2023.03.24

ヤンマー・国際女性デー。感謝を伝え、ダイバーシティ&インクルージョンを考える1か月に

3月8日は「国際女性デー」。『国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果を認識する日』として、国際連合が1975年に制定しました 。

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)。その中の「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」にもつながるものです。

ヤンマーでは、「Diversity for YANMAR」をポリシーに掲げ、グローバル化戦略を進める上で「国籍・性別・年齢を問わず、世界で通用するプロフェッショナルな人材の活躍」を目的とするダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。性別、国籍、ライフスタイル、文化などのさまざまな違いを受け入れ、尊重し、一人ひとりの能力を最大限活用することで、企業価値を向上させるとともに、グループ全社員が“働きがいと誇り”を持てる企業となることを目指しています。

Diversity for YANMAR

ダイバーシティ&インクルージョンの推進における取り組みのひとつとして、2月8日〜3月8日の1カ月間、世界中のヤンマーでジェンダー平等やダイバーシティ&インクルージョンについて考えるイベント「国際女性デー月間」を開催しました。

イベントの内容や開催の背景、実現に向けた運営メンバーの思いや工夫、社内からの反応、そしてヤンマーのダイバーシティ&インクルージョン推進における今後の展望について、「国際女性デー月間」の企画を担当したヤンマーホールディングス(株)人事部 ダイバーシティ推進グループの中西麻祐さんにインタビューしました。

中西麻祐さん
本イベントの企画・実行を担当した中西麻祐さん

なぜ、ヤンマーが国際女性デーをテーマに社内イベントを実施?

「国際女性デー月間」には、大きく3つの目的があったと中西さんは言います。

1つ目は、「社員がSDGsやジェンダー平等について考えるきっかけとし、ダイバーシティ&インクルージョンを尊重する社内風土を醸成する」こと。

2つ目は、「日頃から女性のエンパワーメントに尽力している社員に敬意と感謝を表す」こと。対象は女性社員だけではなく、日頃からより良い職場環境を作るために尽力しているすべての人が含まれました。

3つ目は、「グループ社員の一体感を醸成する」こと。イベントに関連するプロジェクトを一緒に進め、日頃の感謝を伝えることで、お互いの理解促進や関係性の構築も目的の1つでした。

中西:「すべての社員が働きやすい社内風土を醸成するには、まずその土台となる意識づけが必要です。それには一定の期間が必要だと思い、1日限りのイベントではなく1か月間の開催としました」

「国際女性デー月間」キービジュアル
「国際女性デー月間」キービジュアル

イベントを彩るキービジュアルは、国際女性デーのシンボルであるミモザの花をモチーフに作られました。

ミモザの花を、国連が今年の国際女性デーのテーマとして掲げている「DigitALL: Innovation and technology for gender equality」と、ヤンマーが目指す“HANASAKA”のモチーフを連想させる「三角形」で表現し、大きく咲かせたようなデザインに。直線を取り入れながらも柔らかい印象になるよう工夫しました。

「オンライン+リアル」でイベントを実現

オンラインコンテンツのメインは、「特設Webサイト」の開設です。

特設Webサイト

Webサイトには、役員3名が「ダイバーシティ推進における今とこれから」について語る対談記事や、取締役 人事部長とダイバーシティ推進グループ責任者が「国際女性デーに込めた思い」を語る対談動画などが公開されました。

取締役 人事部長とダイバーシティ推進グループ責任者 対談動画

その他、世界中の女性マネージャーからのメッセージを公開。自身のキャリアに対する考え方や、社員へのエールなどが紹介されました。

女性マネージャーからのメッセージ
女性マネージャーからのメッセージ

リアルコンテンツのメインは、ヤンマー本社ビルに設置した「みんなで咲かせよう!感謝のメッセージツリー」です。

みんなで咲かせよう!感謝のメッセージツリー
みんなで咲かせよう!感謝のメッセージツリー

世界中の社員から寄せられた感謝のメッセージを印刷した三角のシールを貼り付け、ミモザの花を咲かせる仕組みです。

感謝のメッセージをボードに貼り付ける様子
感謝のメッセージをボードに貼り付ける様子

中西:「パートナーや家族に向けた言葉もあれば、女性社員や同僚に向けたメッセージもあり、心温まる様々なメッセージが寄せられました」

社員から寄せられたメッセージ
社員から寄せられたメッセージ

加えて、本社ビルでは、入り口、執務室がある各フロアのエレベーターホールに、「国際女性デー月間」のキービジュアルのパネルとミモザの花を設置。ご来社いただいた方にもこのイベントを感じていただけるよう、期間中は総合受付をミモザで装飾しました。

ヤンマ―本社ビル「FLYING-Y BUILDING」のエントランス
ヤンマ―本社ビル「FLYING-Y BUILDING」のエントランス

中西:「社員だけでなく、期間中に来社された方も国際女性デーを体感できるような仕組みにすることで、ヤンマーのダイバーシティ&インクルージョンにおける活動を知っていただくきっかけになれば、と企画しました」

ヤンマー本社ビル 総合受付
ヤンマー本社ビル 総合受付

全社員が参加できる仕組みづくり

女性だけでなく、全社員が参加できるイベントにすることで「ジェンダー平等」について考えるきっかけとなるよう工夫しました。

「オリジナルバーチャル背景・PC壁紙」の制作もそのひとつ。多くの社員が、日々のオンライン会議のバーチャル背景に活用することで、日常から国際女性デーを体感しやすいきっかけとして企画しました。

人事部 ダイバーシティ推進グループのメンバー:「国際女性デー月間」を企画
人事部 ダイバーシティ推進グループのメンバー:「国際女性デー月間」を企画

また、一部のヤンマーグループの食堂で提供する食事メニューもイベント仕様に変更。3月1〜8日の間、食堂で提供されるメニューはすべて、黄色のものにしました。

中西:「国際女性デーについて『見る』『聞く』だけではなく、『嗅ぐ』『味わう』『触れる』といった五感すべてで体感してもらうための仕掛けです。キービジュアルのフラッグも付けて、意識しやすくしました」

国際女性デー HAPPY YELLOW LUNCH
国際女性デー HAPPY YELLOW LUNCH

イベントの裏側、ダイバーシティ&インクルージョンへのこだわり

中西:「最初はイベントの目的や意義を社内に伝えることに注力しました。役員やヤンマーグループ各社の人事担当者が集まる場で本企画を提案し、企画部門のメンバー全員で地道にコミュニケーションをとりました」

イベントの認知を広げたうえで、積極的に取り組んでもらうための工夫も行いました。

中西:「各事業部に『必須』で実施してほしいコンテンツと、『任意』のコンテンツを明確に分けてお知らせしました。ポスターの掲示や、各地の取り組みの記録は必須に。さらにミモザなどの装飾、受付担当者の黄色いリボン着用、食堂メニューの変更などは任意で協力してもらいました。無理なくできる範囲で、何よりも楽しみながら参加してほしいと考えました」

中西さんをはじめとするダイバーシティ推進グループは、初年度で手探りながらも、デザイン部門や各事業部の人事部門、さらに国内のみならず、海外の各地域の統括拠点などに協力を呼びかけて進めていきました。

中西:「やはり、周囲の理解がないとダイバーシティ&インクルージョンは実現できません。そのために、全ての社員が参加できるようにすることがとても重要で、いろんな人を巻き込む必要がありました。いろんな人を巻き込むからこそ、どの国の社員が参加しても違和感なく、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に共感してもらえるように意識しました」

中西さん

地域主体、国内グループ会社の自発的な取り組み

中西さんらの呼びかけは国内外のさまざまな拠点に広がり、地域主体での自発的な取り組みへとつながりました。

福岡県のヤンマー発電システム製造(株)では、今回のような国際女性デーにまつわるイベントを、一度きりではなく、来年以降も継続していくという前提に立ち、今年は「(国際女性デーを)知ってもらうこと」を目標としました。

そのために、女性社員のWeb交流会、社長や部門長らの名札への装飾など、イベント期間中は、毎週コンテンツをアップデートするなど工夫しました。来年は、「知る」から「分かる」へステップアップした内容のイベントを計画しています。

国内グループ会社の自発的な取り組み

岡山県のヤンマーエネルギーシステム製造(株)でも、フラワーアレンジメント、ポスター、メッセージツリーの制作や設置、黄色いマスクの配布などが行われました。

開催中に社員から寄せられた感想には、「国際女性デーを知るきっかけになった」「工場には色彩が少ないので、鮮やかな黄色のポスター、メッセージツリーなどがとても華やかで、工場全体や気分が明るくなった」「メッセージツリーの前で社員同士が話しているところを見かけた」「普段あまりない形でコミュニケーションを取ることがとできた」といった声が聞かれました。

すでに、「女性だけでなく、ジェンダーの平等など男性も当事者であるような発信ができれば興味を持ってくれる人がより増えていくかもしれないと感じました。来年からは発信の仕方を工夫できたらと思います」など、意識の変化も見られ始めています。

海外グループ会社の取り組み

海外のヤンマーグループでも、各国の特性を活かした取り組みが実施されました。

例えば、シンガポールやタイの拠点では厳しい環境下でもたくましく生きていく強さを象徴した多肉植物や、黄色のカップケーキなどの記念品を女性社員にプレゼント。インドのように、ダイバーシティを象徴する色である「紫」で社内を装飾する拠点もありました。

海外グループ会社の取り組み

今後のダイバーシティ&インクルージョン推進の展望

3月8日、「国際女性デー月間」は無事幕を閉じました。終了後のアンケート結果からも、「ジェンダー平等について考える」という当初の目的は、ある程度達成できたように思います。また、社員からの反応にも手応えを感じました。

<社員からのコメント>

「素敵なイベントを企画してくださり、ありがとうございます!女性に限らず、社員一人ひとりが輝けるグループになりますように。」

「日々多くの方の協力のもとで、仕事が進められていると強く感じています。

ヤンマーの社員の方は、皆さん協力的で温かく、とても良い環境で働けているなと感謝の気持ちでいっぱいです。いつもありがとうございます!」

「To our lovely colleagues, thank you for being such wonderful people to work with! It is always such great pleasure to work together and learn from you.Thank you for setting a great example for all of us to strive towards!」

中西さんはこの結果を受けて、次年度以降の展望をこう語ります。

中西:「今年はまず『知ってもらう』ことから始めました。今後は、『考えてもらう』『行動してもらう』ところまで活動をレベルアップさせたいです。ダイバーシティ&インクルージョンを推進するために、やりたいことがたくさんあります。これまでにも、ヤンマーのダイバーシティ&インクルージョンのポリシーとして「Diversity for YANMAR」を制定し、仕事と家庭の両立支援や育成プログラムの充実など、多様な社員が活躍できる環境整備を進めていますが、今回のイベントも含めて、あくまでまだ『通過点」です。性別や国籍、文化を超えて働きやすい現場になると、高齢者や障がいをもっている方など、誰もが働きやすい職場に近づくと考えています。引き続き、長期的な目線で取り組んでいきたいです」

Diversity for YANMAR

[取材] 佐藤紹史 [編集] 岡徳之 [撮影] 山田憲史

 

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