お客様事例紹介

京都丹波西村farm 西村 不二夫様<田畑の大将(赤)・ラクトバチルス>

京都丹波 西村farm

西村 不二夫 様

  • 地域 : 京都府南丹市
  • 掲載年 : 2020年
  • 作物・作業 : 土づくり(カルテック農法)

山里の環境と、<カルテック農法>がはぐくんだ<京ほたる米>

京都府のほぼ真ん中に位置する南丹市日吉町は、中山間地域ではあるが、太平洋と日本海に水を分ける分水嶺に位置し、蛍が住む清らかな水が流れる、水田が広がるのどかな山里だ。
当地は標高200mで寒暖の差があり、昔から京都の米どころだ。あまり知られていないが、実は2019年の大嘗祭で奉納米の主基田に選ばれたのは、当地に近い八木町のほ場だった。

西村farm(以下、同farm)の西村不二夫氏は、そんな日吉町の1.35haのほ場で、安心安全や食味にこだわった<カルテック農法>でつくったコシヒカリを、<京ほたる米>の独自ブランドで全量直販、その美味しさが口コミでどんどん広がっているという。果敢にも新しい農法に挑戦した西村氏に、独自の栽培法やその効果についてうかがった。

蛍が住むほど清らかな水が流れ、水田が広がるのどかな京の山里・南丹市日吉町。
蛍が住むほど清らかな水が流れ、水田が広がるのどかな京の山里・南丹市日吉町。

小規模でも収益性の高い農業を目指し<カルテック農法>と出会う

元々、教育機関で事務職として勤務されていた西村氏は、お父様の農作業を休日だけ手伝う、兼業農家だった。その後、お父様の引退を機に跡を継がれ西村farmをスタート、現在は定年を機に専業農家になられた。農繁期以外はお1人で135aのほ場を管理しておられる。しかし普通に稲作をしていてはなかなか経営が難しい時代。同farmも、地域の農家と同じようにキヌヒカリの慣行栽培をしておられたが、小規模でも収益性の高い農業を目指した西村氏は、打開策を探っていた。

そんなとき、ヤンマー特約店の増田機械(株)(京都府亀岡市)から展示会のお誘いがあったのだ。「その展示会で、<ラクトバチルス>という菌と<田畑の大将>を使った<カルテック農法(以下、同農法)>のことを知ったんです」と、同農法との出会いを振り返る。そして平成27年頃にコシヒカリで同農法の導入を決めた。しかしまだ半信半疑の西村氏、初年度は全ほ場の1/3だけに採用したところ、他の農家のコシヒカリがほとんど倒伏しているのに対し、同farmのコシヒカリはまったく倒伏せず、味も良かった。そこで西村氏は、思い切って全量<カルテック農法>を採用したのだ。

名刺と合わせて、「うまさ・安全・食べごたえ、マル印!」 できめていただいた、笑顔のマル印ポーズ。後ろは、秋・春作業で活躍する西村氏愛用のYT228。
名刺と合わせて、「うまさ・安全・食べごたえ、マル印!」 できめていただいた、笑顔のマル印ポーズ。後ろは、秋・春作業で活躍する西村氏愛用のYT228。

乳酸菌と水稲残さが団粒構造をつくる<カルテック農法>

ここで、ラクトバチルス菌と田畑の大将を使った同農法について、少し説明しておこう。
簡単に言うと、ラクトバチルス菌とは、乳酸菌や酵母などの有用微生物で、これらの働きにより、土壌中の有機物の分解発酵が促進、土壌中に腐植が増えて保水性、透水性、通気性の良い団粒構造が発達し、農薬や化学肥料を減らしつつ、安心安全で美味しい米をつくることができる農法だ。逆に、化成肥料や農薬が多すぎると微生物が減って土壌が単粒構造になり、保水性、透水性、通気性の悪い土壌となる。

同farm では、秋耕の前のほ場に、ラクトバチルス菌400g/10a と、微量の硫安を投入。水稲残さの米ぬか、籾がらや稲わらなども土中にすき込んでいる。また、あわせて採用している田畑の大将(赤)は、酸性を好む植物用に、特別につくられた酸性カルシウム栄養資材で、近年、日本のほ場や人体に不足傾向にある栄養素、カルシウムを補給する栄養分だ。同farm ではこれを田植えと同時期と、出穂10日前に施用している。これらの土づくりを中心とした栽培方法により、同farm のコシヒカリは、特別栽培米と同等の品質だと西村氏は胸を張る。

土にも人体にも必要なカルシウムを補給する<田畑の大将(赤)>。(ヤンマーグローバルCS株式会社)これらの資材を使った京ほたる米の<カルテック農法>概念図。
土にも人体にも必要なカルシウムを補給する<田畑の大将(赤)>。(ヤンマーグローバルCS株式会社)これらの資材を使った京ほたる米の<カルテック農法>概念図。

さらなる工夫で<疎植栽培>を導入。販売には<マーケティング>を活用。

さらに西村氏は、同農法と併せてもうひと工夫している。それは疎植栽培の導入だ。
当地の慣行では条間30cm・株間18cm だが、同farm では条間30cm・株間26cm にしている。「疎植にすることで、慣行約600kg/10a に対して約500kg/10a と収量は減るけど、食味が良くなる」と、西村氏は語る。それを裏付けるように、粒が大きく粘りがあり、冷めても美味しい良食味米が収穫できた。西村氏は「これは、売れる!」と確信したが、農繁期を除き栽培から発送まで、すべての作業をほぼお1 人でやっておられるため、売る手立てがない。そこで西村氏が活用したのがマーケティングの手法だ。つまり同farm のコシヒカリを、地域の特性やイメージにあわせて、独自ブランド<京ほたる米>として打ち出し、補助金を活用してオリジナルの米袋や、通販に対応したホームページを整備して全国に向けて発信、<京ほたる米>の全量直販をはじめたのだ。

蛍が飛び交うイメージを表現した、西村farmのホームページ。美しい環境や<カルテック農法>の説明、美味しさ、安心安全の理由も、きちんと説明されている(https://kt-nishimura-farm.com/)。
蛍が飛び交うイメージを表現した、西村farmのホームページ。美しい環境や<カルテック農法>の説明、美味しさ、安心安全の理由も、きちんと説明されている(https://kt-nishimura-farm.com/)。

<カルテック農法>で栽培したほ場の稲(右のほ場)は、慣行栽培(左のほ場)と違って、緑色がすこし淡く自然の草に近い葉色になり、タニシの数が多いという。
<カルテック農法>で栽培したほ場の稲(右のほ場)は、慣行栽培(左のほ場)と違って、緑色がすこし淡く自然の草に近い葉色になり、タニシの数が多いという。

令和元年分がすでに完売する、<カルテック農法>の効果。

<カルテック農法>の効果は、なんといっても<京ほたる米>の食味に表れている。今や京ほたる米は、カルテック農法によって安心安全はもとより、粒が大きく、冷めても美味しいとファンを増やし、全国にリピーターがいる。「皆さん、手紙やオンライン・マルシェに『もっちりつやつや、冷めても美味しい!』と、感想を書いてくれるのがうれしいですね。お客様の反応が、やりがいになっています」と、顔がほころぶ。<京ほたる米>の反応は上々だ。それを裏付けるように、某有名ホテルのビュッフェで、同farm の<カルテック農法>でつくったコシヒカリと、当地の慣行農法で栽培されたコシヒカリとを食べ比べてもらったところ、約8 割が同farm のコシヒカリ(京ほたる米)を選んだと言う。さらにその品質は数値にも表れており、米・食味分析鑑定コンクールでの審査基準となる<食味値>が、87 点の<特A>評価を受けているのだ。

また2019 年には、京都丹波米良食味推進協会が主催し、約80 軒の農家が参加する〈京都丹波米おいしいお米コンテスト〉で、全国農業協同組合連合会京都府本部長賞を受賞したことも追い風となって、販売は右肩上がりに。令和元年分の京ほたる米の新米は、すでに完売するほどの人気を博している。良食味米の条件は、タンパク質・アミロース・水分・脂肪酸度の4要素によって決まるが、同farmの京ほたる米は、総合で<87点>と、最も高い評価をいただいている。

売り切れるほどの人気を博している<京ほたる米>のオリジナル米袋。右は「第10回京都丹波米おいしいお米コンテスト」で表彰式された時の写真(西村氏は前列左端)。出典:南丹市情報センター(地元ケーブルテレビ)ホームページ http://nantantv.or.jp/?p=12844
売り切れるほどの人気を博している<京ほたる米>のオリジナル米袋。右は「第10回京都丹波米おいしいお米コンテスト」で表彰式された時の写真(西村氏は前列左端)。出典:南丹市情報センター(地元ケーブルテレビ)ホームページ http://nantantv.or.jp/?p=12844

今後は、地域の賛同者で、組織化や法人化などを模索。

今では、完売するほどの良食味米をつくる西村氏だが、唯一の悩みが今後の問題だ。西村氏は現在、ほぼすべての作業をお1人でやっておられる。また同農法を採用しているのは日吉町では西村氏ただ一人だと言う。本来なら、これだけ人気のある<京ほたる米>なら規模拡大したい。しかし後継者がいないのだ。また、ご自身のことだけでなく、地域農業が廃れていくのも西村氏は憂いておられる。西村氏にその点をうかがうと「自分だけではなかなか難しいので、地域の賛同者で組織化するとか、法人化するとか、販路確保をするとかも視野に入れて動きたい」と、しっかりとした口調で語ってくれた。
お1人で人気のブランド米<京ほたる米>を育ててきた西村氏のことだ、ご自身の営農や地域農業の課題も、必ず突破口を開いてくれるだろう。

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