【初心者でもわかる】2050年カーボンニュートラル実現に向けた取組みと課題
更新日時:2026.1

2020年日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルの実現を宣言しました。
地球の限りある資源を守り、持続可能な社会を築くための重要な取り組みですが、「本当に実現できるのか」と疑問に思うことはないでしょうか。
そこで本記事では、カーボンニュートラルの基本概念と実現に向けた課題を整理するとともに、再生可能エネルギーの普及状況やCO2削減に向けた取り組みを解説します。
この記事を最後まで読めば、カーボンニュートラルの実現に向けた社会の動きがわかります。
<目次>
カーボンニュートラルとは何か
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量と同等の吸収・除去をすることで実質ゼロにすることを指します。
大気中の温室効果ガスが増加すると、平均気温の上昇を招き異常気象や海面上昇、農業生産へ大きな影響を及ぼすと言われています。
環境を守り資源循環型の社会へシフトするため、各国は2050年カーボンニュートラル社会の実現を目指し、世界全体での排出削減と吸収の両輪で取り組んでいます。
カーボンニュートラルの実現には、化石燃料に依存した社会構造を見直し、太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーへの移行を進めることが求められています。
なぜカーボンニュートラルを実現しなくてはいけないのか
なぜ、カーボンニュートラルの実現に向けて各国は取り組んでいるのでしょうか。
自身のカーボンニュートラルへ向けた取り組みを積極的に進めるために、知っておきたい2つの主な理由を解説します。
異常気象、地球温暖化への対応
近年、世界各地で記録的な猛暑や豪雨、干ばつといった異常気象が発生しており、その一因は二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガスの排出と言われています。
このまま何も対策をしなければ、海面上昇による沿岸部の浸水、農作物の収穫量減少、生態系の崩壊など、社会や環境への重大な影響が予測されています。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目標としています。
目標達成には、2050年頃までにCO2排出量を実質ゼロにする必要があるとされ、各国が脱炭素社会の実現に向けた政策や取り組みを進めています。
限りある資源の有効活用
石油や石炭、天然ガスといった化石燃料は、限りあるエネルギー資源です。
現在のペースで化石燃料を消費し続ければ、将来的に資源の枯渇や価格高騰が起こる可能性が高まります。
さらに化石燃料は燃焼だけでなく、採掘や輸送の過程においても多くのCO2が排出されるため、環境負荷が大きいとされます。
化石燃料から、再生可能エネルギーや水素エネルギー、バイオマス燃料などを活用した循環型エネルギーへのシフトが求められています。
カーボンニュートラルの実現に向けた課題
カーボンニュートラルの実現に向けてどのような課題があるのでしょうか。
そもそも、CO2排出源はエネルギー使用だけではありません。
原材料の製造過程での排出や、化学反応そのものから発生する排出も含まれます。
ただし、エネルギー使用によって排出されるCO2は、排出量全体に占める割合が大きく、コントロールが比較的容易なため、優先して対策が進められています。
カーボンニュートラルに向けたエネルギー課題は、現在大きく以下の3つが挙げられます。
- 再生可能エネルギーの普及、コスト面
- 削減量を検証する難しさ
- 生産ベースCO2排出量と消費ベースCO2排出量
以下で詳しく解説します。
再生可能エネルギーの普及、コスト面
再生可能エネルギーの普及には、発電コストの高さと安定供給の難しさ等多くの課題が残されています。
太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、環境負荷が低い一方、天候や時間帯によって発電量が大きく左右されます。
安定的な電力供給のために、蓄電技術や送電網の整備を行う必要がありますが、多額の投資資金が必要となる場合も少なくありません。
政府は補助金や固定価格買取制度(FIT)などを通じて普及を支援しています。
一方で制度や政策の変更の見通しが立てにくい点から、長期的な事業計画を立てづらい現状があります。
カーボンニュートラル実現に向けて現在注目されている各技術は下記を参照ください。
削減量を検証する難しさ
カーボンニュートラルを進めるうえで重要なのが、温室効果ガス削減量の把握です。
なぜなら、CO2削減量は発電、製造、輸送などの多様な過程にわたる排出データを正確に収集・評価しなければ算出できないからです。
特に企業レベルでは、サプライチェーン全体における排出量の「見える化」が十分に進んでいません。
さらに、削減効果の検証方法も国や機関によって異なり、統一的な基準が確立されていないのが現状です。
たとえば、カーボンクレジットのように排出削減を「取引」する仕組みが広がる中で、その信頼性をどう担保するかが国際的な課題となっています。
今後は、ブロックチェーン技術やAI解析などを活用し、より透明性の高い排出量検証システムの構築が期待されています。
生産ベースCO2排出量と消費ベースCO2排出量
CO2排出量の算定には、「生産ベース」と「消費ベース」という2つの考え方があります。
生産ベースCO2排出量とは、国内で生産活動を行う際に排出される温室効果ガスの量を指します。
一方で、消費ベースCO2排出量は、輸入品を含め、最終的に国内で消費される製品やサービスに伴う排出量を算出する指標です。
排出量の推移を追いやすいため、現在日本を含み各国「生産ベース」が主流となっています。
この違いは、国際的な排出責任の議論に直結します。
たとえば、先進国が途上国から安価な製品を輸入する場合、生産時の排出は途上国に計上されますが、実際の「消費責任」は先進国側にあります。
消費ベースで見ると、先進国の温室効果ガス排出量は実際より多くなりやすいです。
このような視点の違いを踏まえ、国際的な協調のもとで公正な排出量評価を進めることが、カーボンニュートラル実現には不可欠です。
グローバルサプライチェーンが複雑化する現代においては、両方の指標を組み合わせて実態を把握することが求められています。
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み
カーボンニュートラルの実現に向けてどのような動きがあるのでしょうか。
以下で各国・組織の取り組みを簡単にご紹介します。
2050年までのエネルギー転換経路を描く未来へのシナリオ
カーボンニュートラル社会の実現には、エネルギー転換の大枠の道筋が描かれています。
たとえばIEAが発表した「Net Zero by 2050」シナリオでは、2030年までに再生可能エネルギーが世界の電力供給の約60%を占め、石炭火力の段階的な廃止を想定しています。
また、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの普及、二酸化炭素回収・貯留(CCUS)技術の開発・活用について言及されています。
これは各国政府の政策や補助金等にも影響を与えており、私たちがこのシナリオを把握しておけば、カーボンニュートラルを効率的にスピード感をもって進めることが出来るでしょう。
EUの2050年までに世界初の気候中立な大陸を目指す取り組み
EU(欧州連合)は、2050年までに「世界初の気候中立な大陸」となることを目指し、経済成長と環境保全を両立させることを目的とする、グリーンディール政策を中心に包括的な取り組みを進めています。
特に注目されるのが「Fit for 55」と呼ばれる法案パッケージで、2030年までに1990年比で少なくとも55%の温室効果ガス削減を実現することが掲げられています。
EUの政策は、単なる環境対策にとどまらず、経済競争力の再構築をも意図しており、グリーンテクノロジーや水素エネルギー分野への巨額投資も進行中です。
その他の各国の動きは下記の記事で詳細を紹介しています。
ヤンマーの取り組み
私たちヤンマーグループは、循環する資源を基にした環境負荷フリー・GHGフリー企業を実現するために、「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を策定しました。
このプロジェクトは、私たちの事業会社やサプライチェーンのカーボンニュートラル化を目指すだけではありません。
私たちが提供するプロダクトを通して、お客様のカーボンニュートラル化をサポートできる未来を目指して、研究・開発を進めております。
まとめ
本記事では、再生可能エネルギーの普及状況やCO2削減の課題を整理し、世界の動向や日本の政策、ヤンマーの取り組みをご紹介しました。
私たちヤンマーグループは、バイオガス発電システムや水素燃料電池発電システム、脱炭素支援サービス等、カーボンニュートラルを推進するための製品・サービスを展開しております。
もしカーボンニュートラル関連でお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- 食品残渣や排水で発電:バイオガス発電システム
- 次世代エネルギー「水素」で発電:水素燃料電池発電システム
- 脱炭素化を中長期でサポート:脱炭素支援サービス