営農情報

2021年12月発行「トンボクロス3号」より転載

〈メーカー探訪〉人と地域社会を大切に、持続可能な未来を社員と共に目指す 和同産業 株式会社

代表取締役社長 照井 政志様

岩手県花巻市
和同産業株式会社

鉄製品製造販売から農業機械へ。そして除雪機のトップメーカーに

今回取材したのは、除雪機の国内生産トップシェアを誇る和同産業株式会社(以下、同社)だ。2021年、創業80周年を迎える同社は、創業者の想いを受け継ぎ、さらに次代へ向けての布石を打っておられる。まずは同社の歴史からみていこう。

1941年、岩手県盛岡市で、中古機械の売買や鋼材原料などを扱う会社〈東北資源株式会社〉として、初代社長の三國丑蔵(みくに うしぞう)氏によって創業された。その5年後には、社名を〈和同産業株式会社〉へと改称し、拠点を花巻市に移して工場を整備。当初はストーブや家具、医療用ベッドなど、鉄に関する製品の製造販売をしておられた。

そして1954年、当時開発した人力水田中耕除草機で、日本工業規格(JIS)表示許可工場の指定を受けたのを皮切りに、さまざまな農業機械を次々と開発し、世に送り出した。1957年に、アタッチメント式代搔作業機サプレーカーや草刈機、レーキを、1961年には除雪作業・耕起作業用スノーブルを開発。1977年には投雪機が東北地区発明展で発明協会会長賞を受けるなど、除雪関連の技術を培うことで、その後、除雪機が主力製品になっていく。現在は生産ベースで、国内シェア約70%を占めるトップメーカーだ。

成長期の同社が開発した、初期のアタッチメント除雪機。

創業者の想いを尊重しつつ具体的な施策では大胆に改革

成長期、事業拡大期を経て2012年、2代目社長の三國慶耿(よしあき)氏から、同社の経営を受け継いだ現社長の照井政志氏は、就任にあたり、〈人と地域社会を大切にする〉という創業者の想いを尊重しつつ、具体的な施策で大胆な改革に着手した。そのひとつが〈経営陣の若返り〉と〈情報開示〉に加え、独自の〈チーム型経営〉を取り入れたことだ。「良い情報も課題も社員に開示した上で、各部の部長でチームを組んで考えてもらうことにしたんです」と、照井氏。もちろん社員ウケを狙ったのではない。「今はもう、オーナーが1人で経営を仕切る時代ではありません」と、あっさり。さらに「そこで育った人たちは役員に昇進して、今は次の部課長や、その部下の人たちが育っている。それが私なりの〈チーム型経営〉だと考えています」。

つまり、社員が主体的に仕事を考えられる機会を与えているのだ。これによって、同社の新しいカタチが少しずつ見えてきた。その象徴的な製品が、WADOブランドの自律走行無人草刈機ロボモアMR-300「KRONOS」だ。同社は、自社ブランドにこだわりを持っている。「今ある人員と設備の中で、ブランド力を高めるには、自分たちで開発して、生産して、売って、サービスをする。まずこのサイクルを完成させたいんです。そうすることで、WADOブランドが皆さんに認知され、それがブランド力につながるんだと思います。その代表がロボモアなんですよ」と、照井氏。聞けば、ロボモアは、開発スタッフが長年培った除雪機の制御技術から生まれたという。そして、そのロボモアは発売以来、順調に販売台数を伸ばしている。

ロボモアは、果樹園を中心に、地方空港やNEXCO、教育機関などからも引き合いがある。

自社の持続可能性を見据えた新しい経営方針

今年、就任9年目となる照井氏は、先のことも考えている。「とにかくトップダウンのようなやり方を、やめようと思います。今までは、事業の量的拡大が繁栄の目安で、それを目指せば良かった。でもそれでは、どこかで誰かが無理をしている。今は、〈同一労働同一賃金制度〉や〈働き方改革〉という考え方も普及していますし、コロナ禍で、改めて社員の命や健康について考えさせられたんです。

それで、この生産方式を今後も続けるのは、難しいのではないかと思ったんですよ。つまりこれからは、自社の身の丈の範囲内できちんと計画を立て、生産体制を整え、良い製品をつくってご提供する、ということです」と、真剣な表情で語る照井氏。この経営方針は、いま注目のSDGs(持続可能な開発目標)そのものだ。

従業員を信じ、彼らの生活と地域社会を守る

人と地域社会を大切にする同社では、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。今はコロナ禍で中断しているが、従業員が仕事と子育てを両立するための試み〈一般事業主行動計画(厚生労働省が推奨)〉に取り組み、〈こども参観日〉などを実施。また照井氏は、「地場の企業として、雇用創出が何よりの社会貢献」と、コロナ禍の昨年を除き、毎年5名前後は地域の人材を雇用しているのだ。さらに、先代の社長が、地元で〈花巻少年少女発明クラブ〉というNPO団体を立ち上げて会長を務めておられたことから、今は照井氏が会長を引き継ぎ、総務部長やOBの方が指導員として続けておられる。

最後に照井氏に、創業80年を迎え、今後のビジョンも踏まえて一言いただこうとすると、「そんな大層なことは何もありません。私の将来ビジョンは、後継者を指名して、自分は去っていくこと」と、笑う。冗談ぽく言われているが、そうではない。照井氏は就任された時点から、すでに将来を見据えて動いておられるのではないだろうか。〈経営陣の若返り〉も〈情報開示〉も〈チーム型経営〉も、すべての改革はそのための布石だった。だから同社は、敢えて周年にこだわらないのだ。今回の取材では、ときに穏やかに、また豪快に笑いつつ、社員を信じ、彼らの生活と地域社会を守るという、照井氏の覚悟を垣間見ることができた。これからも同社は、新しいカタチの地域企業として、ますます発展していかれることだろう。

発明コンクールで優秀な成績を収めているという〈花巻少年少女発明クラブ)。
こども参観日では、子供たちがお父さんお母さんの仕事を見学し、仕事の大切さを学ぶ。

〈人と地域社会を大切にする〉ために〈和して同ぜず〉。

同社の精神的な柱は、〈人と地域社会を大切にする〉という想いだ。それは社是、『わが社の商品が、社会に貢献することを使命とし、縁ある人々の幸福を実現する。』に合致する。受け継がれたこの想いは、〈情報開示〉〈チーム型経営〉などに取り組む照井社長の代で、改めて社名の由来である『論語』の〈和而不同和して同ぜず〉の精神を身につけ、より強固な技術集団として今後も進化し続けていくのだろう。

同社の礎(いしずえ)を築いた、創業者の三國丑蔵氏。

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