January 5th, 2017|A SUSTAINABLE FUTUREPRODUCT

「人を考え、未来を創る発想を。」 2016年の振り返りと2017年の展望で明らかにする“ヤンマーアグリ事業の今”

世界的に激動の一年だった2016年。変わりゆく社会、予測できない自然環境の中で、私たちの未来に向けた企業姿勢も問われています。ヤンマーはブランドステートメント“A SUSTAINABLE FUTURE”を掲げ、100年先も持続可能な資源循環型社会の実現に向け、日々様々な取り組みを行っています。

なかでもアグリ事業本部は、牽引役的な役割を担っています。長年培ってきた知見やノウハウを活かしながら、農業が直面している課題をテクノロジーで解決すべく、日夜研究開発に励んでいます。2016年はそのうちいくつかの取り組みが、受賞という形で評価されました。次の時代を見据えたソリューションが、結果を出し始めています。

今回Y MEDIAでは、2016年にヤンマーアグリ事業が受賞した4つの賞にフォーカスします。各賞の紹介では、受賞した施策の担当者にコメントを聞いています。現場の声を通じ、ヤンマーアグリ事業の「今」、そして目指す「未来」について明らかにしていきます。

操作性、作業性、快適性と農業の未来をデザインしたトラクター「YT3」シリーズ | 2016年度 グッドデザイン金賞

ヤンマートラクター「YT3シリーズ」が、公益財団法人日本デザイン振興会主催、2016年度に選ばれたすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、特に優れたデザインと認められたものに贈られる「2016年度 グッドデザイン金賞」を受賞しました。

YT3シリーズは日本の農業の新しい姿を提案するトラクターです。作業の美しい仕上がりや、日々気持ちよくゆとりをもって作業ができる快適性、多様なニーズに合わせてラクに操作できる作業性、所有する喜びを感じさせるデザインなどを実現。次世代の農業者を支え、より効率よく快適に、農業にさらなる夢と誇りをとの思いを込めました。

審査委員の方からは「所有する喜びや農業に対する誇りを感じさせたいとの想いで、農機具のデザインに新しい方向性を示した。これまでとは一線を画す外形デザインが目を引くが、トラクターとしての基本性能の向上に加え、一体プレス工法により広い視界を確保したキャビン、操作時の負荷を軽減すべく全面的にレイアウトを見直した操作系の採用などにより、徹底して作業性の向上を図っていることも高く評価したい」などのコメントをいただきました。

■受賞コメント

アグリ事業本部 開発統括部 第一商品開発部 主席技師
川尻伸也

――受賞の感想は?

YTシリーズの開発スタート段階で我々がもっとも大切にした想いが、「日本の農業をさらに魅力ある職業にしたい!」ということでした。「農家の方の地位を高めたい!」「農家であることの誇りをさらに高めていただきたい!」、そういった強い思いから発展し、「YTに乗って農作業するお父ちゃんはすっごくかっこいい、僕も将来はお父ちゃんみたいになりたい」と、そんな会話が日本中の農村で繰り広げられることを勝手に想像しながらの開発でした。

表面的なスタイリングだけではなく、操作性や快適性・視界性・作業性などの機能性をいかにデザインするか?  という点にも特に注力しました。最終的にはスタイリングと機能性がしっかりと融合でき、この機能性を重視した考え方も高評価をいただき、大変うれしく思います。

――受賞したプロジェクトでは2016年、どのようなことにトライし、どのような成果を得ましたか?

YT3シリーズのコンセプトの一つに “あらゆる作業でベストマッチング、美しい仕上がり” があります。トラクターは様々なお客様の作業形態・ライフスタイルに合わせて、様々なインプルメントを装着することで、お客様の要求にお応えする機械です。特に自社製ロータリについては、作業後の美しい仕上がりを目指して改良を重ね、結果として、商品のデザインだけでなく、作業後の“土の美しさ”までを手に入れることができたと考えております。

さらにYT3シリーズは、日本向けとしては、最初に標準仕様の商品化を行いましたが、多様化する農業形態にあわせて、湿田走破性が高く牽引作業にも適した後輪がクローラタイプの“デルタ仕様”、高馬力ながらハウス内作業も可能な“ハウス仕様”、作物の作業体系にあわせた“ナロー仕様”などの商品化を行いました。

――本取り組みの今後の展開は?

日本農業の将来を担う農家の方々は、試行錯誤の中で更なる収量UPの方法や高効率化を追求されており、年々その作業形態も進化を続けていますので、そのスピードに負けないように商品の進化のスピードをあげると共に、仕様の拡充を図っていきたいと考えます。

YT3シリーズは、基本コンポーネントを世界共通設計とし、アプリケーションを地域・仕様毎に変更することを可能としたモジュール設計としており、日本農業向けだけにとどまらず、北米のホームユーザーやスモールアグリ向けのYTトラクター&専用インプルメントや、除雪・道路清掃・除草作業をメインとした欧州市場向けのYT3シリーズなど多様な仕様をいち早く取り揃え、商品化しており、現在も更なる仕様展開を進めています。

今回、農業にデザインを持ち込んだというヤンマーの「農」への取り組みも高く評価をしていただきました。このように今後も、世界中で重要度が増してくる衣・食・住に密接に関わり続けていくヤンマーという会社で仕事ができることに『誇り』を感じますし、将来の農業のカタチを変革できる可能性のあるトラクターの開発に携わることに『誇り』を感じながら、より世界中の方々に喜んでいただける商品づくりに邁進していきたいと思います。

農業にも訪れたロボット化の波をリードする「ロボットトラクタ」 | 第7回ロボット大賞(農林水産大臣賞)

ヤンマーのロボットトラクタ研究開発が、「第7回ロボット大賞(農林水産大臣賞)」を受賞しました。

「ロボット大賞」とは、日本のロボット技術の発展やロボット活用の拡大などを促すため、特に優れたロボットや部品・ソフトウエア、それらの先進的な活用や研究開発、人材育成の取り組みなどを表彰する制度です。

ヤンマーは農作業の省力化、経営効率の改善を目指しロボットトラクタの開発を行っています。就農者の高齢化や担い手不足といった問題を解決するため、人とロボットによる協調作業を実現しました。あらかじめ圃場の形状や作業工程を登録したタブレットを用いて、発進、停止、自動作業などをコントロール。随伴するトラクターに乗車した作業者がタブレットに表示されたロボットトラクタの映像を確認しながら2台で協調作業することで、作業範囲の拡大、異なる工程の同時作業で作業時間の短縮を実現します。

今回は労働力不足などの農業特有の課題に対する社会的ニーズを満たすと共に、省人化と安全性の両立を目指す取り組みや、遠隔操作によるロボットトラクタの完全自動化を目指した取り組みの将来性などが高く評価されました。

■受賞コメント

アグリ事業本部 開発統括部 農業研究センター 部長
伊勢村浩司

――受賞の感想は?

政府が2015年のロボット革命実現会議で決定した「ロボット新戦略」において、農林水産業分野に、ロボット開発・導入を加速化すべきという大方針が打ち出されました。さらに2016年3月の首相官邸での「未来投資に向けた官民対話」では、2018年までに、圃場内での農機の自動走行システムを市販化し、2020年までに遠隔監視で無人システムを実現できるよう、制度整備等を行うことを首相自ら発言されるなど、この数年で農業分野へのロボット技術の導入による革新的な生産性向上への期待が一気に高まっている中で、農業機械メーカーとして先駆けて第7回ロボット大賞 農林水産大臣省を受賞できたことは、非常に光栄なことです。

グループ一丸となってロボット農機の開発・実証試験に取り組んできたことが高く評価されたのだと感じております。

――受賞したプロジェクトでは2016年、どのようなことにトライし、どのような成果を得ましたか?

2015年度の国内4箇所の実証事業を経て、今年度は北海道での実証試験(2地区)、先導的技術開発(1地区)、ロボット技術安全性確保策検討事、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)事業(2件)など、数多くの農業者様を含めた実証を経験しながら技術課題を抽出し解決して、商品化を進めています。

また、今年度は単に自動で動く・止まる・作業するという段階から、ヤンマーのM2M基幹システムであるSMARTASSISTと連携し、圃場に紐付いた営農管理情報として、ロボットトラクタ単体の利便性から農業経営全体の効率化を目指した開発に着手しました。SMARTASSISTとの連携により、収量コンバインデータ、土壌診断データ、UAVによるリモートセンシングデータとも連携することが可能となるので、農業生産性を最大化する農業ソリューション提案の実現を目指しています。

――本取り組みの今後の展開は?

現在、世界における農業を取り巻く市場環境は急速にそして大きく変化しており、農業人口が減少して行く中、少ない農業生産者が食料生産を担わねばならない時代がすぐそこまで来ています。また高齢化や後継者不足などの課題も抱えており、農業従事者の減少が更に加速しています。農業が持続可能であるために、機械化・ICT化により作業の効率性の向上や省力化を図ること、また新規就農者や女性の参画を促せるよう、誰でも簡単に農作業が出来ることが急務となっています。これら農業が抱える課題を解決するため、2018年度の随伴型ロボットトラクタ上市に向けて、より現場で使いやすい、安全性が保たれるロボット農機の開発を目標に掲げて、「ロボットと言えばヤンマーだね!」とお客様から評価いただける商品・技術の創造に取り組んで参ります。

機上での一貫作業で過酷な作業を刷新する「コンテナ収容式キャベツ収穫機」 | 平成28年度 民間部門農林水産研究開発功績者表彰 農林水産大臣賞

ヤンマーがオサダ農機株式会社と共同で取り組むコンテナ収容式キャベツ収穫機の開発グループが、平成28年度(第17回)「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」にて、農林水産大臣賞を受賞しました。

「民間部門農林水産研究開発功績者表彰」とは、農林水産省及び公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会が共同で実施し、農林水産業その他関連産業に関する研究開発のうち、民間が主体となって行っているものについて優れた功績をあげた者が表彰されます。

受賞したコンテナ収容式キャベツ収穫機は切断精度を向上させるため、キャベツの姿勢の制御、茎高をそろえてカットする機構を備えました。国内初となる機上選別調整作業・大型コンテナ収容方式を採用し、キャベツの刈取り・選別調製・大型コンテナへの収納を機上で一貫して行えます。結果、収穫作業時間を40%、出荷経費を30%削減しました。

本受賞では、キャベツの収穫に要する労働時間の削減、軽労化、段ボール等の資材費の低減が達成できたことが高く評価されました。

■受賞コメント

アグリ事業本部 海外推進部 作業機グループ  部長
商品企画部 副部長
丸山高史

――受賞の感想は?

日本におけるキャベツ収穫機は、1993年より農林水産省の研究機関である現・農業技術革新工学研究センターが主体となり、数社がトライしてきましたが、十分な普及には至っておりませんでした。過去にヤンマーもトライしましたが、2011年より革新工学研究センター、ヤンマー、オサダ農機の3社で開発に着手し、2013年には商品化いたしました。

約20年にわたるキャベツ収穫機開発の歴史において、普及性のある商品を出せたことを評価いただけたと思います。

――受賞したプロジェクトでは2016年、どのようなことにトライし、どのような成果を得ましたか?

キャベツの消費スタイルの変化(加工・業務用が50%)もありますが、主要なキャベツ産地にて生産農家・流通業者・野菜加工業者の方々と議論・試験を実施し、各々の要求事項を明確にし、相互理解することで前向きになれたことが、成功の要因かと思います。

また、収穫機の開発だけでなく、生産農家の方々の収益向上を目指したキャベツ機械化一貫体系の提案も同時に展開し、関連商品の事業量展開もできたと思います。

――本取り組みの今後の展開は?

キャベツの生産は、重量物野菜であるがために過酷な収穫作業を伴い、人手不足・人件費高騰により収益の減少を招き、生産農家の減少が危ぶまれ、輸入量の増加も懸念されておりました。すでにキャベツ収穫機の導入による軽労化や収益向上により、生産量の減少していた地区が復活してきている事例もあります。今後、その他の生産地区においても持続的存続に貢献できるものと思います。

また、米からの転作も収穫機を主体とした機械化一貫体系の導入により成功に導けると考えております。このような活動により、日本の食糧自給率の向上に貢献できるものと信じております。

全国各地の実演が大盛況! 田植えを省力化する「密苗」技術 | 農林水産省 最新農業技術 品種2016

ヤンマーと農事組合法人アグリスターオナガ、株式会社ぶった農産、石川県農林総合研究センターが共同で行ってきた「密苗」技術が、農林水産省の「最新農業技術・品種2016」に選ばれました。

農林水産省は、全国の研究機関で開発された新たな技術のうち、優れた30の技術・品種を「最新農業技術・品種2016」として公表。2013年12月に「攻めの農林水産業推進本部」にて決定された「新品種・新技術の開発・保護・普及の方針」に基づき、現場への導入が期待される優れた品種・技術を広く紹介しています。

「密苗」は、通常育苗箱当たり乾籾で100~150gの播種量を250~300gと高密度に播種し、その苗から慣行同様に3~4本ずつかき取り移植する技術。苗箱数や資材費、作業時間を大幅に減らし、田植え作業の省力化とコスト削減を実現します。

■選定を受けてのコメント

アグリ事業本部 開発統括部 農業研究センター 主幹技師
澤本和徳

――選定された感想は?

国が選定する「最新農業技術」は農業の競争力強化や、農産物の安定供給および自給率向上といった現下の農政課題を解決するため、すみやかに農業現場へ導入・普及することが期待される技術を紹介するものです。今回の『水稲の「密苗」移植栽培技術』の選定は、稲作経営の皆様が強く求めている「コストダウン」に直結する技術であることを評価いただいたものと受け止めています。

密苗の開発は、農事組合法人アグリスターオナガ、株式会社ぶった農産、石川県農林総合研究センターとヤンマーが共同で行ってきました。優秀な農業経営者様と研究機関そしてメーカーが三位一体となって、現場起点の発想を新たな技術体系として構築したのです。
このように農業経営者様と一緒に技術開発に取り組んだことも、お客様に対する技術導入のしやすさや安心感を与え、今後の速やかな技術普及を後押しすることに繋がるのではないでしょうか。

――選定されたプロジェクトでは2016年、どのようなことにトライし、どのような成果を得ましたか?

2016年は、「密苗モニター実証」として大規模農家などでモニター試験を行い、51品種を網羅しました。

モニターのほとんどのお客様から、密苗は、

①田植えに使用する苗箱数が少なくて済み、育苗管理や田植え作業時の苗運搬の労力が大幅に削減できること
②苗づくりや本田の管理は従来の移植栽培技術が適用できて不安がないこと
③収量や品質は従来の移植栽培と変わらないこと

などを中心に非常に高い評価をいただきました。

秋からは各地で実施している展示会や実演会で密苗技術の紹介を行っています。移植時の密苗の展示や田植機での精密な掻き取りと高い植え付け精度の実演を通じて、実際の密苗を見ていただくとともに、密苗栽培を解説する研修会を開催し密苗の技術ポイントと営農改善への効果を知っていただいています。お客様の密苗への関心は非常に高く、各地での会場は密苗を目当てに来場されるお客様で大盛況となっています。

――本取り組みの今後の展開は?

2016年秋に新型田植機YR-Dシリーズ、YR-Jシリーズが発売されました。密苗に対応した仕様はYR-Dシリーズの5~8条植えに設定しましたが、YR-Jシリーズをはじめとして順次拡大していきます。

そして2017年シーズンはいよいよ、お客様に実際に密苗の商業栽培に取り組んでいただくことになります。稲作の低コスト、省力化に大きな効果のある、密苗栽培技術の導入により、多くのお客様が更なる経営発展に結び付けていただくことを願っています。


 

いずれも2016年に大きく評価された、ヤンマーアグリ事業の取り組みと、その担当者によるコメントを紹介しました。ヤンマーが培ってきたテクノロジーと知見で、それぞれの分野の課題解決に向き合いました。一方で、農業の未来、農家の持続可能性に対する想いはいずれの取り組みにも共通しています。本記事のまとめとして、見解・展望を、アグリ事業本部経営企画部 ブランドマーケティンググループ部長の三原真紀子さんに語っていただきました。

アグリ事業本部経営企画部 ブランドマーケティンググループ 部長
三原真紀子

現在日本の農業を取り巻く市場環境は急速に変化しており、農業就業人口が2015年にはおよそ210万人まで減少。平均年齢は66.4歳と、益々高齢化が進んでおります。人が、いつまでも豊かに暮らせること。自然が、いつまでも豊かであり続けること。その実現のためには、農業が持続可能であり続けることが必要だと、私たちは考えています。

ヤンマーは、1912年の創業以来、100年以上の間、農家の皆さんを楽にしたいという一心で、愚直にお客様の声に耳を傾け続け、ヤンマーならではの独創的な技術を用いながら、機械化による省力化に努めて参りました。これからも農業が持続可能であるために、農業における「生産性」と「経済性」を向上させ、「資源循環」を展開し、機械化の枠にとどまらずヤンマーらしいテクノロジーとサービスを融合させ、お客様の課題を解決していきます。

また農業従事者の皆様が、農業という仕事に更に『誇り』を持っていただけるよう、4年前より「デザインのチカラ」を使ったブランドイメージの統一化を図っています。農業機械のデザインの刷新も展開して来ており、作業性向上を具現化する機能を供えながら所有者にステータスを感じていただける商品づくりを目指しています。この新しいデザインの商品群で、農業のイメージを変え、日本農業を元気にすることにも繋げていきたいと考えております。

2016年受賞しました商品や技術に留まらず、今後も、独自のロボット技術、商品技術、ICTを駆使し、超省力、高品質生産の実現により、農業経営をサポートしていきます。


 

ヤンマーが目指す”A SUSTAINABLE FUTURE”。農家から流通、エンドユーザーまで、農業に関わる「人」に寄り添いながら、社会が抱える課題を解決すべき発想をテクノロジーで実現する。一歩ずつ着実に進んでいる、アグリ事業の活動に2017年もご注目ください。

関連情報

その他の取り組みも様々なところで評価を受けています。

YANMAR FLYING-Y BUILDING

第15回 屋上・壁面・特殊緑化技術コンクールにおいて「環境大臣賞」を受賞しました。

ヤンマーミュージアム

第6回 サステナブル建築賞 小規模建築部門において「審査委員会激励賞」を受賞しました。