知っておくべき温対法のルールをご紹介

更新日時:2022.11

知っておくべき温対法のルールをご紹介

(1)温対法とは

温対法とは、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国へ報告することを義務付けた法律のことです。また、国は報告された情報を集計し、公表することとされています。

正式には「地球温暖化対策の推進に関する法律」といい、「地球温暖化対策推進法」と省略されることもありますが、さらに省略された呼称が温対法です。
もともと温対法の歴史は、1997年京都で開催された気候変動枠組条約の締約国会議(COP3)の京都議定書まで遡ります。
そこで決められた、「日本のみんなが一体となって地球温暖化対策に取り組んでいこう」というルールが始まりになります。

(2)温対法の算定報告の概要

温対法は、温室効果ガスを多量に排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが義務付けられていますが、どんな人がどんな内容を報告しないといけないのか、1.制度のねらい、2.事業者、3.報告対象、4.罰則の4点から整理していきましょう。

1. 制度のねらい

制度のねらいは環境省によると以下2つとされています。

  • 温室効果ガスの排出の抑制を図るため、各事業者が自らの活動により排出される温室効果ガスの量を算定・把握すること。これにより、排出抑制対策を立案し、実施し、対策の効果をチェックし、新たな対策を策定して実行すること。
  • 算定された排出量を国が集計し、公表することにより、事業者が、自らの状況を対比し対策の見直しにつなげること。また、国民各界各層の排出抑制に向けた気運の醸成、理解の増進。

2. 報告の対象範囲

温室効果ガス全般で、その種類は「エネルギー起源のCO2」と「エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス」の2つになります。報告書は、温対法と似た法律の省エネ法の定期報告書を活用することができるので、重複した報告書を準備する必要はありません。

3. 対象となる事業者

対象となる事業者は、エネルギー起源のCO2か、もしくはエネルギー起源のCO2以外の温室効果ガスかで大別され、次の通りです。(詳細は参考URLを参照。)

  • エネルギー起源のCO2:特定事業排出者A、特定輸送排出者
  • エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス:特定事業排出者B

4. 罰則

罰則は、排出量を報告しない、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料となっております。企業の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表のやり方は電子システム化を原則とし、これまでの排出量情報の開示請求なしで公表される仕組みとなりましたので、企業イメージの維持のために、報告書作成は毎年作成しなくてはなりません。

(3)温対法の改正

2020年10月に、日本はパリ協定に定める目標(世界全体の気温上昇を2℃より十分下回るよう、更に1.5℃までに制限する努力をする)を踏まえ、「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。それら実現していくために、地域は再エネをどんどん取り入れていくための体制が、企業は脱炭素化の取り組みがちゃんと評価される仕組みが必要だということで、2021年に温対法が一部改正されました。いったいどんなところが改正されたのか、主なポイントを3点にまとめてみました。

<改正の主な3つのポイント>

① パリ協定およびカーボンニュートラル宣言を踏まえた基本理念の新設

温対法は、パリ協定や2050年カーボンニュートラルを基本理念とし、脱炭素化対策に対する長期的な方向性が明記されました。これによって、みんながより確信をもって脱炭素化対策の取り組みを加速できるようになりました。今後のカーボンニュートラルの実現には国民全員の理解や協力が不可欠です。

② 地域の脱炭素化促進のための事業計画・認定制度の創設

地方公共団体は、地域の再エネを活用した脱炭素化の事業に具体的な計画や目標を定めることになりました。そして、市町村などから認定を受けた脱炭素化の事業は、法令の手続のワンストップ化などの優遇が受けられるため、地域での脱炭素化の事業は円滑に進めやすくなりそうです。

③ 企業の脱炭素化促進のための排出量情報のオープンデータ化

企業の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表のやり方は電子システム化を原則とし、これまでの排出量情報の開示請求なしで公表される仕組みとなりました。さらに、報告から情報公開までの期間が「2年」から「1年未満」へ短縮されました。すなわち、たくさん温室効果ガスを排出していると公表されてしまう可能性があるため、よりいっそう本腰を入れて温暖化対策を進めていかなくてはなりません。

まとめ:これからカーボンニュートラル化・脱炭素化を進めていくには?

温対法が改正されたことにより、脱炭素化に対する国民の関心も高まり、企業としてはしっかり地球温暖化対策に取り組んでいることが今後アピールになるかもしれません。脱炭素化の手段として、どうしても排出してしまう温室効果ガスを帳消しにするため「環境価値」を購入する制度(Jクレジット)もありますので、そちらも視野に入れつつ今後の脱炭素化対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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