定期的な保守点検
定期的な保守点検
エンジンを安全・快適にご使用いただくためには、定期的な保守点検と部品の交換、整備が必要です。
部品の交換や整備には専用工具が必要な箇所や作業要領が定められている箇所があります。
充分な知識や工具がないまま作業を行いますと思わぬ事故を引き起こすおそれがありますので専門技術者に作業依頼されることをお奨めします。
- ※点検間隔は、運転時間または期間のどちらか早く達した方で実施ください。
- ※点検間隔がそれ以前の間隔を超え次の間隔に達している場合は、それまでに含まれている項目は 同時に実施ください。
- ※次の点検までに経年疲労により破損が予測される部品は全て交換ください。
最初の50時間または1ヶ月目の点検(初回のみ)
エンジン潤滑油とフィルタの交換
エンジンの使用初期は、内部部品の初期摩耗のために潤滑油は早く汚れるので早めに交換します。
潤滑油の交換にあわせて潤滑油フィルタも新品と交換してください。
- 検油棒と給油口のふたを取外し、検油棒ガイドに排油ポンプを取付け、潤滑 油を抜き取ります。
・潤滑油給油口のふたを外しておくと潤滑油は早く抜き出せます。
- フィルタレンチ(1)を使用して(左に回し)潤滑油フィルタ(2)を交換します。
- 新しい潤滑油フィルタの取付けは、フィルタのパッキンに潤滑油を塗布し、フィルタが取付け面に当たるまで手動で右にねじ込み、さらにフィルタレンチを使用して3/4回転締め付けます。
- 指定のエンジン潤滑油を給油口から規定量まで入れ、ふたを閉めます。
- エンジンを運転し、潤滑油の漏れがないか確認します。
- エンジン停止後、約10分経ってから検油棒で油量を点検します。
・油量は検油棒の上限目盛りと下限目盛りの間でなければなりません。
エンジン潤滑油の抜き取りは、エンジンが冷えてから行ってください。
エンジンが熱いときにエンジン潤滑油を抜き取ると、飛沫でやけどするおそれがあります。
クラッチ潤滑油の交換とこし器の洗浄
使用初期には、内部部品の摩耗のために潤滑油は早く汚れるので早めに交換します。
- クラッチの検油棒を兼ねる給油口のふた(1)を取外し、排油ポンプを取付けて潤滑油を抜きます。
※セイルドライブの場合は、船体を上架しロアギアケースのドレンプラグをゆるめて潤滑油を抜き取ります。
- こし器の側蓋(2)の取付ボルト(3)を外して、側蓋の内側にあるこし網(4)を取り出します。
- こし網を灯油できれいに洗浄します。
- こし網をコイルばね(5)で押さえて挿入し、Oリング(6)が側蓋の取付け面にある溝から外れていないことを確認して側蓋を取付けます。
- 指定の潤滑油を給油口から規定量入れ、ふたを閉めます。
- エンジンを運転し、潤滑油の漏れがないか確認します。
50時間毎または1ヶ月毎の点検
50時間毎または1ヵ月毎のどちらか先にきた時期に、次の点検を実施ください。
燃料タンクのドレン抜き
- 廃油缶をドレンコックの下に置きます。
- ドレンコックを開いて燃料タンク内のドレン(水やごみなどの不純物)を抜き出します。
- 水やごみの混じっていない燃料が出るようになったらドレンコックを閉めます。
燃料フィルタのドレン抜き
ごみや水分の混入した燃料は、燃料噴射ポンプや燃料噴射弁の作動に問題を起こしますので、燃料フィルタが目詰まりしないようにドレン抜きを定期的に実施ください。
- 燃料タンクのコックを閉じます。
- 燃料フィルタの底部のプラグねじ(1)をゆるめてドレンを抜き出します。
- プラグねじを元通りに締めます。
- 燃料系統の空気抜きを実施します。
- 燃料フィルタ
- 3JH4E,4JH4E,4JH4AE
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- 燃料タンクのコックを閉じます。
- フィルタレンチを使って、燃料フィルタ(1)のカートリッジを外し内部のドレンを抜き出します。
- 取付け面をきれいに清掃してカートリッジを手動でねじ込み、さらにフィルタレンチを使用して3/4回転締め付けます。
- 燃料フィルタ
- 3JH3E,4JH3E
-
- 燃料タンクのコックを閉じます。
- 油水分離器の底部のプラグねじ(1)を外してドレンを抜き出します。
- センタボルト(2)を外して内部のエレメント(3)を抜き出し、きれいな燃料で洗浄します。
- 元通りに組み立て、燃料系統の空気抜きを実施します。
- 油水分離器
- 【空気抜きの手順】
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- 燃料タンクの油量を確認し、不足していれば補給します。
- 燃料タンクのコックを開きます。
- 燃料フィルタの上部にある空気抜きボルト(1)を2〜3回転ゆるめます。
- 燃料フィルタの上部にあるプライミングポンプのノブ(2)を手のひらで上下方向に押し下げと手放しを繰り返し、燃料を送ります。
3JH3E,4JH3E,3JH4E,4JH4E,4JH4AE
燃料フィードポンプの左側のレバーを上下に動かして燃料を送ります。 - 空気抜きボルト穴から流れ出す燃料が、気泡の混じった燃料から気泡のない燃料になったら空気抜きボルトを元通りに締めます。
- 燃料フィルタ
3JH3E,4JH3E,3JH4E,4JH4E,4JH4AE
- 燃料フィルタ
- 燃料フィードポンプ
バッテリーの液量点検と補充電
電解液の液面の高さを点検し、液面の高さが最低液面の近くまで減っている場合は、バッテリー補充液を最高液面目盛りまで補給ください。
電解液が少ない状態で使用すると、バッテリーの寿命を短くしたり、発熱や爆発の原因になることがあります。
- 【補充電】
- バッテリー容量を点検し容量が不足している場合、補充電が必要です。 充電は、次の手順で実施します。
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- バッテリーの液口栓を開けて、バッテリー補充液を規定レベルまで入れ各セルの比重測定をします。
- 充電器の赤色グリップをプラス(+)側に黒色グリップをマイナス(-)側に接続します。
- 充電電流のスイッチでバッテリー容量の10%〜20%程度の一定電流にセットします。
- 1〜2時間ごとに比重測定し、比重が1.28〜1.30に近づいているのを確認します。また、バッテリーケースの温度は45℃以上にならないようにします。
外部充電の完了後は、バッテリーのプラス(+)コードから取り付けてください。
マイナス(-)から取付けるとダイオードが損傷することがあります。
電気ショートによる火災に注意
電気系統を点検するときは、アースケーブル(-)を取外して実施ください。
誤ってショートした場合、火災のおそれがあります。
バッテリー周辺の換気に注意
バッテリー周辺の換気を良くし、火気を近づけないよう注意ください。
運転中や充電中、バッテリーから発生する水素ガスで引火するおそれがあります。
バッテリー液の付着に注意
バッテリー電解液が皮膚や目などに付着しないよう注意ください。
電解液は強い酸性なので皮膚や目などに付着すると、やけどや失明するおそれがあります。
万一、付着したときは、すぐに多量の清水できれいに洗浄し、医師の手当てを受けてください。
250時間毎または1年毎の点検
250時間毎または1年毎のどちらか先にきた時期に、次の点検を実施ください。
Vベルトの張り調整
Vベルトの張りが不充分な場合、Vベルトがスリップして冷却水ポンプが送水をせずにオーバーヒートや焼き付きの原因となります。
また、Vベルトの張りが強すぎる場合、早期にVベルトが破損するおそれがありますので定期的にVベルトを点検し張り調整するようにしてください。
- Vベルトカバーを取外しプーリ間のVベルト中央部を親指で押さえ、たわみ(1)が基準値内(新品:6〜8mm、使用品:8〜10mm)であればVベルトの張りは良好です。
- Vベルトのたわみが基準値外のときは、ベルトアジャスタで張り(たわみ)を調整します。
- あわせて、Vベルトの傷や摩耗などを点検します。
- Vベルトを新品と交換する場合は、アジャスタ取付けボルトをゆるめてオルタネータを動かすかまたは、冷却水ポンプのVプーリ取付けボルトをゆるめてからVベルトを取外します。
- Vベルトを新品に交換する場合は、Vベルトの張りを新品時のたわみに調整して約5分間運転し、再度、点検、調整します。
過給機ブロアの洗浄
過給機のブロア(送気ファン)の羽根が汚れるとエンジンの回転数が低下したり排気色が悪くなりますので定期的な洗浄が必要です。
- ブロアウオッシュ(1)(洗浄液)、清水および水差しを準備します。
- インタークーラの底部のドレンプラグを取外してドレンを抜きます。
- クラッチを中立にして2500〜3000回転でエンジンを運転します。
- 注入口(2)から約50ccのブロアウオッシュ(1)を約10秒間で少しずつ注入します。
- 約3分経過後に約50ccの清水を同じく約10秒間で注入します。
- エンジンを止めてドレンプラグを元通りに取付けます。
- 航走運転を約10分間行って出力性能や排気色の回復を確認します。 性能が回復しないときは、上記の洗浄作業を数回繰り返します。
吸気・排気弁頭すきまの点検と調整
初期なじみにより吸気弁・排気弁とロッカーアームとのすき間が変化して、運転性能に影響が出るため 調整が必要です。
この作業は専門知識と技術が必要ですので販売店へご相談ください。
燃料噴射弁の点検と調整
燃料噴射状態を最適にして、エンジン性能が十分に発揮できるようにします。
この作業は専門知識と技術が必要ですので販売店へご相談ください。
500時間毎または2年毎の点検
500時間毎または2年毎のどちらか先にきた時期に、次の点検を実施ください。
燃料フィルタの交換
燃料フィルタが目詰まりして燃料の流れが悪くなる前に、定期的に燃料フィルタのエレメントを新品に交換ください。
フィルタ交換を行うときは、エンジンが充分に冷えてから実施ください。
- 燃料タンクのコックを閉じます。
- フィルタレンチを使って、燃料フィルタ(1)左に回して取り外します。
- 燃料フィルタの取付け面をきれいに清掃します。
- 新しい燃料フィルタを取付け面が当たるまで手動で右に回して締めたあと、フィルタレンチでさらに3/4回転締めます。
- 燃料系統の空気抜きを行います。
燃料噴射時期の点検と調整
エンジン性能が最良になるように、定期的な燃料噴射時期の調整が必要です。
この作業は専門知識と技術が必要ですので販売店へご相談ください。
1000時間毎または4年毎の点検
1000時間毎または4年毎のどちらか先にきた時期に、次の点検を実施ください。
清水冷却水の交換
錆や水あかなどによって冷却水が汚れてくると冷却性能が低下します。不凍液を使っている場合でも、 成分が劣化するので定期交換が必要です。
冷却水は、必ずきれいな軟水(水道水)を使用ください。
- 【冷却水の抜き取り】
- 海水経路と清水経路の2系統の冷却水を抜き取ります。
- 海水冷却水系統
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- クラッチオイルクーラの水抜きコック(1)を開いて内部の冷却水を抜き出します。
4JH3-TE,4JH3-HTE,4JH3-DTE,4JH4-TE,4JH4-HTE 各シリーズ - インタークーラの海水側の水抜きコック(1)を開いて内部の冷却水を抜き出します。
4JH3-HTE,4JH3-DTE,4JH4-HTE 各シリーズ - 海水ポンプの側蓋の取付ボルトをゆるめて内部の冷却水を抜き取ります。
- 水抜き後はそれぞれの水抜きコックと海水ポンプの側蓋の取付けボルトを元通りに閉めます。
- クラッチオイルクーラの水抜きコック(1)を開いて内部の冷却水を抜き出します。
- クラッチ
- 海水ポンプ
- インタークーラー
- 清水冷却水系統
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- 3ヶ所(過給機無しの場合は2ヶ所)の清水冷却水用の水抜きコックを開いて、内部の冷却水を抜き出します。
- 水抜き後はそれぞれの水抜きコックを元通りに閉めます。
- シリンダブロック
- 過給機
- 清水クーラ
- 【冷却水の給水】
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- 給水する前に、海水と清水の水抜きコックを閉めます。
- 清水クーラ(4)上部のフィラーキャップ(1)を1/3回転左に回して取外します。
- 冷却水を泡立たせないようゆっくりと給水口から溢れるまで入れます。
- 冷却水を入れた後、フィラーキャップを取付け、しっかりと締付けます。キャップの下にあるタブ(2)を給水口の切り欠き(3)に合わせて右に1/3回転回します。
- サブタンク(5)のふたを外し冷却水を上限位置まで入れ、蓋を閉めます。
- サブタンク(5)と冷却水クーラ(4)をつなぐゴムホース(6)にゆるみや損傷がないか点検します。
海水ポンプの内部点検
海水ポンプの内部部品が劣化したり、インペラが損傷すると海水の吐出性能が低下します。
定期的に点検し、不具合があれば交換します。
- 海水ポンプの側蓋の取付けボルトを外し、側蓋を取外します。
- 海水ポンプの内部をライトで照らし目視点検します。
- 内部点検で、つぎのような不具合があれば海水ポンプの分解整備が必要です。
・インペラの羽根の亀裂、欠け、羽根の先端や側面の傷や摩耗
・ウエアプレートの破損
- 内部点検で異常がなければ、合わせ面の溝にOリングを入れて側蓋を組み付けます。
インペラは定期的(2000時間毎)に新品と交換ください。
- 【インペラの取付け要領】
- 海水ポンプの軸回転方向は左まわり(反時計方向)ですが、インペラの羽根の向きは図示の方向に取付けます。
インペラを取外したときに、羽根を反対方向に取り付けたり、海水ポンプを反対方向に回さないよう注意ください。
また、エンジンをターニングする場合も反対方向に回さないよう注意ください。
2000時間毎の点検
冷却水経路の点検・洗浄
エンジンを長期間使用すると、冷却水経路にゴミ、スケール、錆などが溜まり冷却性能が低下しますので冷却水経路の洗浄が必要です。
この作業は専門知識と技術が必要ですので販売店へご相談ください。
燃料油管・冷却水管の点検と交換
燃料油管や冷却水管などのホース類を点検し劣化したものは交換します。
ミキシングエルボの点検と交換
排気ガスと海水冷却水にさらされるミキシングエルボは、使用につれて腐食しますので交換が必要です。
ミキシングエルボの腐食は、水濡れによる浸水やガス漏れをひきおこすおそれがあります。
吸気弁・排気弁の摺り合わせ
シリンダヘッドの気密性を保つために、定期的に吸気弁・排気弁シートの摩耗状態を点検し整備が必要です。
この作業は専門知識と技術が必要ですので販売店へご相談ください。