭化水素（PAH）に対する例示物質リストを表2-3に示す。
各代替化推進物質群の例示物質については、「表3-2. ヤンマーグループ共通調査対象物質の対象となる法規制」記載の法規制等より確認すること
- 注1：長時間接触とは、1日あたり10分を超える継続的な接触、または30分を超える断続的な接触
表2-2. POPs条約 附属書Aに記載されたもの
| 物質名 | 物質名 |
|---|---|
| アルドリン | ヘキサクロロブタジエン |
| アルファーヘキサクロロシクロヘキサン | リンデン |
| ベーターヘキサクロロシクロヘキサン | マイレックス |
| クロルデン | ペンタクロロベンゼン |
| クロルデコン | ヘキサクロロブタジエペンタクロロフェノール、その塩及びエステル類 |
| ディルドリン | ポリ塩化ナフタレン（塩素数2～8のものを含む） |
| エンドリン | 短鎖塩素化パラフィン（SCCP） |
| ヘプタクロル | エンドスルファン |
| ヘキサブロモビフェニル | トキサフェン |
| ヘキサブロモシクロドデカン | ジコホル |
| ヘキサクロロベンゼン | ペルフルオロヘキサンスルホン酸（PFHｘS）とその塩及びPFHｘS関連物質 |
表2-3. 多環芳香族炭化水素（PAH）
| CAS番号 | 物質名 | CAS番号 | 物質名 |
|---|---|---|---|
| 50-32-8 | ベンゾ（a）ピレン（Bap） | 205-99-2 | ベンゾ（b）フルオランテン（BbFA） |
| 192-97-2 | ベンゾ（e）ピレン（Bep） | 205-82-3 | ベンゾ（j）フルオランテン（BjFA） |
| 56-55-3 | ベンゾ（a）アントラセン（BaA） | 207-08-9 | ベンゾ（f）フルオランテン（BkFA） |
| 218-01-9 | クリセン（CHR） | 53-70-3 | ジベンゾ（a,h）アントラセン（DGAha） |
表3. ヤンマーグループ共通調査対象物質
以下の条約、法規制、業界標準等に収載された物質をヤンマーグループ共通調査対象物質と定めます。
表3-1. ヤンマーグループ共通調査対象物質が対象とする条約、法規制、業界標準等
| 分類 | 対象 条約、法規制、業界標準等 | 備考 |
|---|---|---|
| 条約 | ロッテルダム条約 | ヤンマーグループ共通禁止物質および共通代替化推進物質を除く |
| 条約 | POPs条約 | 同上 |
| 条約 | 水銀に関する水俣条約 | 同上 |
| 条約 | ウィーン条約／モントリオール議定書 | 同上 |
| 法規制 | 表3-2に示す法規制 | 同上 |
| 業界標準 | GADSL | 同上 |
| 業界標準 | IEC62474 | 同上 |
| 業界標準 | chemSHERPA管理対象物質リスト | 同上 |
表3-2. ヤンマーグループ共通調査対象物質の対象となる法規制
| カテゴリー | 地域または国 | 原文名称 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 成形品 （包装材については以下で示す） |
USA | カリフォルニア：Proposition65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986 |
|
| 消費者製品安全性改善法（CPSIA） Consumer Product Safety Improvement Act |
|||
| EU | REACH規則 Regulation (EC) No 1907/2006 |
REACH制限物質については、用途によって使用を禁止している。禁止用途での使用がないことを確認すること。 | |
| シップリサイクルに関するEU規則 Regulation (EU) No 1257/2013 |
|||
| RoHSⅡ指令 Directive 2011/65/EU |
|||
| 残留性有機汚染物質（POPs）に関する規則 Regulation (EU) 2019/1021 |
|||
| 改正Fガス規則 Regulation (EU) No 517/2014 |
|||
| 殺生物性製品規則 Regulation (EU) No 528/2012 |
|||
| JPN | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法） 第一種特定化学物質 |
||
| 包装材 | USA | カリフォルニア：Proposition65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986 |
|
| 梱包材重金属規制 (TPCH) Toxics in Packaging Model Legislation(TPCH) |
|||
| 木材包装材規制（WPM） Wood Packaging Material regulation(WPM). 7CFR319.40 Subpart—Logs, Lumber, and Other Wood Articles |
|||
| EU | 包装および包装廃棄物に関する欧州議会および理事会指令 Directive 94/62/EC |
||
| REACH規則 Regulation (EC) No 1907/2006 |
|||
| Regulation (EU) 2016/2031 | |||
| 残留性有機汚染物質（POPs）に関する規則 Regulation(EU) 2019/1021 |
|||
| 殺生物性製品規則 Regulation(EU) No 528/2012 |
|||
| JPN | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法） 第一種特定化学物質 |
||
| 包装材 | USA | カリフォルニア：Proposition65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986 |
|
| 梱包材重金属規制（TPCH） Toxics in Packaging Model Legislation(TPCH) |
|||
| 木材包装材規制（WPM） Wood Packaging Material regulation(WPM). 7CFR319.40 Subpart—Logs, Lumber, and Other Wood Articles |
|||
| EU | 包装および包装廃棄物に関する欧州議会および理事会指令 Directive 94/62/EC |
||
| REACH規則 Regulation (EC) No 1907/2006 |
|||
| Regulation (EU) 2016/2031 | |||
| 残留性有機汚染物質（POPs）に関する規則 Regulation(EU) 2019/1021 |
|||
| 殺生物性製品規則 Regulation(EU) No 528/2012 |
|||
| JPN | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法） 第一種特定化学物質 |
||
| 化学物質・混合物 | USA | カリフォルニア：Proposition65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986 |
|
| 15 U.S. code chapter 53 有害物質規制法（TSCA） Toxic Substances Control Act |
|||
| 危険有害性周知基準（HCS） Hazard Communication Standard |
|||
| CAN | カナダ 2012年特定有害物質禁止規則 Prohibition of Certain Toxic Substances Regulations, 2012 (SOR/2012-285) |
||
| EU | REACH規則 Regulation (EC) No 1907/2006 |
||
| CLP規則Regulation (EU) No 1272/2008 | |||
| 残留性有機汚染物質（POPs）に関する規則 Regulation (EU) 2019/1021 |
|||
| 改正Fガス規則 Regulation(EU) No 517/2014 |
|||
| 殺生物性製品規則 Regulation (EU) No 528/2012 |
|||
| JPN | 地球温暖化対策の推進に関する法律 | ||
| 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律（化審法） | |||
| 化学物質排出把握管理促進法（化管法） | |||
| 毒物及び劇物取締法（毒劇法） |
3. 改訂来歴
制定（初版）：2025年11月