2021.11.05

トルコの総合病院に不可欠なヤンマーのエネルギーシステム

ヤンマーグループは、欧州最大級の病院であるトルコ・イスタンブールのバシャクシェヒル松桜都市病院に最先端のトリジェネレーションテクノロジーを用いて、電気、熱、冷房を供給しています。ヤンマーの先進的なソリューションは、大規模な電力網が停止した場合でも非常用電力を供給し、世界最大級の免振建物内に安定した電力を供給します。

歴史的なプロジェクト

イスタンブールのバシャクシェヒル松桜都市病院の開院は間違いなく巨大プロジェクトでした。
トルコの病床不足解消を目的として、トルコ保健省が「Public Private Partnershipプロジェクト(以下、PPPプロジェクト)」として新設した100万平方メートルのバシャクシェヒル松桜都市病院は、1日あたり最大60,000人の外来患者を受け入れ、医師、看護師、管理スタッフなどおよそ9,500人の従業員が勤務します。

病床数は2,682床で、PPP協定に基づく保健投資プロジェクトとしては、トルコで3番目の大規模プロジェクトです。この病院はイスタンブールとその周辺地域にサービスを提供しており、87の手術室、328の集中治療室、2,127の病室を備えた共有のコア施設を中心に6つの建物で構成されています。

病院とその周辺の環境を充実させることで、最高の医療サービスを利用できます。さらに、病院には2,040個の免振装置などが装備されており、最も強い地震の際でも診療を続けられるようになっています。

技術的課題への対応

この超大型の新施設に電力を供給する技術的な複雑さや、患者の生命が危険にさらされることを考えると、洗練された最先端のエネルギーソリューションが不可欠でした。厳しい入札プロセスを経て、コージェネレーションやトリジェネレーションでの実績、信頼性、そしてトルコと日本のパートナーシップのもとでのスムーズな作業が可能であるという点が評価され、YANMAR TURKEY MAKİNE A.Ş.(以下、YTM)がエネルギーサプライヤーに選ばれました。

YTMは、トルコの建設大手ルネサンス・ホールディングや地元のサプライヤーと協力して、高効率で熱、電力、冷却を実現するための発電と処理の機能を併せ持つ12MWトリジェネレーションシステムと、業界トップクラスの非常用ディーゼル発電機セット(容量2,500kVa)を納入し、設置しました。

「YTMのトリジェネレーション設備は、12MWの電力容量を提供することで、夏季には40~45MWeにも達する病院の平均電力の主要な部分を24時間365日補うことができます」と語るのは、YTMガスプロジェクト役員のFikret Kazanan氏です。「ガスエンジンの廃熱エネルギーから90°Cの温水を回収し、排気駆動吸収冷却器が7MWの冷熱力を供給します。」

最先端技術

このシステムは2020年5月に稼働しました。ヤンマーが供給した12MWのトリジェネレーションシステムの総出力は12,180kWe(電気)、6,929kW(冷熱)、11,540kW(温熱)です。これは、Himoinsa社のガス発電機セット5台(2,538kWeが4基、2,028kWeが1基)、排気ライン用バイパスダンパー付き吸収冷却器5台(1,442kWが4台、1,161kWが1台)、CTI認定「オープンタイプ」冷却塔5台、換気システム5台で構成されています。

また、ヤンマーは、5台の防音システム、すべての機械および電気設備と配管、さらにマスターコントロールパネルを設置しました。病院の待機電力は、25台のHimoinsa HTW-2295ディーゼル発電機によって供給され、8台の地下燃料タンク(40m³)と免震システムに接続されています。

YTMディーゼルプロジェクト役員のBahattin Bakır氏は、「非常用ディーゼル発電機は、給油なしで約40時間、これで病院のすべての電力ニーズを満たすことができます。」と説明しています。

機械設備に加えて、ヤンマーは燃料オートメーションシステム(ポンプ、装置、配管を含む)、オルタネーターのLV回路遮断器、屋上の防音カセットなどを供給しました。3つの電源(主電源、トリジェネレーション、バックアップ)すべてが同期して稼働しており、トリジェネレーションシステムがオフラインになる「停電」時に備えて、現場にはUPS(無停電電源装置)を設置し、バックアップディーゼル発電機セットを切り替えて作動させています。

契約範囲におけるヤンマーの最も重要なポイントは、システムをすぐに使える状態で引き渡すことでした。ただ材料を供給するだけでなく、組み立て、据え付け、BOP(バランスオブプラント:発電所の周辺機器)すべてを完成させることで、ヤンマーは大きな付加価値を提供しました。また、今後5年間、すべてのシステムに対して、各種点検や補給部品を含む包括的なアフターサービスを提供することになっており、病院からはこの点においても高い評価を得ています。

大幅な省エネの実現

このトリジェネレーションシステムは、その高い可変出力により大規模電力網と同期して稼働することで、病院の絶えず変化する電気、温熱、冷熱の要件を満たすとともに、エネルギー効率を高め、かつエネルギーコストを削減します。ヤンマーのトリジェネレーションシステムはフル稼働で最大効率に達し、トリジェネレーションの発電による電力の単位原価は、大規模電力網の価格に比べて約30%低減されています。

また、発電中に発生する廃熱を利用して水を温め、セントラルヒーティングを利用することで、さらなる省エネも実現しています。12MWの発電時に発生する廃棄エネルギーの熱回収により、システムの全体的な効率は、最高で90%にも達します。この方法により、病院の空調システムでの冷房もまかなえています。さらにヤンマーのトリジェネレーションシステムはエネルギー効率の高い発電方法で、病院の環境負荷低減にも貢献します。大規模電力網による発電と比較して、病院はCO2排出量を約60%削減することができ、年間180万ユーロの光熱費節約が可能になります。

「非常用発電機の総容量は62,500kVAで、34,500Vで稼働しており、主電源が遮断された場合にはディーゼル発電機が作動します。」と、ルネサンス・ホールディングのバシャクシェヒル松桜都市病院副オペレーションマネージャー、Yusuf Cebi氏は言います。

「ヤンマーは経験豊富なグローバル企業であるため、安心して一緒に仕事ができます。最先端技術はもちろん、新型コロナ禍での困難な状況にもかかわらず、ヤンマーの迅速な製造や協力的なアプローチに感謝いたします。」

信頼できるパートナー

YTMエネルギーシステムズのビジネスユニットマネージャー、Efecan Ülkü氏は、プロジェクトの成功について「我々の仕事は新型コロナ禍の困難な状況の下で行われましたが、人々の健康を維持するという重要な役割を担っているため、病院が計画通りに操業を開始することが非常に重要でした」と振り返ります。

「このプロジェクトを成功させたのは、我々のチームとサプライヤーの専門知識と献身的な仕事ぶりです。 そのおかげで、厳しい状況の中、すべての試運転を予定通りに完了することができました。 トルコで最も重要な医療センターのひとつであるバシャクシェヒル松桜都市病院のエネルギーシステムサプライヤーになれたことを光栄に思います。 この重要な技術投資は、お客様と国全体の双方に有益なものになるでしょう」

ヤンマーには顧客の特定のニーズに合わせた信頼性の高い、高度な技術を提供する能力があるため、バシャクシェヒル松桜都市病院には非常に満足いただきました。病院プロジェクトディレクターのOzan Güzel氏は、「多くの企業がこのプロジェクトに参加し、日本とトルコの緊密な連携がはかれました。特にヤンマーは最も重要なサプライヤーの一つです。」

「このプロジェクトはわずか30ヶ月という短い期間で完成しましたが、その後もヤンマーは高いレベルのサポートを提供してくれています。今後のプロジェクトで再びヤンマーと一緒に仕事ができることを願っています。 」

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