August 8th, 2018|

日本の農業の未来を変えていく! ICTを駆使したヤンマーの『スマート農業』とは!?

今年で第34回を迎えた「国際農業機械展in帯広」。北海道帯広市で4年に1度開催される日本最大級の農業機械の展示会です。「ICTとともに更なる未来へ」をテーマに、2018年7月12〜16日まで開催されました。国内外のメーカーが最新の農機を展示するなか、ヤンマーはロボットトラクターをはじめとするICTを駆使した『スマート農業』を提案。日本の農業が抱えるさまざまな課題は、これからどのように解決されていくのか!?Y MEDIAチームは、北海道まで足を運び、国際農業機械展を取材。ヤンマーの出展ブースを通じて、『スマート農業』についてご紹介します。上記写真は、最新のロボットトラクターの前に立つ久貝大樹さん(アグリサポート部 農業推進部 ICT推進グループ)。北海道支社でICTを推進する久貝さんにナビゲートいただきます。

ヤンマーのブース内でもひと際注目を集めていたのは、ロボットトラクターを疑似体験できるデモンストレーション。展示された実機の動きに合わせた、操作&走行状況がモニターに映し出されていました。

日本最大級の農業機械展でヤンマーが示した、これからの農業の在り方。

ヤンマーブースではロボットトラクターなどのICTを駆使した製品を展示。次世代の若い担い手たちに『スマート農業』を提案しました。『スマート農業』とは、ロボット技術やICTを活用して省力化や高品質生産を推進する新しい農業のカタチです。ブース来場者は連日6,000人を超えるほどの大盛況で、高い注目を集めました。今秋の発売を控えたロボットトラクターによるデモンストレーション、最先端の農機とシステムを活用した営農支援など、導入イメージを具体化することで、これからの農業の在り方を多くの人々が実感できたと思います。

ロボットトラクターをはじめ、実物の農機がズラリと展示され、試乗する行列が後を絶たないほどの人気ぶり。

今、日本の農業が抱えるさまざまな課題。その解決策と次なる一手が、ICTにある。

担い手の高齢化や後継者不足といった課題に直面している今、日本の農業は大きな岐路に立たされていると言えます。日本の農業の最先端をゆく北海道でさえ同様であり、加えて耕地面積の大規模化、多品種多生産という現状が拍車をかけているのです。北海道では1農家あたり平均24.92ヘクタール(※1)の土地を有しており、全国平均である2.46ヘクタール(※2)の10倍以上。大規模農家にいたっては50ヘクタール以上の土地を有しています。持続可能な農業を叶えていくためには、作業の効率化だけではなく、農業の在り方そのものを変えていく必要があるのです。

※1・2 出典:農林水産統計「平成30年農業構造動態調査(平成30年2月1日時点)」
1ヘクタール=10000平方メートル

農業人口が減少する反面、世界的な人口増加により食料需要が高まる今の時代だからこそ、先を見据えた『スマート農業』が必要です。

ヤンマーの『スマート農業』について、久貝さんにお話を伺いました。
ICTの活用で次世代の農業をサポートするのが、ヤンマーの『スマート農業』。

ヤンマーが推進する『スマート農業』は、最先端のロボット技術とICTを活用して省力化や高品質生産を推進する、未来を見据えた農業です。後継者不足や耕地面積の大規模化といった課題がある中、経験と勘に頼るこれまでの農業を継続するのではなく、データに基づいた農業の効率化が今、必要とされています。

例えば、ロボットトラクターやオートトラクターは衛星から位置情報を取得し高精度な作業を自動で行うので、精度を保つためのスキルは不要で疲労も軽減。この農機から収集した稼働情報や作業記録をスマートアシストで電子化すると、機械とほ場の状態をスマートフォンなどでどこでも確認でき、より効率的な農業経営をサポートします。特殊カメラを積んだドローンで稲を空撮し生育状況を分析するリモートセンシングでは、生育不良やバラつきの原因を推定し、ほ場の改善を行うことで収量向上や品質改善を実現します。また、リモートセンシングで把握した生育状態の良し悪しはスマートアシストで確認できます。撮影時間や天候による光量や光の角度の影響を受けない解析結果を出せるため、ほ場の状態を経年で比較することができます。

ひとつの作業だけではなく、あらゆる作業を連携させ、PDCAを回すことで就農者の省力化・軽労化はもちろん、生産性の向上や作業の効率化にも繋がります。就農者が行なっていた作業の多くをロボットやテクノロジーの力へと移行させ、農業経営をより効率的にトータルサポートするのがヤンマーの『スマート農業』。これからの未来に欠かせない、新しい農業のカタチです。

農業の未来を担うロボットトラクターは、他社に先駆けて製品化した高馬力が強み。

2011年から開発に着手したロボットトラクターは、今秋に発売することが決定しています。トラクターに乗車することなく、タブレットひとつで高精度な作業をコントロールできるので、ますっぐ耕すのが難しい土地でもより正確に運転できます。また、ひとりが乗車してもう1台を協調させることで、2台同時に自動作業することも可能。トラクターの運転に不慣れな女性や若年層でもロボットトラクターならスムーズにコントロールできますし、その場合、普段はトラクターで作業する男性が別の作業に着手できるため、省力化・効率化がより現実的になります。それだけでも作業効率は大幅にアップしますが、ヤンマーのロボットトラクターの大きな強みは、高馬力であること。88馬力以上にも対応しており、より大きな作業機を背負うことができます。例えば、作業機の大きさがたった1m違うだけでも、何ヘクタール分ともなると、作業効率は大きく変わってきますからね。大規模農家の多い北海道で求められる高馬力帯のロボットトラクターを、他社に先駆けて製品化できたのは、ヤンマーの魅力だと思います。

高精度かつ高馬力で、ムダな労力を必要としない夢のような1台が、いよいよ発売に。

『スマート農業』を導入するメリットは!?
お客様目線でヤンマー社員がモデル営農を実践中。

私たちの提案する『スマート農業』がどれだけお客様の役に立ち、より良いものへと進化させていけるのか。これからも自信を持って提案し、お客様にもしっかりと納得してもらうために、2017年から自社のデモフィールドでモデル営農を実践しています。北海道の主産物である小麦、大豆、デントコーンを栽培し、ロボットトラクターやスマートアシスト、リモートセンシングのICTを検証。最先端の営農を実践して、お客様がいかに効率良く利益を高められるかを、私たち自身もお客様目線に立って日々体感しています。社内向けには“週刊スマ農”というレポートを毎週配布し、農機やシステムの実際の使い方を営業・開発スタッフに共有することで、製品のさらなる向上やお客様へのサポートにも役立てています。私も作業していますが、ロボットトラクターはオペレーター作業が不要なので、本当にラクですね。お昼以降は、ちょっと眠くなってしまうこともあるくらいですから……(笑)

ほ場の荒起こしから植付け、収穫まで、毎日『スマート農業』を実践中。導入することでどれだけ効率化が図れるかなど、細かな検証を続けています。

日本の農業を“スマート農業化”することで、儲かる営農と食の恵みを両面から支えていく。

先進農業が盛んな北海道では、農機のICT化は着実に進んでいます。実際、自動操舵機能を搭載したトラクターの出荷台数は、平成25年から平成29年の5年間で約170台から約1600台(※1)と10倍近く増加しています。そういった状況下において、トラクターを自動化し農作業を部分的に変えるのではなく、生育状況の分析、ほ場の改善、農機の管理まで、一連の営農をトータルサポートできるのがヤンマーの強み。ICTの力で改善できる余地がまだまだあるからこそ、農業をもっと進化させていきたいと考えています。そして、農業の延長線上にある食においても、消費者の方々が安心して食べられる物を届けられるようにしていきたい。日本の農業を“スマート農業化”することで、農家の方々にも消費者の方々にも喜ばれるような“食農産業”へと発展させていくための取り組みに、これからも注力していきたいと思っています。

※1 出典:北海道農政部生産振興局技術普及課「GPSガイダンスシステム等の出荷台数の推移」

国際農業機械展のヤンマーブースでは、ロボットトラクターの操作体験ができるシミュレーターも用意。多くの方が体験し、その便利さに驚いていました。

ヤンマーの『スマート農業』を支える農機&システムをご紹介
省力化&生産性向上を実現するロボットトラクター。
ヤンマーの『スマート農業』の中核をなすのが、このロボットトラクター。88馬力以上という高馬力帯で、他社よりも早く製品化を実現しました。乗車することなく高精度な作業を実現し、省力化・軽労化・作業効率を大幅にアップさせます。

ロボットトラクターの特長

■広大な作業でも正確な作業が可能。
■タブレット端末でワンタッチ操作ができる。
■事前に設定した経路を自動で作業。
■直進は自動、旋回は手動で行い枕地まで作業が可能。
■ひとりで有人機と無人機の2台を同時に操作する協調作業。

ロボットトラクターの詳しい情報はこちら

性能の高さだけではなく、ほ場に映える洗練されたデザインもヤンマーならではです。

農機を守り、営農をサポートするヤンマー独自のICTサービス、スマートアシスト。

GPSアンテナおよび通信端末を搭載した農機が稼働情報などを発信することで、お客様の大切な農機を見守りながら、作業管理まで行なうサービスです。位置情報やデータ解析によって、経験と勘に頼りがちだった“農業を見える化”。農機の稼働状況、ほ場の作付状況などが把握できるため、作業の高効率化が実現します。また、収穫量や作業時間をほ場ごと、年度ごとに比較できるので、次年度の施肥計画や土づくりにも役立てることができます。

スマートアシストでできること

■農機の異常をリアルタイムで察知する、エラー情報通知サービス。
■農機の位置情報が確認できる、盗難防止見守りサービス。
■作業効率の改善やランニングコストの低減に役立つ、稼働診断保守サービス。
■農機の情報をいつでも確認できる、稼働情報管理ツール。
■スマートフォンで作業の進捗を確認できる、ほ場情報管理ツール。
■スマートフォンで簡単に入力できる、作業管理記録ツール。

スマートアシストの詳しい情報はこちら

作業を高精度にする、GPSガイダンス・自動操舵システム。

アメリカのGPS衛星とロシアのGLONASS衛星を併用した全地球測位システムが、GPSガイダンス・自動操舵システムです。高精度な位置情報を基に作業を行うので、誤差を最小限にし、誰でもムダなく精密な作業を実現します。ヤンマーではジョンディア社のガイダンス・自動操舵システムを販売しています。もちろん、ヤンマーのYTトラクターや田植機への装着も可能で、付け替えも簡単です。

ジョンディアガイダンス・自動操舵システムの特長

■ジョンディア独自の衛星を利用し、高精度作業にRTK基地局(※)が不要。
■ほ場での測位の誤差は最大±3cmとムダのない精密作業が可能。
■複数の農機で使い回し可能な簡単装着。

※RTK(Real Time Kinematic)は、リアルタイムキネマティック測量の略で、基地局で観測した位置情報をもとに移動局(トラクター)側で解析を行いリアルタイムに位置を求める方法です。高精度測位を行うための基準の位置情報を、無線機や携帯電話を利用 して発信しているのが基地局です。

屋根に装着しているのが衛星からのシグナルを受信するレシーバー。簡単に付け替えられるのも、導入時の大きなメリットに。

生育状況を見える化する、リモートセンシング。

リモートセンシングとは、特殊カメラを搭載したドローンで幼穂形成期の稲を上空から撮影し、葉の色や葉の茂りといった生育状況を見える化するサービスです。専任オペレーターがお客様のほ場に出向いて撮影した後、独自の技術で解析した生育マップをご提供します。

リモートセンシングの特長

■生育状態の良し悪しが一目瞭然。
■生育不良やバラつきの原因を推定。
■ほ場の改善に役立て、収量の向上と品質改善に貢献。
■スマートアシストとの連携が可能。

リモートセンシングの詳しい情報はこちら

空撮作業は専任のオペレーターが行なうから安心です。生育マップは、撮影から5日後にお客様にご提供します。

次世代の農業を拓く製品やシステムをこれからも。

ロボットトラクターをはじめ、これまでに紹介した製品やシステムのさらなるアップデートはもちろん、次世代の農業には欠かせない新しい製品を現在開発中です。これからもお客様一人ひとりの声を聞き、自らも実践・検証しながら、農業の在り方を技術で変えていきたいと思っています。ヤンマーの『スマート農業』に、ますます期待していてください。

ヤンマーの『スマート農業』は、最先端の農機とシステムを組み合わせ、
ICT技術を結集させた未来の農業の在り方です。
今、日本の農業が直面する課題を解決するだけではなく、
持続可能な農業を実現し、安心できる食の恵みを届けていく。
農業を“食農産業”へと発展させていくことが、ヤンマーの目指している未来です。

関連情報

農業事業ページ

ヤンマーの農業製品、営農情報など農業関連の情報をご紹介します。

ロボットトラクター/オートトラクター

ヤンマーのロボットトラクター/オートトラクターの情報をご紹介します。

テクノロジー「ロボットトラクター」

無人走行テクノロジーで作業を自動化する、ヤンマーのテクノロジーをご紹介します。

ロボットが救世主に? テクノロジーが変える農の未来

私たちの暮らしの中で、徐々に身近な存在になりつつあるロボット。今回は農業ロボットの歩みについてお話を伺います。

どこまで進化する?農業ロボット研究最前線を北海道からレポート!

農業ロボット研究の第一人者である野口伸教授が、農業ロボット研究の最前線である実証実験の現場を案内します。