営農情報

2014年6月発行「トンボプラス4号」より転載

大豆を倒さず、踏まず、収量アップ。ヤンマーミッドマウント管理作業車MD20

平成24年度の大豆生産面積が全国5位の産地として知られる秋田県。ところが同県でも、条件のいい地域ばかりではありません。秋田県仙北郡美郷町は、奥羽山脈のすそ野に広がる扇状地に位置していますが、場所によっては、大豆栽培に厳しい環境なのです。

そんな当地で、ヤンマーのミッドマウント管理作業車MD20が評判になっています。
そこで今回は、ミッドマウント管理作業車MD20と作業機による大豆栽培に対する効果と、 慣行体系であるトラクターとの違いについてご紹介します。

開花期になってもほ場に入れ、収量は一昨年の3割増し!

秋田県仙北郡美郷町の大澤堅エ門さんとご子息の一支さんは、約29haのご自身のほ場で米と大豆などを栽培。ほかに集落の農家より大豆5ha、米1.7haの作業を受託。それ以外に、大豆の収穫作業のみを約60ha請け負っておられます。MD20は昨年6月(取材当時から。2013年)に1台導入していただきました。もともとトラクターと作業機で大豆の作業をされてましたが、3輪の良さに魅せられMD党に転向されたユーザー様です。

研究熱心で、MD20開発の際にも試乗していただき、ご意見をいただいた経緯があります。そんな大澤さんがトラクターからMDに転向したのには、その土壌の特性に大きな理由がありました。
当地は水と石に悩まされる土地なのです。

大澤 堅エ門さん(写真左)
大澤 一支さん (写真右)

秋田県仙北郡美郷町

昨年は県平均反収を超える130kg。MD20が水と石に泣く土地柄を改善

MD20の導入の決め手は「作物を傷めないところと、作業効率の良さだな」と大澤堅エ門さん。「とにかくミッドマウントタイプは播種、施肥、中耕培土と、どの作業機をつけても、見ながら作業できるからミスが少ないしすごく効率がいい。作業を確認しながらできるというのは、ホントに画期的だ」とお褒めいただいた。

美郷町は、もともと名水百選に数えられるほど湧水が多い。奥羽山脈の伏流水が町の各所で湧き、観光の目玉にもなっているのだが、それが湿害に弱い大豆に良くないのだ。
もちろん大澤さんも手をこまねいているわけではない。サブソイラ等を使い、籾ガラ暗きょや額縁明きょで排水対策をしているが、ほ場によっては地下から水が湧いてくる。「排水対策はしてるけど、下から湧いてくるから仕方がない」と堅エ門さんは苦笑する

また、大澤さんのほ場がある地域の大部分は、地中に石がゴロゴロしているため野菜などがつくれない不利な土地だ。だからこの地で栽培可能な大豆を栽培しているのだが、排水性が悪いため場所によっては収量がなかなか上がらない。そんな状況を変えたのがMD20だ。

一昨年10a当たり100kgだった収量が、昨年はMD20で管理することで、なんと3割増の130kgとなった。23年度秋田県の大豆平均反収が124kg(農水省調べ)なので、この難しいほ場で県平均反収を超える収量はすごい。

排水対策の難しい土地だが、MD20なら踏圧が低いから枕地をつぶさない、開花期にもほ場に入れるため、中耕培土作業による排水対策と追肥が同時できるなどのメリットがあるという。これが収量アップに貢献しているのだ。具体的に見ていこう。

Point1. 旋回時に大豆をほとんど倒さない、踏まない。MDなら枕地が活きてくる

1つ目は大豆にやさしいという点だ。

ほ場で旋回するとき、トラクターは土寄せで枕地をつぶしてしまう。しかしMDは3輪で踏圧が低くタイヤ幅も狭いため、枕地の大豆をほとんど踏まない。
だから今まで栽培できなかった枕地が活きてくる。枕地分の種代、肥料代がムダにならず、その分収量が増える。
「1haぐらいのほ場だと、枕地だけでも結構な面積になるから勿体ないよね?」と、堅エ門さんは喜ぶ。

実は枕地だけではない。
トラクターでは作業状況の確認のために後ろを振り向くが、そのたびに微妙にハンドルが動くのか作業機がブレるので、播種の際は植付け条が所々波打ち、中耕培土では波打った状態で育った大豆を押し倒すこともあるという。
「トラクターでやっていたときは、作業状態が見えず大豆を引きずって3条丸々つぶしたこともあった」と、堅エ門さん。

今回、MD20が昨年6月の導入で播種に間に合わなかったため、現在はMD20と中耕ディスク(+施肥機の複合作業もあり)の組み合わせで使っておられるが、今年はぜひ播種作業で、MD20の直進性を実感していただきたいものだ。

作物にやさしい旋回ができる!

Point2. 地上高が高く、タイヤ幅が狭いため、開花期になってもほ場に入れる

2つ目の増収の理由は、地上高の高さとタイヤ幅の狭さだ。これにより、開花期にほ場に入れるようになった。

これまで1回しか入れなかった中耕培土作業に、2回、3回と入れる。
7月下旬~8月上旬の開花期には大豆が生育しているため、トラクター+作業機では全くほ場に入れなかったが、MDなら入れる。しかも地上高が約70cmと、MD14より少し高くなったMD20は、開花期頃になっても、うねをまたいでほ場に入れるうえ、中耕培土とあわせて追肥ができるという。

「追肥するのとしないとでは、収量に大きな差が出るんです!」と一支さんは振り返る。
これもMD独自の強みだ。増収だけでなく、「複合作業で効率も良いし、作物にも良いね」と微笑む。

Point3.「チョイ上げ・チョイ下げ機能」と、作業機とのマッチングで除草も効果的

3つ目は精密な作業だ。

大澤さんは中耕培土での除草効果を狙っている。その作業のポイントはMD20と中耕ディスクのマッチングによる精密な作業だ。でもMD20は作業が見えるし、「チョイ上げ・チョイ下げ機能」を使って、中耕ディスクの細かい高さ調整ができる。このマッチングは良いねぇ…」と、堅エ門さんが唸る。

その結果、今年は効果的に除草でき防除代が減ったという。

Point4. 踏圧が低く、根を傷めない。雨後の作業再開も早く、高効率!開花期になってもほ場に入れる

4つ目は、踏圧の低さだ。

トラクターは重たい上に幅広4輪タイヤで、同じ場所を2度通るため、開花期以降は大豆の根を傷めてしまう。
ところがMD20は軽い上に3輪なのでタイヤが同じ場所を1度しか通らない。しかもタイヤ幅も狭いため、開花期以降のほ場に入っても大豆の根を傷めないのだという。根の生長は植物にとって非常に重要だ。そのことが大豆の生育や、ひいては収量に好影響を与えていると大澤さんは分析している。

また踏圧が低くて良いことがもうひとつある。
時期中は適期作業を心がけているが、雨が降ればそのペースが狂う。しかしMD20は車体が軽く踏圧が低いということで、雨の後、トラクターが入れないほ場も少し乾けば入れ、効率も上がるという。
以上のように、大澤さんが実感されている4つの特長から、MD20が収量アップに貢献していることが裏付けられる。

もちろんMD20の魅力はこれ以外にもあるので、さらにお話をうかがってみよう。
経営的な視点で見るとメリットの多いMDだが、実際のオペレーターの立場ではどうだろう?

オペレーターにもやさしいMD20。小さな時短を積み重ねて効率大幅アップ

ご自身もMD20を使って中心的に作業を行い、ほかのオペレーターと話す機会も多い一支さんにMD20の使い勝手を聞いてみた。
「作業機の着脱がラクだし、操作性もいい。指先操作だけで作業機を上下する「チョイ上げチョイ下げ機能」もよく使いますよ」と語ってくれた。「3輪は前を向いたままで疲れにくいし、効率は良いし、目の前で作業機の動きを確認できるから楽しく作業ができる(笑)」と、仲間の言葉を代弁してくれた。トラクターで作業をしている人たちは皆、MD20を見て羨ましがるという。

そして快適なオペレーションは作業効率にも大きく影響してくる。
培土作業なら、MD20はトラクターの3~4倍ぐらい効率良くできるという。理由は、枕地で反転し位置合わせしたりする際、トラクターは枕地の切り返しなどで時間がかかるが、MD20は一発で位置合わせが決まるからだ。
先にお話いただいたように、作業機の脱着も早い。

こうして生まれた小さな時短の重なりが効率アップにつながる。受託作業している大澤さんには大きな魅力だ。

全長が短く、作業機も中央にあるため小さなほ場や変形ほ場でもラクに作業

大澤さんのところでは、ご自身のほ場作業のほか、大豆作業などを請け負っておられる。ところが、この受託作業がなかなか大変なのだ。
効率良く作業ができる広いほ場を法人が持っていくため、大澤さんのところは、法人が受けない変形ほ場や小さなほ場を頼まれることが多いからだ。しかしこのようなほ場は、そのままでは耕作放棄地になってしまう。大澤さんは地域の農地を守るために、これらのほ場の作業を引き受けておられるのだ。

そこで活躍してくれるのがMDだ。トラクターは大きいうえ後ろに作業機を着けるから、さらに全長が長くなる。だから、変形ほ場に入っても動きづらい。ところがMDは全長が短いうえ小回りが利くから作業がしやすい。とMDの取り回しの良さについて語ってくれた。
地域の耕作放棄地の低減にも、MD20と作業機が一役買っている。

国や自治体と手を組むことでより効率的な地域農業実現をめざす!

最後に、堅エ門さんに今後の営農ビジョンについてうかがった。
「法人化すれば、人を入れて給料を払わなければならない。だからもっと効率を考える必要が出てくる。そうすると利益重視になり、いま受けている変形ほ場や小さなほ場を受託できなくなるから、ここらは耕作放棄地だらけになってしまう」と表情が曇る。地域のことを考えると、簡単には法人化はできないのだ。大澤さんには先祖から引き継いだこの地を良くして、皆が農業で儲かるようにしたい、という強い思いがある。だから個人で「来る者拒まず」の姿勢を貫くのだという。

しかし、このままでは作業機を入れても石ですぐ壊れ、その間作業が止まる。そうすると人件費がムダになる。じっとしているわけにはいかないのだ。そこで大澤さんは、今後はジョンディアトラクターとストーンクラッシャーを導入することで、この土地を改善できるよう、国や自治体に働きかけている。「石をなんとかすれば機械を入れて、規模拡大して、効率の良い農業ができる」と明るく笑う堅エ門さん。その笑顔の裏には地域を良くしたいという使命感が見えた。

MD14とMD20のフル活用で県平均反収の2倍、260kgを収穫!

秋田県仙北郡美郷町の飛澤さんは、水稲を個人で田植え以降の作業を18ha受託、大豆を個人で5ha栽培、それ以外に農事組合法人「未来遠槻」を立ち上げ、15~20haを受託しておられます。そのほかにトマトがハウス3棟(300坪)。それ以外に、ヤンマーの無人ヘリコプターAYH-3を使って、水稲と大豆の受託防除作業法人を組織。年間防除面積がなんと432haと、精力的に農業をしておられるプロ農家です。
飛澤さんはMD20の前機種、MD14のときからミッドマウント管理作業車を愛用いただいています。そんな飛澤さんにMD20の魅力をうかがいました。

飛澤 龍右エ門さん

秋田県仙北郡美郷町

県平均反収の約2倍、260kgを収穫!使わない3輪を譲って欲しい…の声も

元々3輪党の飛澤さんは、MD14を2台使っておられたが、1台目が古くなってきたので、今回のMD20で3台目の導入となった。今はそのMD20で播種し、すぐその後をタンクとブームをつけた2台目のMD14で除草剤をまく作業と、中耕培土作業にMDを使っておられる。

飛澤さんの開口一番は「MDは作業状態が見えるから、すごく安心できる」。MD最大のメリットだ。ご自身だけではなく、4輪の乗用管理機を使ったご友人からも「やっぱり3輪タイプの方がいい」と言われるという。
このほかに飛澤さんは、機体重量が軽く足回りが良いこともMDの魅力だと話してくれた。「雨後のほ場も少し乾いたら入れるし、ブロックローテーションで稲後に大豆をつくるときも、MDなら楽に入れる。早く作業しないとお金にならないからね(笑)」と、プロらしい一言を付け加えてくれた。
MDで特筆すべき魅力が枕地の活用だ。
トラクターは旋回時に大回りするため、枕地をつぶしてしまうことが多い。しかしMDだと枕地も収量になる。しかも中耕培土をする際にも大豆をつぶす割合が低い。これも収量に直接影響する。

MDを使い始めた飛澤さんをいちばん喜ばせたのは、やはり収量アップだ。その増収に貢献した要素の一つが枕地の有効活用だ。
飛澤さんの地域はプール方式の乾燥施設なので、個人の収量は分からないが、飛澤さんのところの昨年度の収量は10a当たり260kgあったという。「23年度は10a当たり200kg、24年度はなんと10a当たり260kg。23年度秋田県の平均反収124kg(農水省調べ)の2倍近く取れた」と顔がほころぶ。

「ほんと、良い機械を買ったなぁ…と思うよ。使わなくなった3輪を譲ってくれないか?という人もいる」と飛澤さんは微笑んでくれた。

MD20なら開花後も中耕培土が可能。馬力アップで作業者にもやさしい

MD20を使うと中耕培土作業の回数が増えるのも、魅力のひとつという。

飛澤さんのところでは6月初旬に播種作業をされる。その後、1回目の中耕培土を7月初旬あたりに3連中耕ロータリーで行い、2回目が7月中旬で梅雨にかかる。
そうすると雑草は生えてくるし、大豆にも花が咲きはじめる。
去年は長雨のせいで7月下旬くらいになったが、MDはタイヤの幅も狭いし地上高も高いから入れた。特にMD20はMD14に比べて地上高が高く、約70cmもある。だから開花してからでも入れるのだ。「開花してからでもやっぱり入らないより入ったほうが良いね(笑)」と飛澤さん。10a当たり260kgという結果が、すべてを物語っている。

またMD20は、操作面でもご好評をいただいている。現在MD20での作業は、MD14時代から使っている、法人所属の若手オペレーターが主に担当するが、MD14からMD20になって、UFO機能もついたし馬力がアップしたから、効率も良くなったし、カラダが楽だ」と、操作性や効率アップの評判も聞いているという。

取材時に中耕ディスクの魅力を再提案、作業が早い・高い除草効果に好感触

現在ヤンマーでは、MD20のご提案にあたって、MD20と中耕ディスクによる中耕培土作業をおすすめしている。引っ張るだけで簡単に中耕培土ができる、生長にあわせて培土方法を変えられる、スピードも速い…など多くのメリットがあるからだ。
ところが飛澤さんは、これまでずっと3連中耕ロータリーで中耕培土を行っておられたため、MD20と併せて導入いただいた中耕ディスクをまだ使っておられないとのこと。
この機会にと、中耕ディスクの魅力を改めてお伝えすると「慣れた3連ロータリーを使っていたけど、結局、中耕培土作業は、どれだけ雑草を減らせるかがポイントなんで、中耕ディスクがそんなにラクで除草効果があるなら、一度使ってみる」と興味をお持ちいただけた。

今期はぜひとも中耕ディスクを使って、その便利さ、作業能力の高さ、そして優れた除草効果をご実感いただきたい。

ご自身の農業、地域の農業を見据え、心意気と実績で地域農業継承へ挑戦!

ご子息も素晴らしい技術を持って農業後継者としてご活躍され、ご自身もまだまだお元気な飛澤さん。
「いま大豆は15軒ほどから受託しているけど、土壌条件等によって収量に差が出てくる。今後は、できるだけ受託先の皆さんに一緒になってほ場づくりを考えて、その差を無くしていきたい。そうしないとこの地域全体が良くならないし、法人経営も難しくなる」と、今後のご自身の農業、また地域の農業のことを考えておられる。

MD14とMD20のメリットの合わせ技で増収を実現した飛澤さん。「国や県の動きを見ながら考えないといけないけど、高齢化が進んでくると、これからは大豆も水稲も法人を主体にしていく必要があると思う。そしてその際は規模拡大もして、6次産業も見据えて、若い人とベテランで、うまくやっていかないといけない」と、次世代への継承について思いを巡らせる。
新しい挑戦には希望も不安もつきものだが、飛澤さんには、ここまで地域農業を引っ張ってきた心意気がある。大豆反当たり260kgを実現したMD14とMD20のフル活用で、これからも地域の農業継承に、頑張っていただきたい。

MDシリーズの能力が収量に好影響!

秋田県仙北郡美郷町の三輪さんは、水稲が20ha(13ha がご自身のほ場で、7haが受託作業)、大豆13ha、枝豆1ha、シイタケ(4間×28mが1棟・4間×17mが2棟)を栽培、さらにヤンマーのDAGシステム等をご導入いただき、2ヶ所で大豆57ha分の乾燥調製を請け負っておられます。大豆栽培当初からMD14を導入。一時、乗用管理機を導入されましたが満足できず、MD20を新たに導入いただきました。
三輪さんの考えるMDの魅力をうかがいました。

三輪 喜五郎さん(写真左)
三輪 喜一さん (写真右)

秋田県仙北郡美郷町

見ながら作業と旋回性がMDの魅力。MD20はスピーディでプロ向き

まず三輪さんの考えるMDシリーズの最大の魅力をうかがった。
「MDは小回りが利くし、前を見て作業ができるのがすごく良い」と、喜五郎さんが口火を切ると、その言葉を受けて「4輪の管理機やトラクターよりもMDのほうがきれいに播けるんです」と、ご長男の喜一さんが補足してくれる。
トラクターや乗用管理は後ろに作業機が着いているから、作業機がブレやすく、播種しても見栄えが良くない。その点MDなら車体中央部に作業機が着いているのでブレにくく、後々の作業も楽になるのだ。さらに4輪の場合は「確認のために、時々後ろを振り向かなければならないのが嫌だ」と喜一さん。それも作業機ブレや疲れの一因になる。

三輪さんのところでは、大豆栽培をはじめたときにMD14を導入。その後、後継機の開発まで時間が空いたため、仕方なく一時的に乗用管理機を導入してはみたが、前述のように良くなかった。そのため、その後に発売したMD20を新たに導入いただいたという経緯がある。MD20の開発時には、ほ場テストにもご協力いただいた。

MD20になっていちばん良くなった点を、オペレーターをされる喜一さんにうかがうと、スピードだと言い切る。
「馬力があるから作業スピードが速くなったねぇ。MD14を追い抜ける(笑)」。スピードは、作業効率にいちばん影響するため、プロ農家にはうれしいメリットだ。

MD14にしてもMD20にしても、いちど3輪に乗ると、誰もがほかの機械に戻れなくなるようだ。現在、乗用管理機はタンクとブームをつけて除草剤散布専用に使っておられるという。このほか、UFO機能についても話が及び「MD20(PVU仕様)はUFOのおかげで、中耕培土だけでなく播種もスムーズにできる」とお褒めの言葉をいただいた。

地上高が約70cmになって、より枕地を荒らしにくいMD20

三輪さんの作業体系はこうだ。
田植えが終わり次第だが6月初旬~20日頃までの間で、MD20にベルト式播種機(ごんべえ)を装着して播種。その後、7月の初旬頃にMD14MとMD20に三連中耕ロータリーを装着して、1回目の中耕培土を行う。その時は正転で同時施肥を行い初期生育を促進。その後7月20日頃に、逆転しながら培土機を装着して2回目の中耕培土作業を行う。
防除は、お持ちの無人ヘリで8月の下旬頃1回、収穫は10月初旬から下旬までに行うという体系だ。まさにMDシリーズのフル稼働状態といえる。

さらにMDの魅力を挙げてもらった。
「乗用管理機はどうしても枕地の大豆を踏み倒してしまうけど、MDはほとんど踏み倒さない」と喜五郎さん。この枕地の話は、どこのMDユーザーさんに聞いても必ず出てくる。特にMD20の場合は、地上高が約70cmと、従来機のMD14より地上高が高くなっているため、さらに大豆を倒しにくくなっている。

「大豆をはじめた当初は、どうせ枕地はつぶれると思って、大豆を植えなかったけど、MDを知って、これなら大丈夫と分かってからは、枕地まで植えるようになった」と笑顔がこぼれる。もちろんこの枕地分が、収量アップの一要素でもあるからだ。

地域事情により作業機を使い分け、効率アップや収量アップにつなげる

三輪さんのところでは、ほ場によって中耕ディスクと三連中耕ロータリーを使い分けている。作業スピードの早さや生育にあわせて培土方法が選べるという点では、中耕ディスクに軍配があがる。しかし「三連中耕ロータリーは機構上、作業はじめと作業終わりの両端部分まで均一な深さで耕し培土ができる」と、喜一さん。なるほど几帳面な喜一さんらしい考え方だ。加えて中耕ディスクを導入いただくまでは三連中耕ロータリーを使っておられ、慣れ親しんでいるということも影響しているだろう。

またもうひとつの理由は、当地特有の「石」の問題だ。
石のあるほ場では、三連中耕ロータリーの爪がすぐダメになるので、表面の浅い部分だけを削れる中耕ディスクを使っており、石の少ないほ場では三連中耕ロータリーを使っている。
地域の事情や栽培スタイルにあわせて作業機を使い分けるというのも、機械の能力を活かし、効率アップや収量アップにつなげる、プロの技術ではないだろうか。
気になる反収のほうは、土壌によって違うが10a当たり200kg~240kgと県平均反収より多く、場所によっては倍近い収量をあげている。ここでもMDシリーズの能力が収量に影響を与えているようだ。

難しい土地ではあるが、これからもMD14とMD20を駆使して、ご家族で大豆づくりに励んでいただきたい。

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