営農情報

2020年6月発行「トンボプラス16号」より転載

〈メーカー探訪〉オンリーワン・カンパニーを目指す、創業80周年企業 株式会社タイガーカワシマ

時代の変化に対応し、開発方針を多品種少量生産体制に切り替えることで、80年の長きにわたり発展してきたのが、温湯処理機『湯芽工房』などの製品で知られる、株式会社タイガーカワシマ(以降、同社)だ。

「創業社長である川島栄由(えいよし)の父、私には曾祖父にあたる川島友吉(ともきち)は、金物屋を営んでいました」。3代目の社長、川島昭光氏によると、栄由氏は幼少の頃から機械いじりが大好きで、金物屋を手伝いながら機械づくりに取り組み出した。「その後、工員を雇って製造に専念、祖母も工場に入って二人三脚で工場を立ち上げていきました。最初の製品は脱こく機です」。栄由氏は、1947年に株式会社川島鉄工所を設立、1987年には、社名を株式会社タイガーカワシマに変更。社名に冠した<タイガー>は、創業社長 栄由氏の生まれ干支(寅)が由来だ。「人が生きるために必要な食料を生産する大切な農家の皆さんが、少しでも豊かに農業ができるよう、機械化で応援したい」と語る昭光氏は、創業社長や、二代目社長で父の川島英一氏の想いを、現在に受け継いでおられる。

創業当時の社員旅行。前列左から4人目が創業社長の川島栄由氏。

農家の皆さんが、少しでも豊かに農業ができるよう機械化で応援したい

代表取締役社長 川島 昭光 様(写真右)
常務取締役 営業本部長 川島 廣大 様(写真左)

群馬県邑楽郡
株式会社 タイガーカワシマ

試験場とコラボで製品開発。食品分野へも進出し、食品機械ショールームを竣工

多様な製品を生み出してきた同社は、<オンリーワン>という言葉にこだわる。そして現製品分野内で、圧倒的シェアと開発の歴史を持つ製品開発を実現するのが<オンリーワン・カンパニー>と考えておられる。そのために不可欠なのがアイデア。そこで特筆したいのが製品開発に至るプロセスだ。基本的には、営業部がお客様の生の声を吸い上げて開発につなげるが、同社ではその他に、技術部が定期的に各地の農業試験場などを訪問し、研究者とコラボで開発を行うのだ。これこそ<オンリーワン>の証しといえる。この方式によって同社は、多くの製品を生み出してきた。全国シェア97%を誇る温湯処理機『湯芽工房』もその1つだ。これらの技術開発力を裏付けるように、発明や特許などを取得、多くの賞も受賞されている。

「農家の減少という背景を前向きに捉えたんです。今は、何万台というホームラン製品は出ませんが、500台位の内野安打の製品をたくさん生み出すよう心がけています」と昭光氏。独自の取り組みが、企業繁栄につながった好例といえる。そして2013年、連続式種籾温湯処理技術を活かして異分野の食品業界にも進出。2019年に、食品機械ショールームを竣工した。

低コストで農薬を使わない温湯処理機『湯芽工房』は、試験場の研究者とのコラボによって誕生した。
ショールームでは、お客様ご自身の商材で、洗浄試験をしていただける。

コンパクトなライン構成と製造部の社員が取り組む<ムダ取り活動>

さらに同社では、この開発形態を支える工夫もしている。「ウチは製品が多い上、春・秋と短いスパンで製品が入れ替わる。製造ラインを固定すると変更が大変なので、フレキシブルに変更できるように、ラインをコンパクトにつくっているんです」。加えてそのラインを、より低コストかつ効率的に稼働させることも重視する。代表的な取り組みが<ムダ取り活動>だ。製造部を中心にコスト低減や効率化を学び、大手企業で生産管理を指導してこられた先生を定期的にお招きして、発表会を開催しているのだ。社員が自ら考え発表することで、意識も生産管理面でも良い影響を与えている。

フレキシブルに変更できるよう、コンパクトに構成された製造ラインでは、女性社員も活躍している。

スポーツに特化したCSR活動で、地域社会の健康増進に貢献

同社が力を入れるのは、仕事ばかりではない。毎年の決算後には社員大会を開催、優秀社員の表彰などで士気を高めつつ、隔年で行う泊まりがけの社員大会では、カラオケや懇親会などで社内の親睦を深めている。また地域社会との関わりも独特で、地域スポーツを積極的に支援している。栃木県で活躍する自転車のプロロードレースチーム<宇都宮ブリッツェン>の、同社はスポンサー第1号なのだ。今では全国大会でも度々優勝し、ツールドフランス出場を目指しているチームだ。その他にも、オリンピックで優勝できるトライアスロン選手を育てる村上塾のスポンサーや、熱気球ホンダグランプリ<渡良瀬バルーンレース>への協賛など、スポーツ関連のCSR活動が多い。

理由はズバリ、昭光氏ご自身が、マラソンなどを趣味とするアスリートだから。運動不足解消のため、40歳の頃にジョギングを始められマラソン、トライアスロン、自転車と挑戦するうち、気力体力に自信がつき、仕事にも好影響が出たという。そんなご自身の経験から、地域スポーツの振興を支援されているのだ。そのためか「最近は県内でも、自転車人口が増えています」と明るく語る昭光氏。このような活動にも、同社の<オンリーワン>へのこだわりをうかがい知ることができる。時代を読んだ昭光氏の経営手腕は、確実に点を取っている。2020年に80周年を迎える同社だが、内野安打はまだまだ続きそうだ。

車通勤の社員が多く、同僚と酒を酌み交わす機会がないため、宿泊社員大会を大切にしている。
プロロードレースチーム<宇都宮ブリッツェン>の選手と写真に写る昭光氏。

社是に裏打ちされた、オンリーワン・カンパニー 株式会社タイガーカワシマ

常にオンリーワン・カンパニーを目指してこられた同社は、<製品開発プロセス>や、<ムダ取り活動>、<スポーツに特化したCSR>など、独自のスタイルを貫いてこられた。しかしそれは、決して奇をてらっているのではない。すべては社是にある<誠実 積極 協調>を重んじてきた結果なのだ。誠実な対応、積極的な対応、独りよがりにならない協調性、この行動指針を真摯に守ってきたからこそ、現在の姿があるのではないだろうか。

「創業から80年、祖父、父、私と3代続けてこられたのは、ユーザーである農家の皆さん、ディーラーである販売店の皆さん、そして会社を盛り上げてくれた社員の皆さんのお陰です。すべての関係者の皆さんに感謝しています。創業社長の商売への情熱を忘れることなく、今後ともチャレンジして90年、100年に向けて心も新たに邁進する所存です」と、感謝を語る昭光氏。社是を大切にする同社は、今後もオンリーワンを目指して躍進を続けるに違いない。

2012年、工場施設の拡大にともなって、栃木県栃木市から群馬県邑楽郡に移転した本社・工場。現在、敷地内には、食品機械ショールームも入る。

■社是

「誠実」「積極」「協調」

営農情報一覧ページに戻る