2022.12.20

コロナ禍で失われた一体感を取り戻せ!世界中の従業員が参加、ヤンマーの“本気イベント”「YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022」の舞台裏

在宅勤務の普及によって、従業員同士が直接顔を合わせる機会が減り、一体感の醸成に悩む企業は少なくないでしょう。そうした中、ヤンマーでは、海外を含むグループ全従業員が参加対象のオンラインイベント「YANMAR SUMMER FESTIVAL」を2021年から実施。今年も7月29日から8月4日の期間で開催しました。

YANMAR SUMMER FESTIVAL

イベントでは、従業員がバーチャル上の会場を周遊しながら、会社のビジョンや各グループ会社の役員からのメッセージなど、会社への理解を深められる様々なコンテンツを体験していきます。国籍や職位の違いを超えて実現したこのイベントの舞台裏について、運営を担ったプロジェクトメンバーの5人に話を聞きました。

プロジェクトリーダー 石田理恵さん(いしだ りえ)

ヤンマーホールディングス株式会社 ブランド部 コミュニケーション部所属。YANMAR SUMMER FESTIVAL 2021と2022のプロジェクトリーダーを務め、イベント全体の統括を担当。

プロジェクトリーダー Paul Bartelsさん(ポール バーテルズ)
※アメリカから参加

YANMAR AMERICA CORPORATION所属。YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022のプロジェクトリーダーとして、「YANMAR ESPORTS TOURNAMENT」など新企画の立ち上げ、海外拠点の役員とのコミュニケーションを担当。

プロジェクトメンバー 加藤雄大さん(かとう よしひろ)

ヤンマーホールディングス株式会社 ブランド部 コミュニケーション部所属。イベントのオープニング映像、エンディング映像、およびフェスティバル最終日に放映されるフィナーレコンテンツの制作を担当。

プロジェクトメンバー 下司誠子さん(げし ともこ)

ヤンマーホールディングス株式会社 経営戦略部 戦略グループ所属。ヤンマーが目指す未来を従業員に分かりやすく伝える企画「YANMAR FUTURE VISION」を担当。

プロジェクトメンバー 坂田直輝さん(さかた なおき)

ヤンマーホールディングス株式会社 ブランド部 コミュニケーション部所属。役員と関わる機会が少ない従業員と経営層の距離を近づける企画「MEET THE BOARD」を担当。

世界23カ国から3000人超が参加

——昨年に引き続き2回目の開催となる「YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022」。イベントに込めた思いや背景を教えてください。

石田さん

石田理恵(以下、石田):コロナ禍で在宅勤務が浸透したことによって、従業員同士が顔を合わせ、コミュニケーションをとる機会が減ってしまいました。そのため、従業員が交流でき、「One YANMAR」の一体感を感じられる場を創出する必要性が課題としてあがっていました。

そこで実現したのがオンラインイベント「YANMAR SUMMER FESTIVAL」です。

世界中で働くヤンマーグループの従業員が同時に同じ場所に参加できるというオンラインならではの強みを最大限に活かしました。

ヤンマーでは、毎年1月に経営層より従業員に会社方針を伝える「経営方針示達式」というイベントがありますが、これはフォーマルな場であるため、よりカジュアルにわかりやすくヤンマーのビジョンを伝えられる機会がほしいとも思っていました。一体感の醸成とビジョンの浸透が「YANMAR SUMMER FESTIVAL」の狙いです。

 

加藤雄大(以下、加藤):これまで全従業員向けのイベントは、従業員によるサッカーの世界大会「YANMAR GLOBAL CUP」などがありましたが、コロナ禍になったこともあり中止となっていました。「YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022」は、久しぶりの大型社内イベント。世界23カ国から3000人以上の従業員が参加してくれました。

——大規模なイベントだったのですね。今年のテーマのようなものはありましたか?

YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022 会場
YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022 会場

石田:テーマは「Summer Vacation」。リゾート地のような空間にして、みなさんにリラックスしながら楽しんでもらおうと思いまして。また、ヤンマー製品の写真を使ったビンゴやサッカーにちなんだeスポーツの大会など、ゲーム要素を取り入れ、誰でも参加しやすいコンテンツを数多く用意しました。

司会を社内公募。職位や立場を超えた全員参加型

——みなさんがそれぞれ担当されたコンテンツについて、工夫されたことや感想をお聞かせください。

加藤:私は昨年から引き続き、イベントのオープニングとエンディングの映像制作、およびイベント最終日に会場内で放映するフィナーレコンテンツを担当しました。

今年意識したのは「なるべくカジュアルに、元気よく盛り上げる」こと。そのために今年の映像は、各コンテンツの担当メンバー自らがその楽しさを伝える演出にしました。

コンテンツ制作の舞台裏
コンテンツ制作の舞台裏

また、「社内公募で司会を決めた」のも工夫の一つです。このような社内イベントの司会は、役職者が担うことが多いのですが、本イベントの狙いから考えると、少し違うなと。

石田:社会人になると、学生時代の文化祭のように自己表現する機会はどうしても減ってしまう。社内公募にすれば、人前で発信してみたいメンバーを発掘し、本イベントへの想いをすくいあげることができるんじゃないか、という狙いもありました。

加藤:公募した翌日にはすぐに応募があり、最終的に5人の従業員に司会を任せることにしました。プロジェクトメンバーだけでなく、全従業員でイベントを作っている感じが一層高まり嬉しかったです。

司会を社内公募

YANMAR SUMMER FESTIVAL オープニング映像

——ヤンマーのビジョンを伝える「YANMAR FUTURE VISION」を担当された下司さん。企画の工夫を教えていただけますか?

下司誠子(以下、下司):役員がプレゼンテーションするパートと、役員の想いに直に触れる座談会形式のパートの2部構成にしました。録画した映像は、海外の従業員も理解できるように多言語で制作し配信しました。

YANMAR FUTURE VISION 座談会の様子
YANMAR FUTURE VISION 座談会の様子

「担当役員の言葉で戦略が語られて、よく分かりました」というコメントがイベント後に寄せられ、ビジョンを繰り返し伝えること、役員から直接伝えることの重要性を再認識しました。

——「MEET THE BOARD」も役員の方々が登場するコンテンツですね。担当の坂田さん、背景と工夫を教えていただけますか?

坂田直輝(以下、坂田):「MEET THE BOARD」は、着任して間もない新任役員の方々の声を届けたり、一問一答を通して人柄を引き出したいと思い、企画しました。私の中でのコンセプトは「役員との雑談」。役員を身近に感じてもらうことで、方針や考え方に興味をもってもらうことを目的としました。

坂田:新人時代の写真を提供してくれたり、趣味の音楽を演奏してくれた役員もいました。現場での失敗談や家族との思い出話など、普段なかなか聞くことのできないプライベートな話が聞けて、とても反響がありました。

MEET THE BOARD

初のeスポーツ大会でグローバルなつながりを実感

——ポールさんは目玉企画の「YANMAR ESPORTS TOURNAMENT」を担当されました。その狙いを教えてください。

YANMAR ESPORTS TOURNAMENT

Paul Bartels(以下、ポール):「YANMAR ESPORTS TOURNAMENT」は、オンラインで対戦できるサッカーゲーム『ロケットリーグ』を使った、ヤンマー初のeスポーツ大会でした。「コロナ前まで実施していたリアルなサッカー大会の代わりにやってみたい」という声から生まれたものです。

世界各国から200名程が参加し、US・南米リーグ、ヨーロッパリーグ、アジアリーグ、日本リーグの4つを用意し、6週間にわたるグループリーグを開催。勝ち上がったチームによる準決勝の映像を配信したり、決勝を生中継しました。

本コンテンツ用に開設していたチャットツールでも、従業員からの質問に選手が答えたりとたいへん盛り上がりました。

eスポーツの大会では勝ち負けが重視されるので、お互いにあおるコメントを言い合ったりすることもありますが、従業員同士、仲間だということが前提になっていて、「ナイスゴール!」などのコメントが飛び交うすばらしい大会でした。

また、昨年のイベントでは、日本から発信して他の国の従業員は見ているだけのコンテンツもあったのですが、eスポーツ大会に限らず、今回は各国の役員や従業員から、自社の課題や取り組みを話してもらうコンテンツをつくることで、「ヤンマーグループの一員であることを再認識できてよかった」という声が寄せられました。

各国でYANMAR SUMMER FETIVALを楽しむ様子
各国でYANMAR SUMMER FETIVALを楽しむ様子

ヤンマー従業員の底力と今後の展望

——これだけのコンテンツを作るのは大変だったと思います。通常業務がある中で、やり切れた秘訣は何でしょうか?

ヤンマー従業員の底力と今後の展望

石田:「準備期間3カ月」というスピード感でイベントを開催できたのは、「なにがなんでも(イベントの)幕を上げる」とい強い気持ちがあったからだと思います。

それに、自分の役割をきちんと前向きに遂行するプロジェクトメンバーに恵まれたことも大きかったです。困難な局面であっても存分に力を発揮できるヤンマー従業員の底力を見ました。

——では最後に、次回開催に向けた展望を教えてください。

次回開催に向けた展望

石田:今年、コンテンツ作りに自信を持てたからこそ、来年は従業員の参加率をより高めていきたいです。企画を抜本的に見直し、よりたくさんの人が、無理なく楽しく参加できる仕組みをゼロから考えていきたいと思っています。

ポール:グローバル連携の点で挑戦したいのは、中国のみなさんが関わりやすい環境を用意することです。インターネット環境の違いで参加できないコンテンツがあったのを改善し、世界中の従業員が同じレベルで楽しめるイベントにしていきたいですね。

加藤:全員が参加できるイベントにするために、会社支給のパソコンやスマホを持っていなくても、イベントに関する情報を受け取れ、会場にアクセスできる体制を来年は整えていきたいです。

坂田:オンラインイベントはその性質上、運営の過程でのみなさんの努力や協力が伝わりづらいところがあると思っています。様々な場面でサポートしている人たちの貢献もきちんと発信していきたいと思います。

石田:「YANMAR SUMMER FESTIVAL」の開催を通じて、ヤンマーグループの方向性が従業員一人ひとりの心の中に「種」として蒔(ま)かれていくことを目指したいと思います。

YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022

[取材] 佐藤紹史 [編集] 岡徳之 [撮影] 八月朔日仁美