2035年のリノベーション時代到来に向けた次世代コンセプト建機

ヤンマー建機株式会社(本社:福岡県筑後市、社長:瀬戸智行)は、世界各国で拡大が予想される建築物のリノベーション需要において、これまで手作業で行ってきた内装解体などの作業に着目。新たな市場での機械化・自動化を見据え、2035年の未来をイメージしたコンセプト建機を提案します。今回Y MEDIAでは、このコンセプト建機の開発に携わった竹田一基さん(開発部 設計部 設計第二グループ 2014年入社)、長谷川文嵩さん(開発部 設計部 電装・油圧グループ 2008年入社)にインタビューを行いました。この記事のインタビュアーは新入社員の野村浩太郎さん(開発部 研修中 2018年入社)が務めます。

未来の建設業を支える建設機械開発。そのプロジェクトのキッカケとは?

ヤンマー建機には元々、既存の製品開発だけではなく、10年、20年後を見据えた製品開発をしなければ未来は拓かれていかないという考えがあり、これを「需要創造型の商品開発」と呼んでいます。未来を想像し、お客様の要望を超える提案を形にするために、2016年9月に「コンセプト建機のモデルを作る」というプロジェクトが立ち上がりました。このプロジェクトに関してのアンケートが実施され、その選考結果でプロジェクトメンバーが決まりました。メンバーは、開発部から5名、デザイン画のサポート役としてデザイン戦略室から1名が選出されました。これまで毎月2回定例で集まり、全員でプロジェクトを推進してきました。

ショールームに展示しているコンセプト建機の前でインタビューしました。写真は左から順に竹田さん、長谷川さん、野村さん。

開発する上で苦労したことなどはありますか?

普段は、フルモデルチェンジであれば2~3年後の量産を想定し、お客様の現時点の困りごとを解決する機能を考えるのが中心ですが、コンセプト建機は20年後の2035年を想定して考えた建機のため、現実的なことばかりを考えると「こんな機能は搭載できない」「無理だ」と頭打ちになり、結局は未来感がない機械になってしまいます。かと言って、”どこでもドア” のような機能では漫画の世界になってしまいます。未来を見据えることと現実のバランスを考えることが難しかったです。

私はそもそも建機に対する知識が他のメンバーと比べると劣っていたかもしれません。普段は建機全般の電装部品(ハーネス、液晶モニター、電子制御コントローラ等)の設計を担当しています。建機の一部分を見ているので、建機全体を考えることは初めてでした。今までのキャリアを活かしつつ担当業務の異なるメンバーと共に建機全体の設計プロセスを学べたので、建機の知識を深めるいい経験になったと思っています。

コンセプト建機のプロジェクトは、会社の未来に関わる取り組みなので常にメンバー全員で良い緊張感をもって臨みました。

コンセプト建機の特長について教えてください。

ヤンマー建機は小型建機のパイオニアとしてものづくりに携わってきました。過去より引き継がれてきた”ものづくりDNA”を活かし、お客様に価値を提供するには?という視点で考え、コンセプトは『人々の豊かな暮らしの基盤づくりに貢献するための新しい価値を提供する』こととしました。その“新しい価値”を、今は手作業で行なっている内装解体施工を、20年後の未来には小型建機で電動化・自動化することとしました。動力はバッテリーと、電気モーターです。また、未来の街づくりは大量生産大量消費の時代ではなく、あるものをうまく活用して新しく生まれ変わらせることが求められると考え、持続可能な未来を実現する『リノベーション建機』と名付けています。

今の日本の建築物の多くは、1980年代のバブル期に建設されていますが、一方で建物の寿命は50年ぐらいだと言われています。ちょうど今から20年後には、寿命を迎える建物が増えてくるということになります。つまり、リノベーションの需要も増えていくと考えられます。それに対して労働人口はどんどん減少していきます。だからこそ、労働力を機械化する流れが加速していくと考え、作業負担を低減すること、作業効率を向上することを特長に考えました。また、内装の解体作業をする際に出る廃材処理も大きな負担になります。そのため、この作業を簡易化する機能も考えました。

これらの特長を持たせることで実現できると想定したのは3人で3日かかる現場を2人で2日で実現できることです。お客様が一番嬉しいことは、1日でも早く作業が終わることだと思います。人件費の削減にも繋がり、全体のコストも圧縮可能です。

ショールームに展示されているコンセプト建機「Y-RENOVATOR」。

リノベーション建機でできることを教えてください。

古い建物はどこに配線や配管があるか分からないこともあり、意図せずそれらを破壊してしまうかもしれません。また、廃棄物の分別作業はとても手間のかかる作業だと考えました。そこで主な機能を以下の4つとしました。

①最適な施工手順の立案を行うための3Dスキャニングセンサによる現場解析、 ②プロジェクションマッピングを用いた施工対象物の内部構造の可視化、
③施工対象物の完成予想図をホログラムにより可視化、 ④内装解体作業で出た廃棄物の自動分別。

欧米とアジアでは建築物の工法が異なるため、リノベーションにおける現場作業も異なりますが、①エレベータに搭載可能なサイズ、
②アタッチメント交換による優れた汎用性、③自動運転が可能なことの3つを共通コンセプトにすることで、世界中のあらゆる現場で活躍できるグローバルな建機としたことも特性です。

プロジェクト会議では色々な意見が出たと思いますが、どのようにして具体化していきましたか?

実は、宇宙での作業を想定した案もありました。5~10年後の話から徐々に膨らませていきましたが、宇宙での作業は需要を考えると現実的ではないという結論になりました。

水陸両用や災害で活躍できるものや、荒廃農地の土地再生機械といったアイデアも出ました。しかし、それは“建機”ではない、という意見にまとまりました。原点に立ち返って考え、「小型建機のパイオニアとして培ってきたDNAを大切にしよう。」という方向でまとめていきました。

作業の負担を低減し、効率を向上する次世代コンセプト建機「Y-RENOVATOR」全貌はこちら

Planner機:天井や壁の張り替え作業、繊細な作業が行えるとともにSub機の指揮も担います。

①Planner機の手は4本指のマニピュレータとしとており、パイプなどをつかむことが可能です。
②操作部はボール形状となっていて、ボールを握るとマニピュレータが閉じる動きとなり、放すと開く動きとなります。ボールを握った量に応じて掴み方が変わるようにし、オペレータの手で対象物を掴むイメージとしています。

Sub機:床剥がし作業、資材や廃材の搬送、材料別の分別などを担当します。

①Sub機は床剥がしのアタッチメントを装着し簡単に作業可能です。また、資源活用を念頭に置き、廃材は自動で仕分ける機能とすることで分別作業負担軽減にも配慮した設計にしています。
②両機共に足回りは全方向に移動可能で、床を傷つけないようにするためボール形状としています。昆虫と同じ六本足にしました。

完成形に至るまで担当者間で試行錯誤を繰り返しました。ラフ案は何枚にもわたり、ここに掲載しているのはその一部です。

コンセプトや特長については理解できました。お話しいただいた他に、大事にしているポイントはありますか?

実際、お客様に製品の意見をもらうときは、「もうちょっと足が強かったらいいね」といった、乗っている人の感覚による意見が多いのですが、実はそれこそがお客様にとっては、大事な感覚の1つだと思います。建機に乗って操作する人のワクワク感や乗り心地を大切にすることも必要だと思います。

瀬戸社長からお聞きした
「人をワクワクさせる建機を創ってこそ、ヤンマー」
という本質は、若手社員のみなさんにもしっかりと浸透しているようです。

最後に、インタビュアーを務めていただいた野村さんからも感想をいただきました。

業界のパイオニアとして、小型建機に強いことは知っていました。これからの時代、まさにリノベーション現場で求められる狭い場所で活躍できる建機開発に強みを感じて入社したんですが、自分の想像を超える技術にも取り組んでいることに驚きました!
新しい需要を創り出すというのも、すごく面白そうだなと思いましたね。自分も先輩たちから学び、お客様の需要の先を見据えた視点を持ち、喜んでいただける製品を送り出せるよう取り組んでいきたいです。

コンセプト建機「Y-RENOVATOR」映像

ヤンマー建機のものづくりDNAは、
若手社員にも深く根付き、未来に向けて育まれていました。
ヤンマー建機はこれからも人々の豊かな暮らしの基盤づくりに貢献するため、
新しい価値の提供に取り組み続けていきます。

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