ヤンマーパワーテクノロジーが目指す未来

ヤンマー株式会社のエンジン事業部を元に設立された「ヤンマーパワーテクノロジー」。この会社は、ディーゼルエンジンを主力製品とし、産業・農業機械や船舶向けのエンジンを幅広い顧客に提供しています。しかし、急速に変化する現代社会において、同社はどのような未来を見据えて事業を展開していくのでしょうか。

今回、ヤンマーパワーテクノロジーの代表取締役社長である田尾知久氏にインタビューを行い、同社のビジョン、それを取り巻く環境、そして目指す未来像についてお話を伺いました。

クリーンかつグリーンな技術で未来を築くというビジョン

私たちヤンマーパワーテクノロジーは、2020年に発足した会社ですが、設立の際に「A GLOBAL LEADER in Green Powertrain Technologies For Land Sea City」というビジョンを設定いたしました。ヤンマーグループ全体では、「新しい豊かさ」を目指して、さまざまな事業を展開しています。新しい豊かさとは、省エネルギーな暮らしを実現し、食の恵みを安心して享受できる社会を指しています。これを、特にエネルギー変換という分野を中心に実現したいと考えています。

この大きなミッションを達成するために、ヤンマーパワーテクノロジーでは「クリーンかつグリーンな技術を使ったパワートレインのリーディングカンパニーになる」という目標を設け、2050年までにこれを達成するため日々努力しています。その一つが、産業機器における電動パワートレインの提供です。

また、2050年は少し遠い将来となりますので、2035年までに「グリーンな動力パワートレインの技術がベースとなるよう技術開発を行う」という中間の目標も設定しています。化石燃料を使った内燃機関の高効率化はもちろん、環境に配慮した燃料を使う内燃機関の開発を実現し、並行して電動パワートレインの立ち上げを実現していく予定です。特に電動パワートレインは、2035年頃にはある程度市場が形成されてくると予測されるので、その時点までにリーディングカンパニーとなることを目標としています。

環境問題と持続可能なソリューションへの取り組み

ヤンマーパワーテクノロジーが取り組むべき社会課題としては、CO2排出量削減をはじめとした環境問題です。これは非常にハードルの高い課題であり、技術革新と持続可能なソリューションの開発の両方が不可欠だと考えています。グローバルな視点では、上記に加え、今後は人口増加によって食料不足や水不足など、人間が生きていく上での課題も生じてくると予測されます。これらの問題の解決の一助となるために、私たちは技術力を活かした貢献を目指さなければなりません。

ヤンマーパワーテクノロジーは、直接インフラを作る企業ではありませんが、パワートレインソリューションの提供を通じて、インフラ構築や農業に携わる事業者を支援することで、社会への貢献を目指します。

当然これまでは化石燃料をベースにしたエンジンが主体であったため、これをいかに転換していくかがヤンマーパワーテクノロジーの最も大きな課題になります。転換する先としては、電動化だけでなく、水素をはじめ、メタノール、アンモニア、バイオ燃料、e-fuel(合成燃料)など化石燃料を使わない代替燃料の選択肢がいくつもあります。現状はまだどのパワーソースが主流になるか分からない状況ですが、例えば水素は中・大形エンジンに適しているといったように、用途・作業機・地域などに合った最適なパワーソースが使用されることになるでしょう。その中で、どんな状況でも当社のパワートレインを活用していただけるように、技術確立を進めていく方針です。

ディーゼルエンジンの実績と電動化への対応

ヤンマーパワーテクノロジーの大きな強みは、100年以上にわたり非常に多くのお客様に使っていただいてきたディーゼルエンジンの実績です。当社のエンジンは農業機械、建設機械、外航商船、さらに漁船やプレジャーボートまで、幅広い用途で採用されています。長年に渡るお客様とのご縁を通じて、同じ用途でも異なるニーズに柔軟に対応してきました。これにより、作業機の使用方法や求められるエンジン特性に関する豊富なノウハウを蓄積しています。これらの知識とノウハウは、動力源が変化しても大きな財産になると考えています。

これからの電動化に伴い、モーターやバッテリーなど個別のエレメントに対するノウハウは、今後も勉強していかなければなりません。しかし、これらの要素を統合して、出力軸を持つパッケージとして提供するという点では、長年蓄積してきた知見やノウハウを十分に活かすことができます。

電動化しても作業機から求められるニーズは本質的には変わらないので、我々の持つノウハウをもとに電動パワートレインのソフトウェアをカスタマイズし、作業機メーカー様と一緒にエンドユーザーの皆様のご要望にもお応えできる仕組みを作っていきます。この仕組みを活かすことで、作業機メーカー様の開発リードタイム短縮やコスト削減といったメリットも提供できると考えています。

また、電動ソリューションの開発を加速するために、キーファクターであるバッテリーパックの開発を行っているメーカー「ELEO」をチームの一員として迎えました。ELEOは、産業用機械をターゲットに独自のバッテリーマネジメントシステム(BMS)と熱管理技術を採用した先進的なモジュール式バッテリーパックを開発・生産しています。産業機械専用のバッテリーパックをELEOと共に開発していくことで、2035年までに電動化のリーディングカンパニーになるという目標を実現していきます。

パワートレインで社会を豊かにする未来

ヤンマーパワーテクノロジーが目指す未来は、パワートレインを通じて社会をより良く豊かにしていくということです。ヤンマーの創業者は農家出身で、農業における労働環境の改善と生活の向上を目指し、会社を立ち上げました。この理念を継承して、さらに発展させることが私の願いです。

私たちが担う社会的役割は、エネルギー変換技術を通じて、社会インフラを作る人々をサポートすることです。グリーンパワーテクノロジーのリーディングカンパニーとして、社会を支える人たち支え、環境変動を抑えていくお手伝いができたらと考えています。

今後は、従来の産業用エンジンのみならず、次世代のパワートレイン技術を視野に入れた革新と挑戦を通じて、お客様にとって真に価値あるソリューションを提供することを目指しています。この目標に向け、全社員一丸となって邁進してまいります。また、作業機のさらなる開発期間の短縮とコスト削減を実現するソリューションも展開していきたいと考えています。

田尾 知久TAO Tomohisa

ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
代表取締役社長

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