カーボンニュートラルの技術9選|脱炭素を目指す最先端テクノロジーをご紹介
更新日時:2025.12

昨今、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と削減・吸収量の均衡)が、地球温暖化対策の柱として世界的各国が大きく動いています。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、どのような技術が開発されているのでしょうか。
本記事では、カーボンニュートラル関連技術の理解を進めるため、代表的な9つの例を分野別に紹介します。
カーボンニュートラル実現の技術を知り、自社の取り組みに活かしたい方はぜひご覧ください。
<目次>
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、経済活動によって排出される温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)を、森林の吸収や再エネ活用などで相殺し、削減・吸収量を実質ゼロにする考え方です。
2050年カーボンニュートラル達成に向けて日本政府は、再生可能エネルギーの導入促進や、二酸化炭素(CO2)の回収・再利用技術の実用化支援など各政策を推進しています。
企業においても、省エネ機器の導入や再エネの利用、サプライチェーン全体でのCO2削減が求められています。
カーボンニュートラルの技術
カーボンニュートラㇽの実現には、エネルギー・産業・物流・農業などの各分野が連携し、それぞれの最適な手段の選択が求められます。
現状のインフラを活かし、複数の技術を組み合わせながら、段階的に脱炭素化を進める視点が必要です。
ここでは、カーボンニュートラル社会の実現に向けた代表的な9種類の技術を紹介します。
カーボンニュートラルLNG
カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)は、CO2排出を相殺しながら安定的なエネルギー供給を実現する燃料です。
原料採掘から燃焼までのCO2排出を、森林保全や再エネ事業によるカーボンクレジットで相殺する仕組みを持つため、既存のインフラを大幅に回収せず活用できると期待されています。
発電所や都市ガス供給網では、大規模な設備改修を伴わず導入可能で、実際に国内外で導入が拡大しています。工場や都市ガス代替燃料としても有効です。
既存設備を最大限活かしながらCO2削減とエネルギー安定供給を両立できる実践的技術といえます。
バイオマス
バイオマスエネルギーは、再生可能で地域循環型のエネルギー源として、脱炭素と資源活用を両立する技術です。
食品廃棄物・農業残さ・排水などの有機資源を燃料に利用し、燃焼によるCO2排出を成長過程での吸収で相殺します。再生可能で持続的な供給が可能です。
家畜排せつ物をメタン発酵させる「バイオガス発電」は、廃棄物を有効利用できるうえ、発電時の排熱を冷暖房や給湯に活用するコージェネレーション(熱電併給)も普及しています。
地域資源を活かしたエネルギー自立を支え、カーボンニュートラル社会の基盤を構築する技術です。
メタネーション技術
メタネーション技術は、再生可能エネルギーの有効活用とガスインフラの低炭素化を同時に実現する技術です。
再生可能エネルギー由来の水素と回収したCO2を化学反応させ、メタン(CH₄)を合成します。この合成メタン(e-methane)は、都市ガスや天然ガスの代替燃料として利用可能です。
都市ガス事業者では、既存のガス機器をそのまま使いながらe-methane導入を進めています。さらに、余剰再エネ電力を水素に変え、メタンとして長期保存する取り組みも進展中です。
エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立する、実現性の高い再エネ活用技術といえます。
CCS技術
CCS(Carbon Capture and Storage)技術は、排出されたCO2を回収・貯留し、排出源からの大気放出を防ぐ技術です。
火力発電所や製鉄所など、完全な排出ゼロが難しい施設でCO2を分離・回収し、地下深部の地層や枯渇油田へ安全に圧入します。これにより、大量排出を抑えながら産業活動を継続できます。
日本では北海道苫小牧での実証実験が実施され、地下1,000メートル以上にCO2を圧入して安全性を検証しています。経済産業省を中心に制度整備も進行中です。
CCSは、排出削減が難しい産業部門における実効的な脱炭素化手段として位置づけられています。
CCUS技術
CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)技術は、CO2の回収に加え、活用による経済価値創出を実現する次世代型技術です。
CCSに「利用(Utilization)」の要素を加え、回収したCO2を燃料や建材、化学品などの原料として再利用します。排出削減に加え、炭素資源化による付加価値創出を可能にします。
CO2をコンクリートへ固定化する技術や、微細藻類培養への活用が進展しています。これにより、製品の環境性能を高めながらカーボンフットプリント削減にも寄与します。
CCUSは、排出回避から資源循環へと転換する技術として、経済と環境の両立を支えています。
その他
主要技術に加え、カーボンニュートラルを支える補助的・連携的な技術群も進化を続けています。
再エネの不安定さを補う電力制御や、エネルギー利用の最適化を図るシステム技術が、脱炭素社会の基盤を形成しています。
- スマートグリッド:電力需給を自動調整し、安定供給と省エネを両立。
- 直接空気回収(DAC):大気中のCO2を直接回収し、ネガティブエミッションを実現。
- エネルギーマネジメントシステム(EMS):建物や工場のエネルギー使用を可視化し、効率的に制御。
- 水素還元製鉄技術:従来石炭(コークス)を用いて還元していた鉄鉱石を、水素を利用することで生成物を水蒸気に変え、製造過程でのCO2排出を大幅に削減する技術。
これらの技術は、直接的な排出削減だけでなく、運用効率やデータ管理の向上を通じて、社会全体の脱炭素化を支える基盤となっています。
日本におけるカーボンニュートラルの技術力
日本は製造業を中心に、省エネ・高効率化技術で世界をリードしています。一方、再生可能エネルギーの導入率や市場制度整備では欧州諸国に遅れています。
政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を契機に、「グリーン成長戦略」や「GX推進法」に基づき、官民による重点投資と規制改革を進めています。
以下に、国内での代表的な取り組み事例を紹介します。
エネルギー効率で先行する製造業
日本の製造業は、設備の高効率化や排熱再利用によって世界最高水準の省エネ性能を維持しています。
運転制御の最適化や高効率モーターなどの導入で、エネルギー使用当たりのCO2排出を抑制しています。
化学・自動車分野では、IoT制御による運転最適化が進み、電力消費の削減と稼働効率の両立が実現しています。
エネルギー効率分野は、日本が国際競争力を維持する強みとなっています。
| 指標 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 | 変化率 | 主な改善要因 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 産業部門エネルギー消費 (原油換算・百万kL) |
約145 | 約125 | 約115 | 約110 | ▲24% | 高効率設備導入・排熱回収 |
| 製造業エネルギー原単位 (1990年=100) |
100 | 91 | 75 | 60 | ▲40% | 高効率モーター・運転制御最適化 |
| 産業部門CO2排出量(2000年比) | - | 100 | 85 | 70 | ▲30% | 燃料転換・省エネ推進 |
| 鉄鋼業のエネルギー消費比率 | 約27% | 約25% | 約23% | 約21% | ▲6pt | 排熱回収・プロセス効率化 |
再エネ政策では欧州に遅れ
再エネ比率の拡大において、日本は欧州より後れを取っています。
電力系統の制約や市場制度の複雑さにより、再エネ電力の導入が進みにくい状況にあります。
欧州では電源構成の約半数を再エネが占め、排出量取引制度(ETS)が確立しています。
一方、日本では送配電網整備が課題です。
今後は市場改革と系統拡張が、日本の再エネ拡大に不可欠といえます。
政策支援による技術導入の加速
政府は、GX推進法を通じて水素・カーボンリサイクル・e-fuelなどの重点分野を支援しています。設備投資への補助や規制緩和を進めることで、研究段階から社会実装への移行を後押ししています。
NEDOの支援を受けた水素製造・カーボンリサイクルプロジェクトが複数進行しており、企業の実証導入が加速しています。
政策主導での支援強化が、脱炭素技術の普及を後押ししています。
ヤンマーのカーボンニュートラル技術
ヤンマーは「YANMAR GREEN CHALLENGE 2050」を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて脱炭素技術の研究・開発を推進しています。
また自社だけではなく、お客様の脱炭素をサポートするカーボンニュートラル製品を幅広く提供しています。
以下で私たちの製品とサービスを紹介します。
バイオガス発電システム
ヤンマーのバイオガス発電システムは、廃棄物の有効利用と再エネ創出を実現します。
食品廃棄物や家畜排せつ物をメタン発酵させてガスを生成し、電力と熱を供給します。(ジェネレーションシステム)
排熱を暖房や給湯に再利用することで、高いエネルギー効率を実現します。
排水や食品残渣の廃棄物処分料でお悩みのお客様は、処分量の大幅カットと、脱炭素を同時進められるため、メリットの大きいシステムです。
水素燃料電池発電システム
ヤンマーの水素燃料電池発電システムは、水素から電気を発電するシステムです。
水素と空気中の酸素を化学反応させて発電するため、水しか排出されません。
静音性と高い発電効率が特徴です。
また、ガスや電気が止まった時のバックアップ電源としても活用が期待されています。
脱炭素診断サービス
ヤンマーの脱炭素診断は、お客様のエネルギー使用とCO2排出状況から、改善提案を行うサービスです。
分析したデータに基づいて、エネルギー最適化や設備更新計画を提示します。
実測データに基づく具体的な削減策を提示できる点が特長であり、企業の脱炭素経営を後押ししています。
まとめ
この記事では、カーボンニュートラル実現に向けた主要技術、日本の技術力、そしてヤンマーのCN製品・支援サービスを紹介しました。
カーボンニュートラルの実現には、「排出削減」と「吸収・除去」を両立する複合的な技術の活用が必要です。
日本は高効率技術で強みを持つ一方、制度改革や再エネ導入の拡大が課題となっています。
私たちヤンマーグループは、バイオガス発電や水素燃料電池などの製品・サービスを通じ、お客様の脱炭素化を支援しています。
カーボンニュートラル実現の第一歩として、ぜひ私たちヤンマーへお気軽にご相談ください。