営農情報

2017年6月発行「トンボプラス10号」より転載

支柱打込み作業の労力を軽減。こだわりのにんじん生産に邁進!

にんじんの生産量では全国で常に上位に入る長崎県。その中でも島原市は肥沃な黒ボク土壌が広がる産地だ。西南暖地といえども冬場につくる春にんじんはトンネル栽培でつくられている。そして人手による支柱の打込み作業はつらい仕事だ。しかも当地では、昔から狭い段々畑で栽培し、農地を目一杯使うことからうね間が狭く、作業性は決して良くない。このような条件の中、(株)藤木農機製作所(本社/大阪府東大阪市)製のトンネルマルチ支柱打込機(うち丸:以下、うち丸)が注目を浴びている。
個人農家ながら、基盤整備を機に同機を導入された機械化の先駆者に、その導入メリットをうかがった。

田中 英光 氏(右)
田中 英二郎 氏(左)

長崎県島原市

栽培作物: にんじん
栽培規模: 約4ha

手は痛くないし、体は楽だし、能率も上がる

島原市で、約4haのにんじんを栽培する田中英光氏とご子息の英二郎氏は、基盤整備に合わせて藤木農機の〈うち丸〉を導入された。いちばんの決め手は労力軽減だ。
「これまで手にマメをつくりながら痛い思いをしてやっていたんで、前から機械があったらなぁ…と思っていたんです」と、喜びをあらわにする英光氏。
「このほ場は長辺が100mで、手作業だと手がマメだらけになる。それに本来は支柱の端を15cmぐらい刺さないといかんのですけど、土が乾燥していたら女性だと5cmも入らない。そしたら風に弱いんです」と、大変さを語る。
「早速使ってみたら、手は痛くないし、体は楽だし、能率は上がるし、時間は早く終わるし…。決めた深さで土の中に安定して入っていくんで仕上がりがきれいなんです。今は私が播種をやって、息子が支柱を立てている間に、従業員がビニールを張る段取りをして、立て終わったところからビニールを張っていくからとても楽になる」。心から喜んでいただいている。

うち丸との出会いはヤンマーの展示会だ。「ヤンマーさんの展示会へ行った息子から『これでやれば良いやん!』ということで教えてもらいました。ご子息の英二郎氏は「見た瞬間に、これだ!と思いました。ただ、ここは土地が狭いんで、旋回のときがどうかなぁ…と気になりました」。だが近年この地域の基盤整備が始まっていたため、問題なく使うことができたようだ。

「ほぼ毎日の作業なんで、労力軽減効果は大きいです」。若い英二郎氏でも辛いという。聞けばビニール張りをするとき以外は、11~2・3月までの時期中、ほぼ毎日支柱打ち作業が続く。「冬にんじんを収穫しながら、空いたほ場に春にんじんを播種していきます。天気をにらんで出荷の仕事の合間を縫ってやりますから、大変なんですけど、うち丸を導入してからは息子に任せてます」と、英光氏。こちらで使っている鉄に亜鉛でメッキ加工された支柱は、特に重いそうだ。うち丸のお陰でカラダが楽になったと喜ぶ。「これまでは運搬も大変ですけど、土が乾燥していると無理して支柱を刺すんで、体のあちこちが痛くなるんです。それから解放されました。ありがたい機械です」。

「〈うち丸〉を使うようになってから、手にマメはできないし、体は楽だし、効率も良くなりました」と、語る英光氏(写真左)と英二郎氏(写真右)。

乾燥した土でも均一に打込み強いトンネルをつくる

大幅な労力軽減を実現した英光氏だが「ほかにも使った人にしかわからないメリットがある」と、教えてくれた。
実際にお1人で使われている英二郎氏にうかがうと、やはり基盤整備ができていないほ場では人手の方が早いこともあるらしい。しかしトンネルの強度という点ではこの機械が勝るという。人手だと個人差があるため均一に刺さらないからだ。
「ほ場が乾燥していると、事前にトラクターで深く耕していても土が硬くなって支柱が刺さらない。でもこの機械なら、決まった深さできちんと刺さっていく。同じ深さで刺さっていくから仕上がりがきれいだし、打込んだ支柱にビニールを掛けても風に対してすごく強いんです。これまで女性が支柱を立てた場合は高さにバラツキが出るため、ビニールを張ると雨が降って風が吹いたときに隙間ができる。それで春一番なんかが吹くと剥がれてしまうんです。おかげさまで、今年はよそのトンネルが剥がれても、ウチは剥がれなくてほんとうに助かりました。あと剥がれるだけでなく破れることもあるんで、そういう意味でも助かってます」。うれしいお言葉だ。

狭いほ場を目一杯使う苦肉の策で、うね間はギリギリ足が入る幅(約20cm)。また1うねは8条植えになっている。
これまで播種・支柱打ち・ビニール掛けの作業に全員でかかっていたが、〈うち丸〉の導入で余剰人員が生まれたため、調製や出荷作業にまわせるようになった。この日は英光氏の奥様と中国人研修生が作業中。

独自の改良で積載量を増やしさらなる労力軽減&省力化

械化で改善されたのは労力軽減だけではない。実は導入機は、一部を改良しており、それによって新たな魅力が生まれている。

標準仕様だと支柱が20~25本ぐらいしか入らないので、支柱の運搬作業が必要になる。そこで早速ヤンマーアグリジャパン(株)九州カンパニー島原支店の宇土智博支店長に「補充用の支柱をもっと積みたいので、もう少し仮置きボックスの大きさを広げてよ」と、相談した。「通路が狭いんで、補助用の支柱をもっと機械の前方まで持ってくるのが大変なんですよ」。その結果「元々20本ほどしか入らなかった支柱仮置きボックスを、約100本乗せられるように大きくしてもらいました(写真参照)」。

「それで1度で1うね分積めるようになりました。ヤンマーさんも、こんなふうに売った後もいろいろ取り組んでいただけるので、ありがたいですね」と、満足げな英光氏。改良は好評で、ご一緒に導入されたほか2軒の農家も、田中さんと同じ改良を行っておられるという。

  • 藤木農機了解のもとに実施しています。
パイプを何度も運ばなくても良いように、約4倍(約100本分)に拡大された支柱仮置ボックス(破線内)。写真右下に置かれているのは標準型。

強いトンネル環境がこだわりの栽培にも貢献

そんな英光氏のにんじんは、市場や大手流通業者に出荷するため、土づくりにもこだわっている。微生物資材を使い、リン酸の不溶化を防いでその肥効を高めることなどで、作物の吸収する養分バランスを整える農法だ。これにより、にんじんの色も味も良くなるという。
「作物が健康に育つと病害にも強くおいしくなる。そのにんじんを食べると人間も健康になる。人間も植物も一緒です」。そのこだわりも、風にはびくともしないトンネルマルチという栽培環境が基本にあってこそだ。うち丸も少なからず貢献しているに違いない。

取材中何度も「ほんとうに良い機械をつくってくれました」と、微笑んでくれる英光氏。楽になって、効率も良くなったので「将来的に規模拡大も視野に入ってきましたか?」との質問に、にっこりと微笑んでくれた。

年間トータルで240~300t弱のにんじんを、市場や大手流通業者のプライベートブランドとして出荷している。写真は洗浄が終わり箱詰めされたにんじん。

トンネルマルチの支柱を、油圧で「同じ間隔」「同じ深さ」に打込みます!

山科 一雄 氏

株式会社藤木農機製作所
営業技術 部長

トンネルマルチ作業は、田中様がおっしゃっていますように重労働です。支柱を立てるのもそうですし、支柱をうねに一定間隔に置いてまわる運搬作業も大変な作業です。島原地区のように重くて長い(2.7~3m)トンネル支柱は、肩にかついでも先端が地面に付いて運びにくいものです。〈うち丸〉はそんな運搬作業も兼ねて使っていただくことができるので、大幅な労力軽減となると思います。
同地区のお客様が手元にたくさんの支柱を載せられるようにされた改造は、溝が狭く、機械の横にまわりづらい地域では、すばらしいアイデアだと思います。使いやすさ、能率が飛躍的に上がると思いますので、来期にはそのご要望を商品に取り入れていこうと思います。

トンネルマルチ支柱打込機 うち丸TPNシリーズ

往路は支柱打込み!!
復路はトンネルマルチ被覆!!
  • 打込みスピードが1本当たり4~5秒とスピーディ。油圧式で打込み深さも一定なので、支柱の高さも揃います。
  • 行きは支柱打込み、帰りはトンネルマルチ張りを行うので、重いマルチシートを手で運ぶ必要もなく、1人作業が可能です(FCM・FCMA2)。
  • 旧型式ではオプションとして好評だった車幅調整キットを、標準装備しております。
  • 記事中の機械は、打込み専用仕様です。

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