2020.02.21

JALとヤンマー、異業種社員たちの挑戦!「ライスジュレ JAL機内食」採用物語

2019年12月、JAL機内食にヤンマーのライスジュレが採用されました。お米と水だけを原料とするライスジュレは、無添加・グルテンフリーをはじめ、ビーガンやベジタリアンミールなど、幅広い料理に使える可能性を秘めた食材です。

ライスジュレの採用までの道のりは、二人の社員の偶然の出会いからはじまりました。

今回は、 株式会社JALグランドサービス大阪 河村有通さんとヤンマー株式会社 食事業推進室 プロデュース部 部長 橋本康治さんの“熱い想い”と“挑戦”によって、企業の枠を越えて生まれた「ライスジュレ JAL機内食採用までのストーリ」をご紹介します。

物語は、二人の挑戦からはじまった

―― 挑戦のきっかけはなんだったんでしょうか?

河村さん:私たちJALグループは、2010年に経営破綻をしました。その時は、多くの方々にご迷惑をおかけしました。また、会社再建においては、多くの方々から沢山のお力添えをいただきながら、全社員で取り組んで参りました。

再建を果たした現在、JALは新たな課題に直面しています。それは、再建のために業務量の多さから仕事に追われた社員は、いつの間にか「依存型社員」が増え、「コントロール型」の組織が多くなってしまったのです。

このままでは、目まぐるしく変化する、今の時代に対応できなくなってしまう。従来の「PDCAサイクル」による管理プロセスではスピード感がない、時代に取り残されるのではないか? JALは、新たな意識決定プロセスとして「JAL OODA(ウーダ)」を採用し、社内に浸透させていくことになりました。OODAとは、「Observe(観察)」→「Orient(方向付け)」→「Decide(意思決定)」→「Act(実行)」の頭文字をとったものです。

JAL OODAとは、決められたことだけをきっちりこなすだけの「依存型社員」から、自ら考えて行動する「自立型社員」を目指す、ということ意味します。

2018年6月「JAL Innovation Lab」において、JAL OODAに挑戦する社員を応援する「クロメン(Crossing Mentor & Mentee)」という活動がスタートしました。

クロメンは、部門や職種を横断して「Mentor(メンター:サポートする側)」1名、「Mentee(メンティ:サポートを受ける側)」5名程度でグループを形成。第1期は、15グループ約90名が参加しました。私は、メンバーのアイデアの実現と挑戦をサポートするMentorを担当しました。

―― ライスジュレに挑戦したきっかけと想いはなんでしょうか?

橋本さん:近年、日本人の米離れが深刻で、米の消費量が減ってきています。さらに農家の高齢化が進み、農業を引き継ぐ若手も少ない、という現実にも直面しています。
ヤンマーのお客様には、国内の米農家さんが多くいらっしゃいます。農家が収益を上げられる仕組みをつくりたい。「主食としての米以外に、食品として何かできることはないか?」という想いを持っていた時に、ライスジュレの技術に出会いました。「この新しい用途の米食品で、新しい市場の創出に挑戦しよう!」と思ったのです。

―― お二人が出会ったきっかけは?

河村さん

私の仕事は、航空機を誘導したり、お客さまの手荷物や航空貨物を積み下ろしたり、空港でのさまざまな地上支援を行うグランドハンドリング業務。いわば、航空機が安全運航するための細かい手順や基準を守る「管理型」の仕事です。そんな私がOODAを実践できるか心配でした。

また、クロメンの取り組みは、社内外の情報やコミュニティーに触れることで、視野を広げて、アイデア創出や挑戦の実行につなげていくことを目的としています。しかも、成果を求められず、活動の内容に制限もありません。私にとって“空港の外に出ること”が全くの挑戦でした。

私は、クロメンのヒントを求めて、挑戦している企業をインターネットなどで片っ端から探していました。そんな時、本当にたまたまですが、テレビ東京系「ガイアの夜明け(2018年6月19日放送)」を見て、衝撃を受けました。「僕が欲しかったものはコレだ!」と思いました。

私はクロメンのMentorとして、「メンバーに“刺激”を与えたい」と思っていました。橋本さんは、食のビジネスに挑戦すること、想いを持つことの大切さを、熱く語っていたんです。また、橋本さんの挑戦は、私たちのJAL OODA、そのものだったのです。

「橋本さんのお話をクロメンのメンバーが聞けば、きっと刺激を受けて、自然と行動を起こすのではないか?」という思いで、ご無礼を承知でご連絡をしました。全く違う業界の私たちでしたが、橋本さんは快く講演会を引き受けてくださいました。それが出会いの始まりでした。

講演会の様子

橋本さん:河村さんからの連絡は、業態も違うこともあり、正直驚きました。しかし、私は「いろいろな人に会って前向きな話をすると、何かいいことがある」と思っているので、まずは河村さんに会ってみることにしました。

私たちは「食品会社が番組を見て、商材の問い合わせがあれば」と思っていたのです。「まさか!? チームのモチベーションアップに」とは思いもよらぬことでした。

「河村さんたちの活動のお手伝いができるなら」と思いましたが、私は講演会を引き受けるにあたって、一つだけ条件を出させていただきました。「懇親会とセットじゃないと、私は喋らないよ。」と(笑)

河村さんには「好きなこと話してください」と了承いただき、1時間半の講演会を行うことになりました。

河村さん:あの時はとてもうれしかったですね。

橋本さん:講演会では、ライスジュレの取り組みや、夢の持つことの大切さ、農家さんとの懇親会の様子も紹介させていただきました。

講演会の参加メンバーの皆さん

そして、予想を超えた展開に

―― 講演会の後、予想していなかったことが起こったと聞いています。

河村さん:講演会の目的は、メンバーに“挑戦すること”や“夢を持つこと”の大切さを感じてもらうことでした。しかし、全くの偶然ですが「機内食をもっとおいしく、安全で、さらに環境に配慮したものにしたい」という想いを持ったメンバーの一人が「ライスジュレは、JALの機内食にぴったりじゃないか!」と気づいたのです。

<メンバーが気づいたライスジュレのメリット>
● 空気が乾燥している機内では、パンに保水性の高いライスジュレを添加することで、よりしっとりするのではないか。
● 最近の健康ニーズに沿ったグルテンフリーや、多様化するアレルギー対応メニューなど、幅広く活用できるのではないか。

このメンバーは、「ライスジュレは、JALの機内食に“新しい価値”を創出し、JALのお客さまに喜んでいただける」と確信。橋本さんに「ライスジュレをJALの機内食に採用されるために、一緒に“挑戦”していただけませんか?」と相談させてもらったのです。

橋本さん:お話をいただいた時は、驚きましたし、とてもうれしかったですね。

「ライスジュレ応援隊」結成! JALクロメンとヤンマー橋本の挑戦

―― ライスジュレの機内食の採用に向けて、どのような活動をはじめましたか?

河村さん:実は、私を含めたメンバー6人は、機内食の担当ではなく、全くの素人。「どこの部署が機内食のケータリングサービスをしているのか?」を調べることから始めました。社内関連部署への連絡や調整など、私が先頭を切って行動するのではなく、メンバーの行動をサポートしたり、見守ったり、メンバー一人一人の自律性を大切にしました。

橋本さんから“挑戦することの大切さ”を学んだクロメンのメンバーは、自ら考えて、ガンガン動き出しました。私は「まさに!これがOODA なんだ!」と感じました。メンバーは、普段の業務と並行して、ライスジュレ採用の活動を行っていたので大変だったと思います。でも、“想いを持つ”ということは、大きなチカラになるんですね。苦労を厭わず、積極的に、しかもスピーディーに。「自分の判断を信じて、動く」 私自身も、メンバーからいい勉強をさせてもらいました。

―― クロメンの活動がJAL社内に広がり、「ライスジュレ応援隊」が結成されたそうですね

河村さん:私たちの活動は、いつの間にかメンバーが増えて「ライスジュレ応援隊」が結成されていました。そして、橋本さんに2回目の講演会を行ってもらいました。講演会に同席した伊丹空港のJALグループ社員も、私たちの挑戦を応援してくれるようになりました。今思えば、「JAL社員が社内に、ヤンマーの商品を紹介する」という不思議な状況でした。

 

橋本さん ライスジュレ応援隊には、本当に助けられました。私たちでは探しきれない、機内食の責任者や資材部門など、いろいろな担当者へのアポイントを取っていただきました。

いよいよ、東京のJAL本社で機内食の部署にプレゼンする日。受付に行くと、河村さんたちが大阪から来てくれていたんです。これには驚きました。

河村さん:私たちの経験も兼ねて、クロメンのメンバーも同席させていただきました。あの時、橋本さんは大きなオーブントースターを持っていましたね。

橋本さん:せっかくだから、ライスジュレのパンを何種類か用意して、オーブントースターは新宿の家電量販店で買いました。

プレゼンは私一人の予定でしたが、席に着くと、クロメンのメンバーが私側の席に座るんです。JALの機内食担当者が5人で、私とJALクロメンのメンバーが7人、力が沸いてきました(笑)

「それでは試食していただきましょう」ということになると、なんの打ち合わせ無しに、オーブントースターを用意する人、パンを切る人、焼いて出す人、みんなが動いてくれたんです。おかげで私はしゃべることに集中することができました。「みんなが応援してくれている!」と感激しました。

河村さん:商品説明会は盛況でしたね。あの時のプレゼンは忘れられないです。

ライスジュレ、JAL機内食の採用へ

―― ライスジュレ採用の活動で、お二人が得られたことは?

河村さん:2019年11月12日、井口さん(ヤンマーのライスジュレ担当者の一人)から「ライスジュレが採用されました!!」と、もの凄いテンションでお電話いただいたときは、本当にうれしかったですね。ライスジュレ応援隊の活動から時間も経っていたので、正直諦めかけていた頃でした。すぐにメンバーに連絡し、みんなで喜びを分かち合いました。

自分たちが開発した商品でもないものを、社内に紹介する。今、考えてみるとハードルが高かったと思います。しかし、「ライスジュレが機内食として凄いんだ!」というメンバーの信念があった。「ライスジュレは、JALのお客さまに価値を提供できるんだ!」という強い想いがあった。今回のJAL OODAの取り組みは、挑戦に始まり、成功体験まで得ることができました。私の人生の中で、思い出深い経験となりました。

橋本さん:ライスジュレは、ベジタリアンミールのデザートとして提供されるシュークリームの生地に採用いただきました。今回の採用は、私一人では成功することはできませんでした。とにかく、最初のきっかけが難しい。河村さんとの出会いは、まさに奇跡だったと思います。

ベジタリアンミール(一例)※画像左下のシュークリームの生地にライスジュレが採用

また、JALライスジュレ応援隊のみなさんには、多くの“気づき”を与えてもらいました。例えば、JALグランドサービス大阪では、毎年「正月のおしるこ会」が催されているのですが、「ライスジュレをレンジで温めたら、餅になるのでは?」というアイデアが出て、多くの方に食べていただきました。

この時、JALの方から「正月は忙しかったでしょう?」と聞かれたんです。「なんで?」と思うと、ライスジュレの餅は、のどにひっつかない、す〜と、のどを通るんです。「ライスジュレの餅は、高齢者にぴったりなのではないか」ということなんです。

ライスジュレの原料は、うるち米です。高齢者施設では、もち米の取り扱いはできませんが、うるち米なら使っていただける。ヤンマーが気づかなかった、いろいろな“ヒント”をもらえることができました。

二人の夢は、その先へ

―― 今回の活動を経て、新しい成果や、やってみたい挑戦はありますか?

河村さん:JAL OODAが社内に浸透しつつあるのを実感しています。一つの例として、伊丹空港に勤務する社員の発案で「幸せの黄色いコンテナ」が実現しました。JAL国内線の航空貨物コンテナは約7,000個あるのですが、そのうちの1つだけ「黄色に塗ったコンテナ」があります。

「幸せの黄色いコンテナ」を、たまたま飛行機に乗ったとき、飛行場に遊びに来たとき、お客さまに「見つけてよかった」と思っていただけたらうれしいですね。私自身も、営業活動という、新しい挑戦を始めました。

橋本さん:JAL OODAはもちろんですが、JALのみなさんの“決められたことを、きっちり実施する”という仕事の姿勢に感銘しました。伊丹空港を見学した時ですが、作業工程の一つひとつを、「指差呼称」をしながら、本当に丁寧に行っていました。伊丹空港では、「ミスゼロ」の連続記録を更新している、と聞きます。

メーカーであるヤンマーも、品質保証とか、生産技術だとか、異業種ですけど、JAL の仕事を見ればきっと“気づく”ことが多いと思います。今回を縁に、もっと交流を深めて行きたいですね。

河村さん:私たちも、一歩を踏み出せていただきました。まだまだ、ヤンマーさんとイノベーションを起こしたいと思っています。今の夢は、2025年の「大阪万博」に向けて、何ができるかわかりませんが、挑戦したいですね。

橋本さん:大阪万博、ワクワクしますね。いっしょに挑戦したいですね!

河村さん もしかして、応援隊の再結成ですね(笑)

橋本さん:世界の市場をみると、ベジタリアンやビーガンだけでなく、健康のために植物性のいろんな食べ物を食べよう、というマーケットが広がってきています。今回のJALさんの採用事例は、相当なアピールポイントになりました。これを起点に、全世界に向けて挑戦して行きたいですね。

そして、ヤンマーがライスジュレに取り組むきっかけとなった、米農家のみなさんが安心して暮らせる環境を創りたいです。

 

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