「密苗」の苗揃いはスタートが肝心。2月下旬~3月に行う種子消毒・浸種を適切に!

1.種子消毒は適切に実施しましょう

密苗は1箱で大面積を移植するため、育苗期における病害発生の影響が甚大になります。いもち病やばか苗病などを防ぐため、必ず種子消毒を実施しましょう。密苗の試験やモニター実証においては、温湯消毒・化学合成農薬・生物農薬のいずれの方法でも慣行と同等に病害の発生を抑制しています。ここでは、2月下旬~3月にかけて行う種子消毒と浸種のポイントをご紹介します。

(1)温湯消毒

  1. 温度管理が重要であり、温度を間違えると種籾の発芽率が下がることがあります。
  2. 種もみ袋を使用した場合は、袋を揺すって湯水を袋の中心部まで十分浸透させ温熱が行きわたるようにしてください。
  3. 温湯処理を実施した後は、発芽率の低下等を防ぐために、速やかに水で冷却します。
  4. もち品種や陸稲品種をはじめ60℃10分の温湯消毒で発芽率の低下が見られる品種があります。
温湯消毒

(2)化学合成農薬

  1. 種子消毒薬液の水温は10~15℃に保ちましょう。
  2. 水温が低いと防除効果が低下します。水温には十分注意しましょう。

(3)生物農薬

タフブロックやエコホープ等の生物農薬は、有効成分の糸状菌が種籾の周りで病原菌より早く増殖し、病原菌の増殖を抑えることにより防除効果を発揮します。使用方法が適切でないと防除効果が得られな場合があります。催芽前処理と催芽時処理がありますが、一般に薬液を安定させて処理できる催芽処理時の効果が高いとされています。

  1. 薬液温度を30℃に昇温してから種籾を漬けることで効果が安定します(10℃以下や30℃を超える温度にしない)。
  2. 出芽時や育苗初期の10℃以下の低温にあうと防除効果が不安定になります。加温出芽を行い、出芽後も保温に努めましょう。
  3. 生物農薬とテクリード剤、ヘルシード剤、モミガード剤の混用や嵐剤の播種時覆土前散布、床土混和処理、ベンレート剤、ダコレート剤との体系処理は防除効果を低下させてしまいますので、行わないようにしましょう。

2.浸種は発芽を揃えるために大切です

浸種が不十分だと発芽しなかったり、遅れて発芽する籾が多くなり、出芽が不揃いになります。短期間で育苗する密苗にとっては大きなリスクになります。

  1. 浸種水温は10℃~15℃に保ちましょう。気温の低い時期など、10℃未満の低温のsuiで浸種を行うと発芽率が低下する場合があります
  2. 一方、浸種水温が20℃以上になると細菌性病害(発生すると被害が甚大)の発生を助長しますので、気温の高い時期の浸種は水温上昇に注意しましょう