特集2 ICTやロボット技術を活用し“農業”を“食農産業”へ

ヤンマーグループの持続可能な農業に対する考え方

日本、そして世界における農業を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。2050年には、世界の人口は90億人を超えると予測され、食料需要は今後ますます増えていきます。新たな農地の確保が難しいなか、少ない生産者で増え続ける食料需要を賄っていかなければなりません。農業が持続可能な産業であり続けるために、私たちは“農業”を“食農産業”へと変えていくための取り組みを始めています。

これまでヤンマーグループは、機械による省力化や効率化を通じた農業の「生産性」を向上させてきました。また、投入する資源を限りなく減らし、資源の有効活用を目指す「資源循環」を追求してきました。今後はこの二つと共に、農業そのもの、生産物そのものの付加価値を高める「経済性」の追求が重要になると考えています。

それは、高い生産性を誇る食料生産の実現や、安全・安心な食料生産と供給、多様化する食ニーズへの対応、地球環境との調和、そして、これらを支える生産者の経済性の確保です。私たちは、これらを実現するため、農業の経営計画をはじめ、土づくり、育苗、移植、収穫から販路の獲得までをつなぐ、食のバリューチェーンをトータルでサポートし、農業を魅力ある産業“食農産業”へと発展させていきます。

食のバリューチェーンにおける5つの重点活動

農業ICTシステムを活用した農場管理

農業の「経済性」を高めていくためには効率的な生産が欠かせません。たとえば、これまでの農場管理は、ベテランの豊富な経験や勘に頼っていましたが、農場の規模が拡大すれば管理すべき項目が増え作業が煩雑になるという問題を抱えていました。

そこで、ICT(情報通信技術)を活用した農場管理が注目されています。ヤンマーグループは、圃場の生育状態を“見える化”する「リモートセンシング」などのセンサーネットワーク情報と、「スマートアシスト」を搭載した農業機械からの稼働情報に、圃場の作業記録などを加え、PCやネットワーク上で一括管理(自動記録)することで、農場経営をサポートしています。

生産や経営の効率化が図られることにより、農場規模の拡大や、農作物の品質向上、ブランド化など農業や農作物の付加価値向上につながります。

ロボット農機の研究開発

日本の農業は、農業者の高齢化とともに労働力が年々減少し、2015年の農業就業人口は約2千万人と10年前に比べ約37.5%減少しています。こうした現状を踏まえ、ヤンマーグループは、少ない人数でより多くの作物を生産し、女性や若手農業者など誰が操作してもベテランと同じような作業が可能となる、ロボット農機の研究開発に取り組んでいます。

ロボット農機の自動化は有人から無人まで3段階のレベルがあり、現在、使用者監視のもとで無人のトラクターを操作する随伴型ロボットトラクターの研究開発や実証試験を進めています。実証試験では、随伴型ロボットトラクターの作業時間は、有人トラクターの単独作業と比較して48%削減できる結果が得られています。

また、人や障害物を検知し安全性を確保するための技術開発を進めており、実用化に向けた取り組みを加速していきます。

  • 出典:農林水産省「2015年農林業センサス」
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