近年、気候変動の影響で極端な豪雨や猛暑日の増加といった異常気象が頻繁に発生しています。気候変動は農業にさまざまな影響を及ぼし、このような状況に対応するためには、多角的なアプローチが必要です。今回は気候変動に負けない土づくりの具体的な方法とその効果についてご紹介します。
高齢化や人手不足は農業にとって課題ですが、気候変動も現代の農業における大きな課題のひとつといえます。地球温暖化による高温障害、多雨、干ばつ、冷害などは、水稲や野菜、果樹の品質や収量に影響を及ぼします。
適切な作土深は、品質・収量の向上に関係しているデータが示されており、気候変動への対策として効果が期待できると言えるでしょう。
水稲におけるほ場の作土深と整粒歩合の関係
土壌の性質は、物理性、化学性、生物性が互いに複雑に絡み合う中で決まります。そして、その3要素のバランスが取れた状態であることが健康な土壌の条件です。ほ場によって違いはありますが、実際の土壌に関するトラブルの「70~80%は物理性の改善によって解決される」と言われています。
プラウなどで深耕することで作土層を拡大させ、下層まで空気が良く通り、通気性・透水性の良い土壌環境をつくります。また、根が深くまで伸びることで、水分や養分を吸収しやすくなり、作物の健全な生長を促します。
資料:多収穫田の作土層の厚さと収量
資料:作土深と収量
土壌の化学性が適正な状態とは、土壌中のEC(電気伝導度=塩類濃度の指標)やpH(酸度の指標)などの数値が適正で、養分含量のバランスが良く、作物の生育に理想的な環境になっていることです。表層に塩基類や石灰資材が集積した土壌は、下層土と混和することにより塩基類を薄めたり、pHを低下させたりすることができます。また、下層の微量要素も全体に混和し利用することもできます。
ただし、深耕・混和により土壌バランスが変わることもありますので、土壌診断を行うことをおすすめします。
耕うんとpH+ECの変化
| 耕うん方法 | 土層深さ(cm) | pH | EC (1:2.5・mS) |
|---|---|---|---|
| 無処理 | 0~12 | 6.3 | 2.5 |
| 10~20 | 6.5 | 1.1 | |
| 20~30 | 6.5 | 0.4 | |
| 30~40 | 6.7 | 0.4 | |
| 30cm深耕 | 0~12 | 6.6 | 1 |
| 10~20 | 6.4 | 1 | |
| 20~30 | 6.3 | 0.9 | |
| 30~40 | 6.1 | 0.5 |
緑肥作物は、土壌の物理性、化学性、生物性の改善など、さまざまな目的で活用されています。緑肥作物を栽培、すき込みをすることで、有機物が土壌に供給されます。土壌の劣化や腐植のもととなる土壌有機物の消耗を防ぎ、生産性が高く健全な土壌を維持していくためには、有機物を絶えず土壌に供給していくことが欠かせません。
緑肥作物は、土壌にすき込むことで有機物が供給され、微生物の活動を活発にします。目的に応じた緑肥作物(品種)を選んで栽培することで、有機物の供給のみならず、化学肥料の削減、土壌病害虫による被害の軽減、景観づくりなどの効果を得ることができます。特定の品種は、土壌中の病原菌や線虫を抑制する効果があります。また、根が深く広がることで水や空気の通り道になり、根で土が耕されます。
近年の局地的豪雨によってほ場に水がたまると、発芽不良や、根に酸素が届かないことによる根腐れの原因となります。溝掘機による表面排水の明きょや、サブソイラなどでの耕盤破砕(暗きょ)で透・排水性が向上します。また、うねを立てることで作土層が広がり、根域も確保できます。
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