舶用エンジン - ニュースリリース

「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ削減技術の開発」事業がNEDOの「次世代船舶の開発プロジェクト」に採択

2021年10月27日
日立造船株式会社
株式会社 商船三井
ヤンマーパワーテクノロジー株式会社

日立造船株式会社(取締役社長兼COO:三野 禎男、以下「日立造船」)と株式会社商船三井(代表取締役社長:橋本 剛、以下「商船三井」)、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社(代表取締役社長:田尾 知久、以下「YPT」)の3社は、グリーンイノベーション基金における国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)から公募された「次世代船舶の開発プロジェクト」において、日立造船を幹事会社として「触媒とエンジン改良によるLNG燃料船からのメタンスリップ(註1)削減技術の開発」(以下「本事業」)を提案し、採択されました。

近年、気候変動への対応をはじめとする環境意識が、世界的に高まり続けています。そのような中で船舶業界でも、低・脱炭素社会の実現へ向けた様々な技術開発や事業開発などを行っています。その取り組みの一つである船舶燃料のクリーン化においては、世界各地で環境負荷が低いLNG燃料船の導入が進められています。LNG燃料は、CO2削減効果がある一方で、メタンスリップの削減が課題となっています。
本事業では、2021年度から2026年度までの6年間でメタン酸化触媒とエンジンの改良を組み合わせることでLNG燃料船のメタンスリップ削減率70%以上を実現し、LNG燃料船のさらなる環境負荷低減を目指します。また、YPTは、株式会社名村造船所(代表取締役社長:名村 建介、以下「名村造船所」)に委託し、日立造船、商船三井と共に本研究で開発するシステムの実船搭載技術の確立を行います。

今後、名村造船所で建造し商船三井が運航するLNGを燃料とする大型石炭専用船に本システムを搭載して実船実証を行い、本システムの早期技術確立を進め、今後のカーボンリサイクルメタンの活用を視野に、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでまいります。

<実船実証を予定している大型石炭専用船CG>
<メタンスリップ削減システム(イメージ)>
<左:ヤンマーの「6EY22ALDF」、右:日立造船の「メタン酸化触媒(イメージ)」>

<日立造船について>
日立造船は、1970年代から脱硝触媒および脱硝装置を国内外のプラントに納め、2015年からは舶用ディーゼルエンジンにも搭載して大気汚染防止に求められるソリューションを提供しております。本事業では、「触媒」と「舶用エンジン」の両方を製造する国内唯一のメーカーとして培った技術を活かしスリップしたメタンを酸化する触媒の開発に取り組み、地球と人の豊かな未来に貢献していきます。

<商船三井について>
商船三井は、各種原料や燃料を運ぶ専用船やタンカー、自動車などの製品輸送船といった海運業を中心に、海洋事業や風力エネルギー関連事業などさまざまな社会インフラ事業を展開しています。世界最大級の船隊と130年余りの歴史で培った経験・技術、新しい価値創造を目指すチャレンジ精神で、世界経済の発展、環境保全に貢献しています。本事業では、実船でのメタン削減技術の運用を確立することで、LNG燃料船のさらなる環境負荷低減を目指し、自社運航船からのGHG排出削減に加え、荷主など顧客のサプライチェーン上の低・脱炭素化、および社会全体の低・脱炭素化に貢献していきます。

<ヤンマーについて>
ヤンマーは、「大地」「海」「都市」のフィールドで、産業用エンジンを軸に、アグリ、建機、マリン、エネルギーシステムなどの事業をグローバルに展開し、お客様の課題を解決するソリューションを提供しています。本事業では、革新的なエンジン燃焼技術の確立によりメタン酸化触媒の削減率を高めると共にエンジン出口からのメタンスリップ削減技術を開発し、温室効果ガス削減に貢献できるソリューションをお客様に提供し、次の100年へ向けて持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(註1)メタンスリップ
LNG燃料中のメタンの一部が未燃のままメタンとして大気中に排気されること。メタンはCO2に比べて温室効果が高く、GHG削減の観点からもメタンスリップ削減が求められている。

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